ウクライナ電力網と鉄道を同時攻撃 ロシア無人機・ミサイルが各地を襲撃
ロシア軍による無人機とミサイルの大規模攻撃で、ウクライナ各地の電力インフラと鉄道網が被害を受けました。冬の厳しさが増す中、生活と戦争の両方を揺さぶるインフラをめぐる攻防が一段と鮮明になっています。
- ウクライナ8地域で電力施設が損傷し、停電や断水が発生
- 無人機653機とミサイル51発が発射されたとウクライナ側が発表
- 鉄道ハブや港湾も標的となり、交通・物流にも影響
- 米国仲介の協議は進展なく、戦争は4年目の節目に近づく
8地域で停電、原発も出力低下
ウクライナ当局と国際原子力機関(IAEA)によりますと、現地時間の土曜日、ロシア軍の無人機とミサイルによる大規模攻撃で、少なくとも8つの地域の電力施設が損傷し、各地で停電が発生しました。
ウクライナには3つの原子力発電所があり、同国の電力の半分以上を生み出しています。IAEAは、夜通し続いた「広範な軍事活動」の影響で、これらの原発が一時的に出力を落としたと説明しました。
ウクライナの地域共同体・領土インフラ発展省によると、チェルニヒウ、ザポリッジャ、リビウ、ドニプロペトロウシクなどの各州で、電力や熱供給施設が標的となりました。南部オデーサ州では、約9,500の利用者が暖房を、34,000の利用者が水道供給を失ったとしています。
同省はメッセージアプリのテレグラムで、オデーサの港湾施設も攻撃を受け、一部のインフラが停電し、運営側が発電機による予備電源に切り替えたと明らかにしました。エネルギー省は、安全が確保できる場所ではすでに緊急の復旧作業が進んでおり、エネルギー企業ができる限り早く全ての利用者に電力を回復させるよう努めているとしています。
653機の無人機と51発のミサイル
ウクライナ軍によると、ロシア軍は一晩で無人機653機とミサイル51発を発射しました。ウクライナ側は、そのうち無人機585機とミサイル30発を防空システムで撃ち落としたと発表しています。
ロシア国防省は、この攻撃がウクライナによる民間標的への攻撃に対する「大規模な報復攻撃」だったと主張しました。同省によれば、極超音速ミサイル「キンジャール」を含む長距離の精密誘導兵器や地上・空中発射の長距離兵器、さらには長距離無人機が使用されたとしています。
ロシア側は、ウクライナの軍需産業施設や、その稼働を支えるエネルギー施設、軍事目的に利用されているとする港湾インフラを標的にしたと説明しています。一方、ウクライナ側は、攻撃対象には民生インフラも含まれていると強く非難しています。
鉄道ハブと港湾を同時に狙う攻撃
今回の攻撃では、エネルギーだけでなく輸送インフラも狙われました。首都キーウ近郊の町ファスチウにある鉄道ハブ(拠点)では、車両基地や鉄道車両が損傷したと、国営鉄道会社ウクルザリズニツャが明らかにしました。現時点で、同社は人的被害は確認されていないとしています。
ウクルザリズニツャはテレグラムへの投稿で、キーウ周辺と北東部チェルニヒウ周辺の一部の近郊列車を運休せざるを得なかったと説明しました。攻撃は、通勤・通学など市民の日常の移動手段にも直接的な影響を与えています。
南部オデーサでは、港湾施設の一部が停電し、発電機による予備電源に切り替えられました。港はウクライナの重要な物流拠点であり、電力供給の不安定化は、輸出入や物資輸送にも影響を及ぼすおそれがあります。
和平模索は進まず、長期化する戦争
こうした攻撃が続く一方で、今週行われた米国仲介の協議では、戦争終結に向けた明確な打開策は見いだせませんでした。戦闘が始まってから4年目の節目が近づく中で、ロシアによるウクライナのエネルギー・輸送インフラへの攻撃はむしろ強まっています。
ウクライナのアンドリー・シビハ外相はSNS「X」への投稿で、ロシアが「いかなる和平努力も無視し、エネルギーシステムや鉄道を含む重要な民間インフラを攻撃し続けている」と批判しました。そのうえで、ウクライナへの支援強化とロシアへの圧力強化を求め、「ウクライナを強化し、ロシアへの圧力を高める決定を先送りにすることはできない。ましてや和平プロセスを口実にしてはならない」と訴えました。
冬の寒さが厳しくなる中で、電力・暖房・交通網をめぐる攻防は、市民生活に直結する問題です。停戦の糸口が見えないままインフラへの攻撃が続けば、社会の疲弊が一層深まる可能性があります。
今回の国際ニュースから見えるもの
今回のウクライナ情勢に関する国際ニュースから、いくつかのポイントが浮かび上がります。
- 電力、暖房、水道、鉄道、港湾といった生活と経済の基盤インフラが体系的に標的になっていること
- 無人機とミサイルを大量に組み合わせる攻撃が、戦場の姿を変えつつあること
- 米国が仲介する協議にもかかわらず、戦闘終結の明確な出口が見えていないこと
日本から距離のある戦争ではありますが、電力網や鉄道など身近なインフラが攻撃されるニュースを追うことは、「現代の戦争」がどのように市民生活を巻き込んでいくのかを考える手がかりになります。短いニュースの背後にある構図を意識的に読み解くことが、国際情勢を自分ごととして捉える第一歩と言えそうです。
Reference(s):
Kyiv: Russian drones, missiles hit Ukraine power and transport sectors
cgtn.com








