ベネズエラが5600人の新兵を宣誓 米軍カリブ海展開で高まる緊張
米国がカリブ海で軍事プレゼンスを強める中、ベネズエラ軍が新たに5600人の兵士を任官しました。石油産出国ベネズエラを巡り、軍事と外交がせめぎ合う構図が鮮明になっています。
カラカスの軍事基地で5600人が宣誓
現地時間の土曜日、ベネズエラ軍は首都カラカスにある同国最大の軍事施設フエルテ・ティウナで、新たに5600人の兵士に宣誓を行いました。これは、米国がカリブ海に艦隊を展開し、同国への軍事的圧力を強める中での動きです。
式典で演説したガブリエル・アレハンドロ・レンドン・ビルチェ大佐は、帝国主義勢力と名指しこそしないものの米国を念頭に、「いかなる状況でも、帝国主義勢力による侵攻を許すことはない」と強調し、新兵らに結束を呼びかけました。
米軍の艦隊展開と致死的な攻撃
ベネズエラによると、米国は麻薬取引対策を名目に、カリブ海へ大規模な艦隊を展開し、その中には世界最大級の航空母艦も含まれています。これに合わせて、米軍は少なくとも22隻の船舶に対して致死的な攻撃を実施し、少なくとも83人が死亡したとされています。
ワシントンは、ニコラス・マドゥロ大統領が、いわゆる「太陽のカルテル」と呼ばれる組織を率いていると非難し、この組織を先月、テロ組織に指定しました。一方のマドゥロ氏は、米軍の展開は自らの政権打倒とベネズエラの石油資源の掌握を狙ったものだと主張し、強く反発しています。
20万の兵力と20万の警察 拡大する治安・防衛体制
ベネズエラ当局の数字によると、同国には約20万人の軍人と、ほぼ同規模の20万人の警察官が存在します。マドゥロ大統領はすでに軍の増員を呼びかけており、今回の5600人の新兵任官は、その方針の一環とみられます。
軍と警察の規模が拡大する中で、ベネズエラは国内の治安維持と対外的な抑止の両方を意識した体制づくりを進めていることがうかがえます。一方で、米国との関係悪化が続くなか、軍事的緊張がどこまで高まるのかが注目されています。
トルコ大統領と電話会談 「対話のチャンネル維持」を強調
同じ土曜日、マドゥロ大統領はトルコのレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領と電話会談を行い、世界の地政学的情勢やカリブ海での軍事展開について意見を交わしました。
ベネズエラのイバン・ヒル外相による声明によれば、エルドアン大統領は、最近ベネズエラが直面している脅威、とりわけ軍事展開やカリブ海の平和と安全を乱すさまざまな行動に対して「深い懸念」を表明しました。
マドゥロ大統領は、カリブ海での軍事演習や展開を「違法で、不釣り合いで、不必要で、さらには過度な攻撃行為」だと批判したうえで、ベネズエラは引き続き平和のために取り組むと語りました。
エルドアン大統領は、Xに掲載された自らの事務所の声明を通じて、「米国とベネズエラの間で対話のチャンネルを開いておくことが重要だ」と強調し、緊張が一刻も早く和らぐことへの期待を示しました。
カリブ海情勢が示すもの 日本の読者へのポイント
今回の一連の動きは、カリブ海という地域の問題にとどまらず、エネルギー供給と国際安全保障の両面で、世界に波及しうる要素を含んでいます。石油産出国であるベネズエラを巡る緊張は、市場の不安定要因となり得るからです。
また、軍事的圧力の応酬だけでなく、トルコ大統領との電話会談に象徴されるように、第三国を交えた外交的な働きかけも進んでいます。武力ではなく対話の枠組みをどう維持・拡大するかが、今後の重要な焦点となりそうです。
今回のニュースを踏まえ、日本の読者が押さえておきたいポイントは次のとおりです。
- ベネズエラは軍・警察合わせて約40万人規模の治安・防衛体制を構築していること
- 米国は麻薬対策を名目に軍を展開しつつ、ベネズエラ側は政権打倒と資源掌握の意図があると受け止めていること
- トルコが対話維持を呼びかけるなど、第三国の関与も強まっていること
- エスカレーションを抑え、対話による解決策を見いだせるかどうかが、2025年現在のカリブ海情勢を占う鍵になっていること
軍事的な動きと外交的な対話が同時進行する中で、事態は流動的です。今後の米国とベネズエラの対応、そしてそれを取り巻く各国の動きを丁寧に追っていく必要があります。
Reference(s):
Venezuela swears in 5,600 new troops amid U.S. military build-up
cgtn.com







