タイ軍が戦闘機を展開 カンボジア国境で銃撃、双方が主張食い違う
タイ軍が戦闘機を展開 カンボジア国境で銃撃、双方が主張食い違う
タイ陸軍がカンボジア側からの攻撃で兵士1人が死亡、4人が負傷したと発表し、国境地帯に戦闘機を展開しました。一方でカンボジア国防省は、発砲したのはタイ軍側だと主張しており、両国の説明が大きく食い違っています。
何が起きたのか:タイ側の説明
タイ陸軍の発表によると、事案が起きたのは国境地帯のチョンボック地区(ナムユエン郡)周辺で、月曜日の午前7時ごろ(現地時間)、同地域で活動していたタイ兵部隊が「支援射撃用の兵器」による攻撃を受け、兵士1人が死亡、4人が負傷しました。
これに先立ち、午前5時5分ごろには近くのチョンアンマー地区でも交戦が発生。声明によれば、カンボジア軍が小火器や間接火器を用いて発砲し、タイ側は交戦規則に基づいて応戦したと説明しています。これら一連の攻撃が国家安全保障への直接的な脅威になったとし、対応を強化したとしています。
タイ陸軍報道官のWinthai Suvaree氏は、こうした状況を受けてタイ空軍が空からの作戦に踏み切ったと明らかにしました。タイ空軍(Royal Thai Air Force、RTAF)は、カンボジア軍の軍事インフラを標的とした空爆作戦を開始したとしています。
RTAFの報道官Jackkrit Thammavichai氏は、空爆の目的について、カンボジア軍の軍事能力を抑止し、自国の安全保障と民間人の保護に必要な最低限の水準にまで低下させるための措置だと説明し、軍事的エスカレーションというよりも抑止措置だと強調しました。
カンボジア側は「タイ軍が先に攻撃」と反論
これに対し、カンボジア国防省の報道官で次官補のMaly Socheata中将は、月曜日の午前5時4分ごろ、プレアビヒア州アンセス地区でタイ軍が先にカンボジア軍に攻撃を仕掛けたと主張しています。
Socheata氏によれば、タイ軍はその後もプレアビヒア寺院近くのタモアン・トム寺やチョムカチェク周辺に対して戦車による砲撃を複数回行ったとされます。
同氏は、この攻撃はタイ軍が数日にわたって挑発行動を繰り返した流れの中で起きたものであり、とりわけ前日の日曜日にプロリアン・トマル地区で発生した事案を挙げ、対立をあおることを目的としたものだと批判しました。
一方でカンボジア側は、2日連続で攻撃を受けたとしながらも、これまで報復措置は取っていないと説明。過去の合意を尊重し、国際法に従って平和的に問題を解決するという立場を強調した上で、状況を最大限慎重に監視しているとしています。
また、カンボジアは今回の事案についてASEANオブザーバーチームに報告したほか、今後の調査を正式に要請する意向も示しました。地域機構であるASEANの枠組みを通じて、第三者による検証を求める姿勢を打ち出した形です。
情報が食い違う中で見える三つのポイント
現時点でタイとカンボジアの主張は大きく食い違っており、どちらが先に発砲したのか、どの程度の規模の軍事行動だったのかについては明確になっていません。ただ、両国の発表からは次の三つのポイントが浮かび上がります。
- 先制攻撃の有無と責任の所在をめぐる争い
- 国境地帯や寺院周辺など、民間人や文化財が存在する地域での衝突リスク
- ASEANオブザーバーチームなど、地域機構による関与と事実検証の可能性
タイ側は自国兵士の死傷を受けて空軍を投入し、国家安全保障への脅威に対処したと強調する一方、カンボジア側は挑発された末に一方的な攻撃を受けたと訴えています。いずれの説明も自衛や抑止を前面に出しており、互いに責任を相手側に求める構図になっています。
ASEANと地域の安定に求められる役割
カンボジアがASEANオブザーバーチームへの通報や調査要請の意向を示したことは、地域レベルでの危機管理の重要性を改めて浮き彫りにしています。国境紛争のような事案では、当事国同士だけで事実関係を確認するのは難しく、第三者による検証プロセスが緊張緩和へのカギとなる場合があります。
ASEAN加盟国同士の対立は、地域全体の安定や経済活動にも影響し得ます。今回のように空軍や戦車が投入される事態に発展した場合、偶発的な被害や誤算によるエスカレーションをどう防ぐかが重要になります。
読者にとっての意味:国境の緊張をどう捉えるか
世界各地の国境地帯では、小さな発砲や誤解が、大きな軍事衝突や外交危機に発展することがあります。今回のタイとカンボジアの事案も、双方の発表だけを見ても、どちらが先に撃ったのか、どこまでが自衛なのかという判断の難しさがにじみます。
私たちが国際ニュースを読むとき、単にどちらが悪いかを決めるのではなく、どのような仕組みや対話の場があれば緊張を抑えられるのか、地域の平和と安全保障を維持できるのかという視点を持つことが重要ではないでしょうか。今回のASEANオブザーバーチームへの通報や調査要請の動きは、その一つの試金石となりそうです。
Reference(s):
Thailand deploys fighter jets as Cambodia claims soldiers open fire
cgtn.com







