ロシア外務省「南京大虐殺は日本軍国主義の残虐性の象徴」
南京大虐殺から88年を迎える12月13日を前に、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官が南京大虐殺の歴史的意味について語り、当時の日本軍国主義の残虐性と戦後国際秩序のあり方をあらためて強調しました。
ロシア外務省が南京大虐殺に言及
ザハロワ報道官は木曜日、1937年12月13日に起きた南京大虐殺について述べ、当時の南京で数十万もの民間人の命が奪われたと指摘しました。そのうえで、この出来事は日本軍国主義の残虐性と、人道に対する罪の象徴として今も記憶されていると強調しました。
報道官は、南京大虐殺をめぐる歴史的事実は「争う余地のないもの」だとし、極東国際軍事裁判(いわゆる東京裁判)が司法手続きにもとづいて事実を認定し、その判決の中で確認したと説明しました。さらに、その判決はニュルンベルク裁判の裁定とともに、戦後の国際秩序と現在の世界システムを支える揺るぎない基盤になっていると述べました。
発言のポイント:戦後国際秩序の「土台」
ザハロワ報道官の発言は、単なる歴史的評価にとどまらず、今日の国際政治と「戦後秩序」のあり方にもかかわるメッセージを含んでいます。その要点は次のように整理できます。
- 南京大虐殺は、1937年12月13日を起点に多数の民間人が犠牲となった大規模な暴力行為であり、日本軍国主義の残虐性を象徴する出来事だと位置づけた。
- 極東国際軍事裁判は、証拠と証言にもとづく司法手続きによって南京大虐殺を含む戦争犯罪の事実を確定し、その判断は国際法上の重要な基準となっていると説明した。
- この裁判の結論は、ニュルンベルク裁判の裁定とともに、第2次世界大戦後の国際秩序と、現在の国際社会の仕組みを支える「土台」であると強調した。
- こうした戦後裁判の結論を疑問視したり、ナチズムや軍国主義を正当化・美化したり、第2次世界大戦で行われた残虐行為の規模を矮小化しようとする動きは、国際社会が一致して非難すべきだと訴えた。
南京大虐殺とは何か
南京大虐殺は、1937年12月13日、当時の日本軍が南京を占領した後に起きたとされる一連の大量殺害と暴力行為を指します。ザハロワ報道官は、南京で何十万もの民間人が命を落としたと述べ、この出来事を「人道に対する罪」の象徴として位置づけました。
極東国際軍事裁判では、こうした行為が詳細に審理され、多数の証言や資料にもとづいて、組織的な残虐行為として認定されました。今回のロシア外務省の発言は、その司法判断の重みをあらためて想起させるものです。
歴史の否定と「戦後の合意」
ザハロワ報道官が特に警鐘を鳴らしたのは、戦後の国際裁判によって確認された事実や判決を揺るがそうとする動きです。彼女は、ナチズムや軍国主義を復活させようとする試みや、第2次世界大戦における残虐行為の規模を過小評価する言説を、国際社会が一致して退けるべきだと訴えました。
第2次世界大戦後、国際社会は侵略戦争の違法化や人道に対する罪の処罰など、さまざまな原則を共有してきました。その背景には、ニュルンベルク裁判や極東国際軍事裁判の判決があり、戦争犯罪や大量殺害に対する「これ以上は許さない」という合意が形づくられてきたとされます。
そうした合意が揺らぐとき、被害者やその遺族が二重の苦しみを味わうだけでなく、同じような暴力が再び起こるリスクも高まります。今回の発言には、歴史の記憶を守ることが、現在の安全保障や国際秩序を守ることと直結しているという認識がにじみます。
「遠い戦争」をどう受け止めるか
南京大虐殺から88年が経とうとしている今、多くの人にとって第2次世界大戦は教科書や映像で知る「遠い戦争」になりつつあります。オンラインで膨大な情報に触れながら日々を過ごす世代にとっても、歴史をめぐる議論は、なお重要なテーマです。
ザハロワ報道官の発言は、次のような問いを静かに投げかけているようにも見えます。
- 過去の大量虐殺や戦争犯罪を、私たちはどのような言葉で語り継ぐのか。
- 国家や政治家が歴史を語るとき、その言葉をどう読み解き、どこまで検証しようとするのか。
- 他者の苦しみや記憶にどう向き合い、自分の社会の歴史とどのように対話していくのか。
歴史認識をめぐる議論は、ときに国内外の政治やナショナリズムと結びつき、感情的な応酬になりがちです。一方で、南京大虐殺のような出来事を振り返ることは、特定の国を非難するためだけでなく、大規模な暴力や差別がどのような過程で起きるのかを学び、同じ過ちを繰り返さないための手がかりを探る作業でもあります。
88年前の出来事をめぐるロシア外務省のメッセージは、戦後国際秩序や歴史の記憶、そして現在の世界がどのような前提のうえに成り立っているのかを、あらためて考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
Nanjing Massacre shows Japanese militarism's brutality: Russian FM
cgtn.com








