米連邦最高裁、トランプ氏のイリノイ州州兵派遣を差し止め(6対3)
米国の連邦最高裁は今週火曜日、ドナルド・トランプ大統領がイリノイ州に州兵(ナショナルガード)を派遣しようとした動きを、6対3で差し止めました。争点は「州内で軍が法執行に当たる権限の根拠が示されているか」で、最高裁は現時点では不十分だと判断しました。
何が起きたのか:最高裁の判断ポイント
最高裁は命令文で、次のように述べています。
- 「この予備的段階において、政府は、イリノイ州で軍が法を執行できる権限の根拠を特定できていない」
つまり、訴訟の最終結論を出す前の段階(差し止めの是非を判断する局面)で、政権側の「派遣の法的根拠」が弱いとみなされた、という整理になります。
時系列で整理:10月から続く法廷闘争
今回の争いは、2025年10月にさかのぼります。裁判所の記録に基づく流れは以下の通りです。
- 10月4日:トランプ大統領が、イリノイ州州兵300人を連邦の現役勤務として招集。主にシカゴ周辺を念頭に置いた動きでした。
- 10月5日:テキサス州州兵の隊員も連邦化され、シカゴへ送られたとされています。
- 10月9日:イリノイ州北部地区の連邦地裁が、一時差し止め命令(TRO)を出し、州兵の連邦化と派遣を止めました。
- 10月16日:第7巡回区控訴裁が判断を支持。ただし「連邦化は認めるが、隊員の派遣は認めない」という整理で、政権の動きにブレーキをかけました。
- その後:政権が連邦最高裁に申し立て、今回、最高裁が政権側の要請を退けました。
「連邦化」と「派遣」は何が違う?
今回の経緯では、裁判所が「連邦化(州兵を連邦の指揮下に置くこと)」と「派遣(実際に部隊を現地で動かすこと)」を分けて扱ってきた点が目立ちます。
控訴裁が「連邦化は可、派遣は不可」と線を引いたのに続き、最高裁も、少なくとも現段階では「軍が州内で法執行を行うための権限の根拠」が示されていない、と判断しました。
なぜ今重要なのか:連邦と州、治安と権限の境界線
州兵は災害対応などで住民にとって身近な存在である一方、治安や法執行の現場に軍事的な組織がどこまで関わるのかは、米国の制度設計そのものに触れるテーマです。
今回の最高裁判断は、シカゴ周辺という具体の現場をめぐる対立であると同時に、「連邦政府が州内でどのような権限に基づいて部隊を動かせるのか」という、線引きの問題を浮き彫りにしました。
今後はどうなる:差し止めは続き、審理は次の段階へ
最高裁は今回、政権側の要請を退けた形で、少なくとも当面は「派遣を止める」方向の判断が維持されます。訴訟全体としては、下級審での審理が続き、政権側がどの権限を根拠に主張を組み立て直すのかが焦点になりそうです。
Reference(s):
U.S. Supreme Court blocks Trump's Illinois National Guard deployment
cgtn.com








