イエメン、ハドラマウトでSTCと緊張激化 PLCがサウジ主導連合に軍事措置要請
イエメン東部の資源地帯ハドラマウトで、中央政府側と分離独立を掲げる勢力の対立が先鋭化しています。2025年12月26日、イエメン大統領指導評議会(PLC)のラシャド・アルアリミ議長が、サウジアラビア主導の有志連合に対し「民間人を守るための必要な軍事措置」を取るよう求めたと国営メディアが報じました。
何が起きたのか:PLCが「軍事措置」を要請
国営サバ通信によると、アルアリミ議長は、南部分離派「南部移行会議(STC)」による「敵対的な作戦」や「違反行為」がハドラマウトの安定を脅かしているとの報告を受け、有志連合に対応を要請しました。
イエメン当局者は、今回の緊張激化が移行プロセス(暫定的な政治移行の枠組み)に反し、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)による仲介努力を損なう、と位置づけています。
空爆再開の観測も:現場では部隊展開が進む
国際的に承認されたイエメン政府の軍関係者は、新華社に対し匿名を条件に、PLCの要請が「今後数時間で」STC部隊に対するサウジアラビアの新たな空爆につながる可能性があると述べました。
同関係者によれば、サウジアラビア国境に沿う広い範囲に、重装備を伴う地元部隊が展開されているといいます。STCがハドラマウトでの駐留を続ける場合、リヤドが「軍事介入」する可能性にも言及しました。
STC側の主張:サウジの戦闘機が拠点を空爆
一方、STCは同日、サウジの戦闘機がハドラマウトの自陣営の軍事拠点を空爆したと発表しました。住民は州内で大きな爆発音があったと証言し、SNS上には標的とされる場所から煙が上がる様子だとする動画も投稿されています。サウジ側は現時点で、攻撃を公式に認めていないとされています。
緊張が高まった背景:12月3日の「掌握」と相互不信
報道によると、今月12月3日、STC部隊が親政府部隊との衝突を経てハドラマウトを掌握したことが、緊張の大きな節目になりました。STCは同時期、PLCがフーシ派(Houthi)への「本格的な作戦」を開始していないとして批判も強めています。
ハドラマウトは「石油が豊富な州」とされ、治安と統治の主導権が、資源管理や歳入配分とも結びつきやすい地域です。そのため、政治的な主張の対立が、軍事的な衝突へと連鎖しやすい構図が見えます。
STCとは:連合内に入っても残る「南部の自己決定」
STCは2017年に発足し、南部イエメンの自己決定と最終的な独立を目標に掲げています。報道では、STCはサウジ主導連合に加わり、2022年にはPLCの枠組みに統合されたものの、南部の主権を求める姿勢を崩していないとされます。結果として、権力分担や資源の管理をめぐる争いが繰り返されてきました。
また、STCは過去の政府が南部を政治的・経済的に周縁化したと主張する一方、イエメン当局はこれを否定し、領土の統一を重視する立場を取り続けていると報じられています。
ここからの焦点:仲介は踏みとどまれるか
現時点での最大の焦点は、(1)空爆を含む軍事介入が拡大するのか、(2)サウジ・UAEの仲介が「治安回復」と「政治合意」に再び接続できるのか、の2点です。
- サウジ側が攻撃を公式に認めるかどうか(事実関係の確定)
- ハドラマウトでのSTCの駐留が固定化するのか、撤収・再配置に向かうのか
- 移行プロセス(暫定政治枠組み)の維持と、現場の治安の整合
イエメンは2014年以降の紛争が続き、2015年にサウジ主導連合が介入した経緯があります。今回のハドラマウトをめぐる緊迫は、前線の動きであると同時に、同盟内の利害調整がどこまで機能しているかを映す局面にもなりそうです。
Reference(s):
Yemen urges Saudi-led action as rift with separatists deepens
cgtn.com








