トランプ氏、グリーンランド獲得に「軍事」含む選択肢を検討と米政権
米国のトランプ大統領が、デンマークの自治領グリーンランドの「獲得」に向けて、軍事手段の活用も含む複数の選択肢を検討していると、ホワイトハウス報道官が今週(現地時間)6日に明らかにしました。北極圏の安全保障をめぐる緊張に、同盟関係の基盤を揺らしかねない論点が浮上しています。
「獲得は国家安全保障の優先事項」米報道官が言及
ホワイトハウスのカロライン・レービット報道官は6日、トランプ大統領とチームがグリーンランド獲得に向け「幅広い選択肢」を検討しているとし、「合衆国軍の活用も、最高司令官の選択肢として常にある」との趣旨を説明しました。
報道官はまた、グリーンランドの獲得が米国の国家安全保障上の優先事項であり、北極圏での「敵対勢力の抑止」に不可欠だという見方を示しています。
政権中枢から強い踏み込み発言も
今週5日には、ホワイトハウス副首席補佐官のスティーブン・ミラー氏がCNNのインタビューで、米国がグリーンランドを掌握しようとすれば「誰も米国と戦わない」との見方を述べ、「グリーンランドは米国の一部であるべきだ」という立場が米政府の正式な位置づけだと語りました。
トランプ大統領も今週4日、米誌の電話インタビューで「防衛のためにグリーンランドが必要だ」と改めて主張。あわせて、ベネズエラが米国の介入対象として最後の例ではない可能性に触れたとされています。
ベネズエラ介入とSNS投稿が波紋を拡大
報道によると、米国は今週3日未明、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を強制的に拘束。これを受け、ミラー氏の妻でトランプ氏の盟友でもあるケイティ・ミラー氏が、米国旗を重ねたグリーンランドの地図画像に「SOON」と添えてXに投稿しました。軍事オプションに関する発言と相まって、意図をめぐる憶測が広がっています。
グリーンランド・デンマーク・欧州側の反応
グリーンランドのイェンス=フレデリク・ニールセン首相は6日、「私たちの国は、あなたが望むからといって否定したり、乗っ取ったりできるものではない」とする声明を発表。「国際社会の非常に基本的な原則が挑戦を受けている」と懸念を示しました。
デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は、米国がNATO加盟国を軍事的に攻撃する事態になれば「すべてが止まる。NATOも、第二次世界大戦後に築かれてきた安全保障も止まる」と警告しました。
さらに6日、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、スペイン、英国、デンマークの首脳は共同声明を発表し、「デンマークとグリーンランドに関する事柄を決めるのは、デンマークとグリーンランドだけだ」と強調。北極圏の安全保障が欧州にとって重要であり、NATOも優先課題として位置づけ、欧州側も同地域での関与を増やしていると述べました。
背景:自治拡大の歴史と「誰が何を決めるのか」
グリーンランドはかつてデンマークの植民地でしたが、1979年に自治権(ホームルール)が付与され、2009年には自治政府法により内政面の権限が拡大しました。一方で、外交・防衛・安全保障はデンマークが権限を保持しているとされています。
今回の議論は、単に領土の話にとどまらず、次のような論点を同時に含みます。
- 安全保障:北極圏での抑止と軍事プレゼンス
- 同盟:NATOの相互信頼と「加盟国への武力」をめぐるタブー
- 国際原則:自治領と宗主国、そして住民の意思の位置づけ
専門家の警鐘:「戦略的な大惨事になりうる」
人権財団で「クレプトクラシー(汚職的権力構造)対策」プログラムを率いるケイシー・ミシェル氏は6日、米国がグリーンランドを併合(annex)しようとすれば「米国にとって戦略的な大惨事になる」と警告しました。島の領有主張は制御不能な連鎖を招き、同盟が持ちこたえられるのか、将来にわたって米国を信頼できるのかという疑念を増幅させかねない、という趣旨です。
今後の焦点:言葉が先行するのか、制度が歯止めになるのか
現時点で、米国がどの手段を現実に追求するのか、またデンマークやグリーンランド側との協議の枠組みがどう設定されるのかは見通せません。ただ、北極圏の安全保障を理由に「獲得」を掲げ、軍事の可能性に言及すること自体が、同盟国間の信頼と国際原則の両方に緊張を生みます。今週に相次いだ発言と反発は、2026年の年初から、北極圏をめぐる外交の温度が一段上がっていることを示しています。
Reference(s):
Trump weighs options to acquire Greenland including using force
cgtn.com








