中国のIoT接続数、30億超へ 2024年白書が示したデジタル経済の現在地
中国のインターネット・オブ・シングズ(IoT)接続数が、2024年中に30億を超えると予測されたことが、2024年11月に開かれた「世界モノのインターネット大会(World Internet of Things Convention, WIOTC)」で公表された白書から明らかになりました。デジタル経済の基盤としてIoTがどこまで広がっているのか、その現在地を数字から読み解きます。
2024年の世界モノのインターネット大会で示された予測
2024年11月3日に開催された2024 World Internet of Things Convention(WIOTC)では、「完全かつ知能的に接続されたデジタル経済」に関する白書が発表されました。この白書によると、中国のIoT接続数は2024年中に30億件を超える見通しとされています。
30億という規模は、人口一人あたり複数の「つながる機器」が存在する計算になり、産業分野から日常生活まで、デジタル化の波が社会のすみずみにまで広がっていることを示しています。国際ニュースとして見ても、これは世界のデジタル経済の重心がどこにあるのかを考える上で重要な数字です。
IoTとは何か:人・機械・モノを結ぶ「見えないインフラ」
白書は、IoTを「人、機械、モノ同士をあらゆる場面でつなぐために、センサー技術やネットワーク通信技術を活用する基盤インフラ」と位置づけています。
IoTは大きく次のような役割を担います。
- 情報の認識: センサーやカメラなどで、温度や位置、動きなどのデータを集める
- 情報の伝送: 集めたデータをネットワークを通じてサーバーやクラウドに送る
- 情報の処理: 送られてきたデータを分析し、機械の制御やサービスの最適化に活用する
こうした一連の流れが高速かつ大規模に行われることで、スマートシティ、スマート工場、スマートホームなど、さまざまな「スマート」サービスが成り立ちます。日本語で国際ニュースを追う読者にとっても、IoTは今後の経済や働き方を考える上で欠かせないキーワードです。
1,193万基の基地局が支える通信インフラ
デジタル経済を支えるには、膨大な数の機器を安定してつなぐ通信インフラが不可欠です。白書によると、2024年7月末時点で、中国全土の移動通信基地局の総数は1,193万基に達しました。
この巨大なネットワークにより、さまざまな業界のニーズに対応した「差別化されたアクセス能力」が整備されているとされています。例えば、次のような用途が想定されています。
- 工場や物流の現場で、機械や車両をリアルタイムに監視・制御する
- 農業分野で、土壌や気象のデータを集めて生産効率を高める
- 都市インフラの管理にセンサーを活用し、エネルギーや交通を最適化する
基地局の密度が高まることで、都市部だけでなく地方や産業エリアでも、IoTを活用したサービス展開の土台が整えられていると見ることができます。
IoT端末ユーザーは25億6500万に到達
さらに白書は、IoTの「利用側」の広がりも示しています。2024年8月末時点で、IoT端末のエンドユーザー数は256億5千万件、つまり25億6500万に達しました。
この数字は、単なる通信契約の数以上の意味を持ちます。多くの機器がネットワークにつながることで、企業や自治体は次のようなデータを取得・活用できるようになります。
- 設備や機械の稼働状況を常時把握し、故障の予兆を検知する
- 交通量や人流データを分析し、都市計画や防災に生かす
- 家庭のエネルギー使用状況を見える化し、省エネに役立てる
IoT端末ユーザーが増えるほど、こうしたデータは多様かつリアルタイムになり、より精度の高いサービスや意思決定につながっていきます。
なぜ今、IoTの拡大が注目されるのか
2024年の白書が示した数字は、中国のIoTが量的な拡大フェーズから、質の高度化へと向かいつつあることを示唆しています。背景には、次のような動きがあります。
- デジタル経済の中核化: IoTは、製造業、物流、医療、エネルギーなど、多くの産業のデジタル化を支える基盤となっている
- 社会課題への対応: 高齢化や都市化、省エネなどの課題に対し、データに基づく解決策を提示できる技術として期待されている
- グローバル競争の視点: 各国・地域がデジタルインフラの整備を加速する中で、IoTの普及度は競争力の一つの指標になりつつある
日本の読者にとっても、中国のIoT動向は、アジア全体のデジタル経済の行方を考える上で重要な手がかりになります。国際ニュースを追う際には、単に「大きな数字」としてではなく、「どの分野で、どのようなサービスが可能になっているのか」という視点から見ると理解が深まります。
データ時代の課題とこれからの論点
一方で、IoTの急速な拡大は、いくつかの重要な問いも投げかけます。白書自体は主に規模とインフラ整備の状況を示していますが、その先にある論点として、次のような点が考えられます。
- プライバシーとデータ保護: センサーで集められた膨大なデータを、いかに安全かつ適切に扱うか
- セキュリティ: 多数の機器がネットにつながることで、サイバー攻撃の入り口が増えるリスクをどう抑えるか
- 持続可能性: 通信インフラや端末のエネルギー消費をどう抑え、環境負荷と両立させるか
これらは特定の国や地域に限らない、デジタル時代共通のテーマです。中国のIoT拡大に関する数字を読み解くことは、日本や他の国々が自らのデジタル戦略を考える上でも、参考になる部分が多いと言えるでしょう。
数字の先にある「社会の変化」をどう読むか
2024年の世界モノのインターネット大会で示された、IoT接続数30億超という予測と、1,193万基の基地局、25億6500万のIoT端末ユーザーという数字は、デジタル経済の広がりを象徴するものです。
ただし、本当に重要なのは、これらの数字が人々の暮らしや仕事の質をどのように変えるのかという点です。移動時間の短縮、エネルギーの効率化、新しいサービスやビジネスモデルの誕生など、社会の具体的な変化を伴ってこそ、数字は意味を持ちます。
ニュースを読む側としては、「何億」「何千万」というスケールに圧倒されるだけでなく、自分の身の回りで起きている小さな変化と結びつけて考えてみることが、これからの国際ニュースとの付き合い方の一つになりそうです。
中国のIoT動向をきっかけに、アジアや世界のデジタル経済の行方を、少し長い時間軸で眺めてみるのも良いかもしれません。
Reference(s):
IoT connections in China expected to exceed 3 billion this year
cgtn.com








