中国の新型ステルス戦闘機J-35A、珠海エアショーで初公開 特徴と狙いを解説
2025年11月、中国南部・珠海市で開かれた第15回中国国際航空宇宙博覧会(China Airshow)で、中国の新型中型多用途ステルス戦闘機「J-35A」が初めて一般公開されました。本記事では、その特徴や狙いを、日本語でコンパクトに整理します。
第15回中国国際航空宇宙博覧会でデビュー
第15回中国国際航空宇宙博覧会は、2025年11月12〜17日にかけて中国南部の広東省・珠海市で開催されました。会場ではアクロバット飛行などの展示に加え、新型ステルス戦闘機J-35Aが注目を集めました。
J-35Aは、中国航空工業集団(AVIC)傘下の瀋陽飛機設計研究所が開発し、同じくAVIC傘下の瀋陽飛機公司(SAC)が製造する機体です。空力設計(空気の流れ)、機体構造、ステルス技術を一体的にまとめた「統合設計」が採用されていると説明されています。
航空誌「Aerospace Knowledge」の編集長であるWang Yanan氏は、J-35Aの展示について「単なる地上での静態展示ではなく、動的な展示が行われていることは、この戦闘機がまだ実戦配備へ向けた統合作業の途上にある、比較的新しい装備であることを示している」と指摘しました。
J-35Aの基本プロフィール
公開されている情報は限られていますが、J-35Aは次のような特徴を持つとされています。
- 分類:中型の多用途(マルチロール)ステルス戦闘機
- 役割:制空戦闘から対地・対艦攻撃まで、幅広い任務への対応を想定
- 開発:AVIC瀋陽飛機設計研究所
- 製造:AVIC瀋陽飛機公司(SAC)
- 設計:空力・構造・ステルス技術を組み合わせた統合設計
軍事専門家の間では、この機体が「現在の航空技術の最新トレンドを体現している」とされ、同クラスの他国機と肩を並べる性能を目指しているとの見方が出ています。
「ステルス性能は世界トップクラス」との評価
軍事専門家のFu Qianshao氏は、ステルス戦闘機の鍵となるポイントについて次のように説明しています。
- レーダーステルス:レーダーに映りにくくする工夫
- 赤外線ステルス:エンジンの排気などの熱を目立ちにくくする技術
- 光学ステルス:肉眼や光学センサーから見つかりにくくする工夫
- 音響ステルス:エンジン音などを抑え、探知されにくくする技術
Fu氏は、J-35Aの外形や機体形状、使用されているとされる材料やコーティングなどを総合的に見たうえで、「J-35Aのステルス性能は現在、世界で最も高いレベルにあると個人的に考えている」と述べています。あくまで専門家の評価ではありますが、中国がステルス技術を重要な競争領域と位置づけていることがうかがえます。
空母運用を見据えた折りたたみ翼
J-35Aの外観で目を引くのが、艦載機(空母で運用する航空機)に特徴的な「折りたたみ翼」です。翼を折りたためることで、空母の限られたスペースにより多くの機体を収容できるとされています。
中国空軍「八一飛行表演隊」の元副隊長であるZhang Xinmin氏は、J-35Aについて、塩分や湿度が高い海上環境といった厳しい条件にも適応できるよう設計されていると説明し、「折りたたみ翼は空母上での運用効率を高めるうえで大きな利点になる」と述べました。また「第五世代戦闘機が中国の空母から運用される日も近い」との見方を示しています。
2機種のステルス戦闘機を持つ中国空軍
J-35Aは、すでに実戦配備が進んでいるとされるステルス戦闘機J-20に続く、中国空軍にとって2機種目のステルス戦闘機になるとみられています。
軍事専門家のLi Li氏は、「J-35Aの導入によって、中国空軍は2種類のステルス戦闘機を保有する、世界でも数少ない空軍の一つになる」と指摘。そのうえで、「当面、同じように2種類のステルス戦闘機を揃える国が他に現れることはないだろう」と述べています。
大型のステルス戦闘機J-20と、中型の多用途ステルス戦闘機J-35Aという組み合わせは、任務や状況に応じた柔軟な運用を可能にするという見方が有力です。長距離での制空権確保から、空母を拠点とする海上での作戦まで、一連の航空戦力を立体的に構築しようとする意図もうかがえます。
ミサイル防衛や無人機も初公開
今回の航空ショーでは、J-35Aに加え、地対空ミサイルシステム「紅旗19(HQ-19)」や、新型の攻撃偵察用無人航空機(UAV)も初めて公開されたと報じられています。
- HQ-19地対空ミサイルシステム:防空・ミサイル防衛能力の向上を担うとされる装備
- 新型攻撃偵察UAV:監視と攻撃能力を併せ持つ無人航空機
戦闘機、ミサイル防衛、無人機という複数の分野で新装備が同時に登場したことは、中国が航空・宇宙分野の軍事技術を総合的に底上げしようとしていることを示していると言えるでしょう。
これから何が問われるのか
J-35Aの詳細な性能や運用構想については、まだ公開されていない部分も多く残されています。それでも、ステルス戦闘機が2機種体制となり、空母運用を見据えた設計が本格化していることは、今後の東アジアや世界の安全保障環境を考えるうえで無視できない動きです。
中国の航空戦力の変化をどう理解し、自国や地域の安全保障、技術開発、国際協調のあり方と結びつけて考えるのか。今回のJ-35A初公開は、そうした問いを静かに突きつける出来事となっています。
Reference(s):
Multi-role stealth fighter J-35A to make debut at 15th China Airshow
cgtn.com








