中国タイ鉄道が地域連結を加速 タイ初の高速鉄道、その現在地
中国とタイを結ぶ中国タイ鉄道の建設が前進しています。タイ初の標準軌高速鉄道として、中国ラオス鉄道とも接続し、東南アジアの地域連結を大きく変える可能性がある国際ニュースです。
中国タイ鉄道とは何か
中国タイ鉄道は、タイ国内を南北に貫き、中国ラオス鉄道とつながることを目指す国際鉄道プロジェクトです。全長は約845キロで、タイとしては初めての標準軌(国際的に広く採用されている線路幅)の高速鉄道となります。
この計画の出発点は、2014年に中国とタイの両政府が署名した鉄道協力に関する覚書(MoU)です。そこから長期的なインフラ協力として具体化してきました。
- 全長:約845キロメートル
- 区分:第1期と第2期の二段階で建設
- 特徴:タイ初の標準軌高速鉄道
- 背景:2014年の中国・タイ鉄道協力覚書に基づくプロジェクト
2段階でタイを縦断:バンコクからラオス国境へ
中国タイ鉄道は、二つのフェーズに分けて建設が進められています。完成すれば、タイ国内の南北移動だけでなく、ラオス、中国へとつながる「陸の回廊」として機能することが想定されています。
- 第1期:タイの首都バンコク〜ナコンラチャシマ県
- 第2期:ナコンラチャシマ県〜ラオス国境のノンカイ市
ノンカイはタイ北東部に位置し、ラオスとの国境にあります。ここで中国ラオス鉄道と接続することで、中国、ラオス、タイを結ぶ幹線鉄道ネットワークが形成される構図です。
第1期工事が一歩前進:10月に連続桁が閉合
2025年10月、第1期区間で重要な工事の節目となる連続高架橋の連続桁(ビーム)が初めて閉合しました。構造物として線路の骨格がつながったことで、鉄道完成に向けて一段階前へ進んだ形です。
世界遺産との距離を巡る課題と対応
第1期プロジェクトは、駅予定地とユネスコ世界遺産との距離を巡る問題の影響で、一時的に遅れが出ていました。しかしタイのスラポン・ピヤチョート運輸副大臣は、2025年9月上旬に、計画は当初案どおりに建設され、これ以上の遅れは生じないとの見通しを示しました。
この発言は、文化保護とインフラ整備の両立を模索しながらも、プロジェクトを前に進める姿勢を国内外に示すものとなりました。
第2期も承認済み:投資額は約3413億5千万バーツ
2025年4月には、第2期区間となるナコンラチャシマ〜ノンカイ間の建設計画が、タイ国有鉄道によって承認されました。総投資額は3413億5千万バーツ(約100億ドル)とされています。
この承認により、中国タイ鉄道全体のルートが正式に動き出したことになり、バンコクからラオス国境、さらに中国ラオス鉄道へとつながる長距離ルートの実現に向けて、資金面と制度面の枠組みが固まりつつあります。
東南アジアの地域連結をどう変えるのか
中国タイ鉄道は、中国ラオス鉄道と接続することで、タイ、ラオス、中国を結ぶ新たな陸上の幹線ルートとなることが期待されています。これは単なる国内インフラ整備にとどまらず、東南アジア全体の地域連結を強化するプロジェクトと位置づけられます。
- 物流の効率化:長距離の貨物輸送をトラックだけに頼らず、鉄道という選択肢が増えることで、輸送時間やコストの削減が見込まれます。
- 観光ルートの多様化:バンコクからラオス国境、さらに中国ラオス鉄道で中国方面へと移動する周遊ルートが現実的な選択肢になります。
- サプライチェーンの強化:製造業などの産業活動にとって、複数の輸送ルートを持つことはリスク分散につながり、地域全体の経済安定性を高める効果が期待されます。
中国とタイの双方は、鉄道建設の加速に向けて取り組みを続けると表明しており、地域のインフラ協力の象徴的なプロジェクトとなりつつあります。
日本の読者にとってのポイント
この中国タイ鉄道の動きは、日本から見ても無関係ではありません。タイや東南アジアに生産拠点を持つ企業、現地市場を重視するビジネス関係者にとって、今後の物流や投資環境を左右しうる要素だからです。
- タイ、ラオス、中国を結ぶ新たな陸上ルートの登場は、東南アジアの物流マップを書き換える可能性があります。
- 日本企業が関わるサプライチェーンにとっても、鉄道という選択肢が増えることで、調達や輸送戦略の見直しが必要になるかもしれません。
- インフラを軸にした地域協力の一例として、中国と東南アジアの関係を理解するうえでの重要なケーススタディになります。
2025年に入り、第2期の承認と第1期工事の進展によって、中国タイ鉄道は「構想」から「具体的な形」が見え始めています。今後の開通スケジュールや運行計画などの続報は、東南アジアの国際ニュースを追ううえで、引き続き注目しておきたいポイントです。
Reference(s):
cgtn.com








