広東・香港・マカオ共同開催へ 2025年中国国民体育大会の準備とグリーン戦略
2025年11月に予定されていた第15回中国国民体育大会(China National Games)は、広東省・香港・マカオが初めて共同で開催する歴史的なスポーツイベントと位置づけられていました。大会1年前の段階で、主催者は環境に配慮した運営とスムーズな大会実現に自信を深めていたとされています。本記事では、その準備状況とキーワードになった「グリーンな大会づくり」を整理します。
4年に一度の「中国最高峰」スポーツ大会
中国国民体育大会は、4年ごとに開かれる中国最大規模の総合スポーツ大会で、国内最高レベルの競技が集まる場とされています。2025年の第15回大会については、次のような計画が示されていました。
- 開催期間:2025年11月9日〜21日
- 開催形式:広東省・香港・マカオの3地域による初の共同開催
- 競技数:34の大項目と401の小項目
- 象徴的な競技:男子自転車ロード個人タイムトライアルが広東省・香港・マカオを結ぶコースに、マラソンは深圳と香港をつなぐコースになる計画
単に競技数が多いだけでなく、複数の地域をまたぐコース設定を通じて、一体感や連携を打ち出そうとする構想が見て取れます。
開閉会式からボランティアまで、準備は着々
大会1年前の時点で、広東省の中心都市である広州と深圳では、開会式と閉会式の演出案がすでにまとめられていたとされています。また、聖火リレーのデザイン、公募によるロゴマークの選定、会場間の交通計画なども順調に進んでいたと伝えられました。
運営を支えるボランティアについても、カウントダウン開始のタイミングで募集が始まり、翌年1月から本格的な研修が始まるスケジュールが示されていました。巨大イベントの成否を左右する「人の準備」も、早い段階から動き出していたことが分かります。
キーワードは「グリーン」 既存会場を低炭素化
主催者が特に強調していたのが、「グリーンな大会運営」です。広東競技区執行委員会の副主任である崔健(Cui Jian)氏は、エネルギー節約や環境保護、持続可能な開発の考え方を大会準備の全過程に貫く方針を示しました。
その具体策として、次のような点が挙げられています。
- 新設ではなく既存のスタジアムや体育施設を可能な限り活用する
- 既存施設を改修し、省エネ性能や低炭素化を進める
- 改修を終えた会場を、大会のかなり前の段階で順次供用開始する計画
- 大会後も「国民のフィットネス(国民の健康づくり)」の需要を踏まえて再利用することを前提に設計する
崔氏は、すべての改修済み会場を大会のかなり前に使える状態にし、大会後も地域の人々のスポーツ利用の場として生かしていく考えを示しました。世界各地で問題となってきた「大会が終われば空き施設になる」という状況を避けようとする意図がうかがえます。
広州のアジア大会公園でカウントダウンイベント
第15回大会の1年前を記念して、広州市のアジア大会公園では土曜日の夜にカウントダウンイベントが開かれる予定とされていました。このイベントは、広東省・香港・マカオが共同で大会を支えるというメッセージを内外に発信し、地域の人々の期待感を高める狙いがあると考えられます。
こうしたカウントダウンイベントは、開催地の住民や周辺地域の人々が大会を「自分ごと」として感じるきっかけにもなります。準備段階から雰囲気づくりを進めることは、大会そのものの成功だけでなく、その後のレガシー(残された資産)をどう生かすかという点でも重要です。
2025年12月の今、何を読み取るか
2025年12月の視点から見ると、第15回中国国民体育大会に向けて掲げられていた「共同開催」と「グリーン」の二つのキーワードは、今後の大型スポーツイベントを考えるうえで示唆に富んでいます。
- 複数地域での共同開催は、インフラの集中投資を避けつつ、経済効果や注目を広く分かち合うモデルになり得る
- 既存施設の改修と再利用を前提にした計画は、環境負荷の低減だけでなく、地域のスポーツ文化を長期的に支える可能性がある
- ボランティアやカウントダウンイベントを通じた「参加型」の大会づくりは、人々の記憶に残るレガシーにもつながる
中国の国内大会ではありますが、広東省・香港・マカオの連携や、環境配慮を前面に出した大会運営の試みは、国際スポーツイベントのあり方を考えるうえでも参考になる点が多いといえます。今後、こうした方針が実際の運営や大会後の施設活用にどのように反映されていくのか、引き続き注目していきたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








