ロシア要人が評価する中国の気候変動対策 EVとグリーン金融のインパクト
ロシアの要人ボリス・ティトフ氏が、中国の気候変動対策を高く評価しました。2030年目標の一部を前倒しで達成したとされる中国の動きと、その国際的な意味を整理します。
「中国は行動で示している」ロシア側の評価
ティトフ氏は、ロシア中国友好平和発展委員会の議長であり、ロシア大統領の「持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた国際機関との関係」担当の特別代表も務めています。その立場から、中国の気候変動への取り組みについて次のように述べました。
- 中国は気候変動に対して、すでに具体的な行動を示している
- 2023年以降の政策と行動をまとめた最新の報告書によれば、2030年までに達成予定だった重要な目標の一部を前倒しで達成している
- 気候変動対策の取り組みは「広い分野にまたがって」進められており、その経験は重要で興味深い
気候分野でロシアの高官がここまで踏み込んだ評価を示すのは、国際ニュースとしても注目すべき動きと言えます。
電気自動車がけん引する「エコ文明」へのシフト
ティトフ氏が具体例として挙げたのが、中国発の電気自動車(EV)の存在感です。中国のEVが世界市場で存在感を高めることで、二酸化炭素(CO2)排出や大気汚染の削減に貢献していると指摘しました。
この動きは、中国が掲げる「生態文明(エコロジカル・シビライゼーション)」の目標とも結びついています。自動車産業の電動化は、エネルギー転換だけでなく、都市の空気や生活の質にも直結するため、象徴的な分野と言えます。
第14次五カ年計画:石炭からクリーンエネルギーへ
ティトフ氏は、中国が2021〜2025年を対象とする第14次五カ年計画の中で、「グリーンな課題」に大きな重点を置いている点も評価しました。計画の方向性として示されたのは、主に次のような流れです。
- エネルギー消費に占める石炭の比率を引き下げる
- 天然ガスの利用を拡大する
- 太陽光や風力、水素、原子力などの再生可能・クリーンエネルギーを積極的に導入する
従来の化石燃料中心の構造から、多様なクリーンエネルギーへとエネルギーミックスを切り替えていくことが、気候変動対策と経済成長を両立させる鍵とみられています。
グリーン金融が支える「2060年カーボンニュートラル」
ティトフ氏は、中国のグリーン金融の取り組みも高く評価しました。グリーン金融とは、再生可能エネルギーや省エネ技術、環境保全プロジェクトなど、環境に配慮した分野に資金を優先的に流す金融の仕組みを指します。
中国でグリーン金融が発展することで、インフラ投資や産業転換が後押しされ、2060年までのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量の実質ゼロ)達成に向けた見通しが強まるとティトフ氏は見ています。
公正な「世界の炭素市場」をどうつくるか
ティトフ氏は、ロシア大統領の特別代表として、国際的な炭素市場のあり方にも言及しました。彼が強調したのは、各国が炭素単位(カーボンユニット)を取引できる、公正な世界の炭素市場を構築する必要性です。
そのための条件として、次の点を挙げています。
- より多くの国を対象とする共通の基準(スタンダード)を整えること
- 炭素単位の算定や検証方法を透明にし、市場参加者間の信頼を高めること
排出削減量を取引する「炭素市場」は、ルール設計次第で公平性や実効性が大きく変わります。ティトフ氏の発言は、そのルールづくりにロシアも関与していく姿勢をにじませたものと言えます。
COP29への期待と今後の焦点
2024年11月11日〜22日にアゼルバイジャンで開催された国連気候変動会議(COP29)について、ティトフ氏は、公正なグリーントランジション(公正な移行)と、気候変動対策のための実効性ある資金メカニズムづくりで、新たな進展があることへの期待を表明しました。
2025年の今、各国がどのように移行政策と資金メカニズムを具体化していくのかは、引き続き国際ニュースの重要なテーマです。その中で、中国の取り組みや、ロシアを含む各国との協力のあり方は大きな注目を集め続けています。
このニュースから私たちが考えたいこと
今回の発言は、気候変動が対立ではなく協力の土台にもなり得ることを示しています。エネルギー政策、産業転換、金融、国際ルールづくりと、気候変動対策は社会のさまざまな分野と結びついています。
日本やアジアに暮らす私たちにとっても、次のような点は身近な問いになりつつあります。
- EVや再生可能エネルギーの普及は、自分たちの生活や仕事をどう変えていくのか
- グリーン金融や炭素市場の仕組みは、投資やビジネスのルールをどう変えるのか
- 中国やロシアを含む各国が、どのように協力しながら気候変動に向き合っていくのか
中国の動きに対するロシア側の評価は、国際社会全体が「気候変動とどう共存し、どう抑えていくのか」を模索している現在地を映し出しているとも言えます。今後の政策や国際交渉をフォローしながら、自分なりの視点をアップデートしていきたいテーマです。
Reference(s):
Russian official lauds China's efforts in addressing climate change
cgtn.com








