第1回「文化中国」大学院生イノベーション大会、全国決勝が終了
中国の大学院生による初の人文・教養系コンテスト「Cultural China Innovation and Creativity Competition(文化中国イノベーション&クリエイティビティ大会)」の全国決勝がこのほど終了しました。伝統文化をテーマにしたデジタル作品や舞台表現など、2,000件を超える応募が集まり、文化と創造性をかけ合わせた新しい挑戦が注目を集めています。
初の人文系コンテスト「Cultural China Competition」とは
今回の「Cultural China Competition」は、「China Graduate Students Innovation and Practice Competitions(中国大学院生イノベーション&実践コンペティション)」シリーズの中で、初めて「リベラルアーツ(人文教養)」をテーマに据えたイベントです。
理工系やビジネス系のコンテストが目立つ中で、あえて文化・芸術・物語性といった領域に光を当てた点が特徴です。参加した大学院生たちは、伝統文化の「価値」や「意味」を、現代の感性や技術とどう結びつけ直すかに挑みました。
全国から12,000人超が参加、決勝では3チームが「スター」に
大会には、中国各地の442大学から、教員・学生あわせて1万2,000人以上が参加しました。応募作品は合計2,942件にのぼり、書類審査や予選を経て全国決勝に進んだチームが、作品を披露しました。
激しい競争の末、上位3チームが「Stars of Cultural Innovation and Creativity(文化イノベーション&クリエイティビティのスター)」の称号を獲得しました。
- 1位:China Academy of Art のチーム
- 2位:Shandong University のチーム
- 3位:China Academy of Art の別チーム
同じ大学から1位と3位に2チームが入賞したことから、芸術系の教育機関における創造性育成の力も印象づける結果となりました。
2,942件の応募作品が問い直した「伝統文化」の意味
今回のコンテストでは、大学院生たちがさまざまな手法で伝統文化の価値や背景を掘り下げました。応募作品のスタイルは多岐にわたります。
- デジタルクリエイティブ:アプリ、映像、インタラクティブ作品など、デジタル技術を用いた表現
- ドラマ・演劇:物語や舞台を通じて歴史や思想を読み替える試み
- 文学作品:小説、詩、エッセイなど、言葉で文化を描き直す創作
- ダンス表現:身体表現を通して伝統的なモチーフや精神性を再解釈する舞台
共通しているのは、「古いものをそのまま守る」のではなく、「いまの言葉とかたちで伝え直す」という姿勢です。若い世代が、伝統文化を抽象的な「遺産」ではなく、自分たちの創作の源泉として扱っていることがうかがえます。
なぜいま「文化×イノベーション」が重視されるのか
経済やテクノロジーの競争が激しくなる中で、各国・各地域が改めて見直しているのが「文化」の力です。今回のコンテストが示しているのは、次のようなポイントです。
- 文化はコンテンツ産業の土台:物語や歴史観が、映画、ゲーム、観光など多くの産業の原動力になります。
- デジタル化による継承:デジタル表現を使うことで、若い世代や海外の人々にも伝わりやすくなります。
- 多様な解釈が対話を生む:同じ伝統文化でも、文学・演劇・ダンスなど、異なる表現が交わることで新しい視点が生まれます。
単なる「文化紹介」ではなく、大学院生自身が問いを立て、新しい解釈を提示する場になっていることが、この大会の特徴と言えます。
日本の読者にとっての示唆
今回の「Cultural China Competition」は、中国の大学院生のコンテストですが、そのテーマ設定や作品の幅広さは、日本の大学やクリエイターにとっても考えるヒントを与えます。
- 自国や地域の伝統文化を、現代の技術やSNS時代の表現とどう結びつけるか
- 専門分野(理工・経済など)と人文系の知をどう横断させるか
- 若い世代が「自分ごと」として文化を捉えるために、どんなコンテストや場が必要か
「読みやすいストーリー」と「考えさせられる問い」を両立させる今回の大会のあり方は、日本を含むアジア各地の教育や文化政策を考えるうえでも、参考になる点が多いといえます。
これからの「文化中国」コンテストに期待されること
第1回大会が終わったことで、今後どのようなテーマや形式で続いていくのかにも注目が集まりそうです。
- 少数言語や地域文化など、より細かなテーマへの広がり
- オンライン配信や国境を越えた共同制作など、発表形式の多様化
- 大学院生だけでなく、高校生や社会人との連携の可能性
文化をめぐるイノベーションは、一度きりのイベントではなく、世代を超えて続いていくプロセスです。今回「Stars of Cultural Innovation and Creativity」に選ばれたチームの今後の活動にも、静かな関心が集まりそうです。
Reference(s):
First Cultural China Innovation and Creativity Competition concludes
cgtn.com








