中国気候特使が語るCOP29と気候資金 EUとの協力はどこへ
地球温暖化対策をめぐる国際ニュースとして、中国の気候変動問題特使・劉振民氏が、近くアゼルバイジャンのバクーで開かれる国連気候変動会議COP29を前に、先進国と途上国が「共に責任を負うべきだ」と強調しました。気候資金をめぐる攻防やEUの姿勢、中国のグリーン転換の現状を整理します。
中国特使「先進国と途上国の共同努力が不可欠」
中国の特使として気候外交を担う劉振民氏は、新華社のインタビューで、気候変動への対応は先進国と途上国の双方が協力してこそ実を結ぶと語りました。中国はEUをはじめとする各国・地域と連携し、パリ協定の着実な実施を進める考えを示しています。
劉氏は、アゼルバイジャンの首都バクーで開かれる予定のCOP29に出発する直前に発言し、今回の会議では「気候資金」が最大の焦点になるとの見方を示しました。
COP29の焦点は気候資金 先進国にリーダーシップ要求
劉氏が特に強調したのが、先進国による資金支援の役割です。パリ協定の理念に沿えば、先進国は途上国の気候対策とエネルギー転換を支えるため、率先して資金を拠出する責任があると指摘しました。それは道義的な責務であるだけでなく、国際的な合意に明記された義務でもあるとしています。
2009年のコペンハーゲンでの国連気候会議では、先進国が途上国の支援に年間1000億ドルを拠出するという約束が交わされましたが、この約束はこれまで十分には履行されていないとされています。
劉氏は、この資金規模は世界的なエネルギー転換に必要な総額から見れば決して大きくはないものの、「効果的な国際協力の象徴的な取り組みだ」と評価しました。こうした公的資金が、民間投資や国際市場からの資金を呼び込み、より大きな資金循環を生み出す起点になりうると見ています。
COP29では、2025年以降の新たな世界の気候資金目標が主要議題となる予定です。どの国がどの程度の役割を担うのかをめぐって意見の隔たりも予想され、劉氏は合意形成は容易ではないという認識を示しました。
EUの交渉方針と内部の揺らぎ
EUは今年10月、COP29に向けた交渉方針で合意し、新たな「世界全体の気候資金目標」を支持する立場を示しました。ただし、その声明ではEUとしての具体的な負担の在り方には踏み込まず、新興国を含む「すべての国」に対し、より大きな財政的役割を求めています。
過去10年ほど、EUは途上国向けの気候資金支援で比較的前向きな役割を果たしてきました。一方で、欧州議会や各加盟国の最近の選挙では、一部の政党で気候変動対策への政治的な熱意が後退している兆しも見られます。
劉氏は、EUが世界の気候ガバナンスにおける重要なアクターであることを踏まえ、「こうした内政上の課題が、責任を他者に転嫁する理由になってはならない」と述べ、国際社会に対する約束を引き続き果たすようEUに呼びかけました。
中国のグリーン転換と南南協力
中国は途上国でありながら、自国のグリーン転換でも一定の成果を上げていると劉氏は説明します。交通分野では電化が急速に進み、高速鉄道が長距離移動の主な公共交通手段となることで、温室効果ガスの排出削減に寄与しています。電気自動車の普及も加速しており、排出削減と大気汚染対策の双方に効果をもたらしているとしています。
COP29に向けて、中国はEUを含む各国と連携し、すべての議題で建設的な協議を行う方針です。パリ協定を「包括的かつ効果的に履行する」成果を目指すとともに、自らの能力の範囲で南南協力を通じて他の途上国の気候対策を支援し続けるとしています。
「協調なくして解決なし」 問われる各国の本気度
劉氏は、「気候変動への対応には、先進国と途上国の双方による共同の努力が不可欠だ」と述べ、中国は今後も国際的な気候協力を積極的に後押ししていくと強調しました。
具体的には、次のような点がCOP29での注目ポイントとなりそうです。
- 2025年以降の気候資金目標をどこまで引き上げられるのか
- 先進国と新興国の間で、負担の配分をどう整理するのか
- 中国とEUを含む主要アクターが、どこまで歩み寄れるのか
気候危機が深まるなか、気候資金をめぐる信頼の再構築と「誰がどれだけ負担するのか」をめぐる対話は、今後の国際秩序や経済にも大きな影響を与えます。COP29は、その方向性を占う一つの節目となりそうです。
Reference(s):
China's special envoy calls for joint efforts to tackle climate change
cgtn.com








