中国とペルー、包括的戦略的パートナーシップを新段階へ APEC首脳会議に合わせ習主席訪問
2024年11月、ペルーの首都リマで開かれた第31回APEC経済首脳会議に合わせて、中国の習近平国家主席が同国を国家訪問しました。ペルーのディナ・ボルアルテ大統領との会談では、中国とペルーの「包括的戦略的パートナーシップ」を新たな段階へ引き上げる方針が示されました。
両首脳は、港湾インフラから文化交流まで幅広い協力強化で一致し、アジア太平洋とラテンアメリカを結ぶ新たな連携のかたちを打ち出しています。
古代文明が結ぶ、中国とペルーの53年
会談で習主席は、中国とペルーはいずれも古代文明を有する国であり、その歴史的蓄積が「時代の流れを見通す知恵」を与えていると強調しました。両国はこれまで、
- 主権の大小にかかわらない「平等」
- 相手を尊重する「相互尊重」
- 経験や文化を学び合う「相互学習」
という原則を掲げ、異なる規模や制度、文化を持つ国同士の「連帯と協力のモデル」として関係を築いてきたと評価しました。
外交関係の樹立から53年間、中国・ペルー関係は安定して発展してきたとされています。習主席は、とくに2016年以降の動きを次のように示しました。
- 2016年以降、両国の貿易額は約1.6倍に拡大
- ペルーにおける中国企業の投資残高は約2倍に増加
- 中国・ペルー自由貿易協定(FTA)の高度化交渉が完了
こうした取り組みにより、両国の人びとに具体的な利益がもたらされていると強調しました。
次のステージへ:貿易・投資・サプライチェーン
習主席は、これまでの成功体験を整理しつつ、「トップレベルデザイン」のさらなる改善を提案しました。ここでいうトップレベルデザインとは、中長期的な戦略や制度、協力枠組みを包括的に設計することを指します。
具体的には、次のような分野での強化が呼びかけられました。
- 貿易と投資の一層の拡大
- 鉱業やインフラなど従来分野に加え、新産業・新技術での協力
- 産業・サプライチェーン(供給網)の連携と統合の強化
また、二国間の実務協力の「質」と「効果」を高めることが重要だとし、中国として協力の将来に大きな期待を示しました。
ガバナンスとリスク分野での連携
両国は、経済だけでなく、統治や治安にかかわる分野でも協力を深める方針です。習主席は、
- ガバナンス(統治)経験の交流
- 戦略的な相互信頼の強化
- 腐敗防止(反腐敗)での協力
- 違法漁業対策での連携
などを挙げ、相手国の核心的利益と重大な関心を互いにしっかり支持していく姿勢を示しました。
チャンカイ港と「海と陸の新回廊」
今回の会談でもっとも象徴的なテーマの一つが、チャンカイ港です。習主席は、チャンカイ港を「一帯一路」構想の下で成功したプロジェクトと位置づけ、この港を起点に中国とラテンアメリカを結ぶ新たな「海と陸の回廊」を築く考えを示しました。
この新回廊は、
- 南米の「インカ道」と
- 21世紀の「海上シルクロード」
を結ぶものとして構想されています。両首脳はチャンカイ港の開業式典にビデオリンク形式で出席し、港の開業を見守りました。
ペルーのボルアルテ大統領は、チャンカイ港がラテンアメリカとアジアをつなぐ重要な懸け橋となり、ペルー経済の成長を牽引する存在になるとの見方を示しました。また、同港がペルーと周辺のラテンアメリカ諸国、そして中国やアジアとの物流・貿易を活性化し、地域全体の持続可能な発展に貢献すると期待を述べています。
文化・教育交流、若者への期待
習主席は、経済協力とあわせて、人と人とのつながりを強める「人文交流」の重要性も強調しました。中国側は、
- 文化・芸術交流の拡大
- 教育や文化財保護分野での協力
- ペルー人学生向け奨学金枠の拡大
などを通じて、両国の若者同士が互いを理解し、友好関係を世代を超えて引き継いでいくことを期待するとしています。
さらに、習主席は、中国とペルーが協力して、文明間の対話と協力のためのグローバルなネットワーク構築を模索すべきだと提案しました。単なる二国間交流にとどまらず、多様な文明同士の対話の場を広げていく構想です。
APECとグローバルサウスの文脈
今回の会談は、第31回APEC経済首脳会議の開催国であるペルーを習主席が訪問したタイミングで行われました。習主席は、アジア太平洋地域の経済が深く統合されている現状を踏まえ、
- 連帯と協力の強化
- 地域の安定と繁栄の維持
が、アジア太平洋「ファミリー」だけでなく、グローバルサウス全体の共通利益にかなうと指摘しました。
中国は、APEC経済首脳会議の議長国としてのペルーの役割を全面的に支持するとともに、各エコノミーと協力して、アジア太平洋における「共有未来を持つ共同体」の構築を進めていく姿勢を示しました。
また、中国は中国・ラテンアメリカフォーラムなどの枠組みを通じて、ペルーと協調しつつ、中国とラテンアメリカ全体の関係発展に積極的に貢献していく考えです。ボルアルテ大統領は、ペルーが一つの中国の原則を堅持していることも改めて表明しました。
これからの注目ポイント
今回の習主席のペルー訪問と首脳会談を踏まえると、今後の焦点として次のような点が挙げられます。
- チャンカイ港を起点とする「海と陸の新回廊」が、ラテンアメリカとアジアの物流・貿易にどのような変化をもたらすか
- 高度化された中国・ペルーFTAと産業パーク協力を通じて、どのような新産業プロジェクトが生まれるか
- 反腐敗や違法漁業対策など、ガバナンス分野での協力がどこまで具体化するか
- 奨学金の拡充や文化交流を通じて、両国の若い世代の相互理解がどのように深まっていくか
中国とペルーの包括的戦略的パートナーシップは、両国関係にとどまらず、アジア太平洋とラテンアメリカを結ぶ国際協力の一つのモデルとして、その行方が注目されます。
Reference(s):
Xi eyes new stage of China-Peru comprehensive strategic partnership
cgtn.com







