中国の洋上風力発電が世界首位に 送電網接続3910万kWのインパクト
2024年第3四半期までに、中国は洋上風力発電の送電網接続容量で世界首位に立ちました。再生可能エネルギーとエネルギー安全保障が交差する国際ニュースとして、今も注目が続いています。
送電網に接続された洋上風力、3910万キロワット
中国では、2024年第3四半期までに合計3,910万キロワット(kW)の洋上風力発電設備が国家送電網に接続されたとされています。これは、洋上風力の送電網接続容量で世界で初めて到達した規模であり、中国がこの分野で世界首位となったことを意味します。
このデータは、中国南部の広西チワン族自治区北海市で開催された「洋上風力発電産業チェーン協力会議」で示されたものです。会議では、洋上風力発電をめぐる最新の戦略や技術、国際協力の方向性が議論されました。
- 送電網に接続された洋上風力容量:3,910万kW
- 世界で初めてこの規模に到達した国とされる
- 国全体の電力システムと連携した形で洋上風力が運用されている点が特徴
設計から保守まで、ほぼ完結した産業チェーン
同会議によると、中国は洋上風力発電について「比較的完備した」技術・産業チェーンをすでに形成しています。対象となる工程は次の通りです。
- 風力発電設備やプラントの設計
- 風車や基礎構造、ケーブルなどの製造
- 海上での建設・施工
- 運転・監視
- 長期の保守・メンテナンス
単に発電設備を増やすだけでなく、関連する産業全体を一体として整備している点が特徴です。これにより、コストの低減やプロジェクトのスピードアップ、技術標準の統一などが進みやすくなると考えられます。
2018年から急拡大、世界シェアの約半分に
中国の洋上風力発電は、この数年で急速に拡大しました。会議で示された数字によると、洋上風力の設備容量は次のように推移しています。
- 2018年:500万kW未満
- 2023年:3,770万kW
わずか数年で約7倍以上に拡大し、2023年末時点では世界全体の洋上風力設備容量のうち、約50%を中国が占めているとされています。量的拡大に加え、送電網への接続容量でも世界トップに立ったことで、中国は洋上風力分野で存在感を一段と高めました。
タービンの国産化率90%超、その意味
中国では、洋上風力タービンの「現地化率(ローカライゼーション率)」が90%を超えたとされています。これは、タービンの主要部品やシステムの大半が国内企業によって生産されていることを意味します。
国産化率の高さは、次のような点で重要です。
- サプライチェーンの安定:海外の供給状況に左右されにくくなる
- コスト競争力の強化:輸送コストや調達コストの削減が期待できる
- 技術蓄積:設計から製造、運用までのノウハウが国内に蓄積される
洋上風力のような大規模インフラでは、部品や技術の内製化が長期的な競争力に直結します。中国がこの分野で高い国産化率を達成していることは、今後の国際市場でのプレゼンスにも影響を与えそうです。
今後の焦点:技術革新と産業クラスター形成
中国工程院の舒印彪(Shu Yinbiao)院士は、洋上風力発電産業の今後について、次のような課題と方向性を示しました。
- 産業統合モデルの革新:他のエネルギー源や産業との連携を含めた新しいビジネスモデルの模索
- コア技術の研究強化:より高効率なタービンや、深海域での建設技術などの開発
- 協調的な産業発展:地域ごとに強みを生かしつつ、全体としての最適な配置を進めること
会議では、戦略的イノベーションや鍵となる洋上風力技術、そして国際協力を通じた「現代的な洋上風力産業チェーン」のあり方も議論されました。今後は、単一のプロジェクトではなく、国際的な競争力を持つ産業クラスター(産業集積)として成長できるかどうかが注目されます。
日本とアジアにとっての示唆
洋上風力発電は、風況が良い海域を持つ多くの国・地域にとって、有望な再生可能エネルギーの選択肢になりつつあります。中国の事例は、日本を含むアジアの国々にとっても、いくつかの示唆を与えています。
- 発電設備だけでなく、設計・製造・建設・運用・保守を含む「産業チェーン」をどう構築するか
- 送電網との接続や系統運用のルールづくりを、どのようなスピード感で進めるか
- 技術・人材・標準化をめぐる国際協力を、どのような形で展開していくか
中国が洋上風力の分野で世界首位に立った背景には、国内市場の大きさだけでなく、産業チェーンを一体的に整えてきたプロセスがあります。その動向を丁寧に追うことは、日本のエネルギー政策や産業戦略を考えるうえでも、参考資料の一つになりそうです。
Reference(s):
China ranks first globally in offshore wind power linked to its grid
cgtn.com








