世界青年科学者サミットが温州で開催 71の国と地域から約800人参加
2024年11月、中国東部の浙江省温州市で「世界青年科学者サミット(World Young Scientist Summit/WYSS)」が開かれ、71の国と地域から約800人の科学者が参加しました。国際ニュースとしても注目されたこのサミットは、デジタル時代の研究のあり方と、若手科学者が担う持続可能な未来づくりの役割を浮き彫りにしました。
今回の国際ニュースのポイント
- 開催地は中国東部・浙江省温州市、期間は2024年11月15〜17日
- 71の国と地域から約800人の科学者が出席
- 国連事務次長や各国の若手研究者が、気候変動や健康、格差などを議論
- 米国、英国、フランス、中国の4人が若手科学者SDGs賞を受賞
- 2019年の開始以来、100カ国超・200以上の機関をつなぐ科学技術交流の場に成長
世界青年科学者サミットとは
世界青年科学者サミット(WYSS)は、中国科学技術協会(CAST)と浙江省政府が共同で主催する国際会議です。今回の2024年会合には、71の国と地域から約800人の科学者が参加し、国際的な科学技術協力や若手研究者の役割について意見を交わしました。
サミットは2019年の開始以来、100を超える国と地域の科学者が集うオープンプラットフォームを築いてきました。これまでに200以上の国際的な科学技術団体や大学と協力関係を結び、共同研究や人材交流の土台づくりに取り組んでいます。
デジタル化が変える「研究のしかた」
全体会合であいさつした中国科学技術協会(CAST)会長の万鋼氏は、情報化・デジタル化・インテリジェンスの波が研究パラダイムを大きく変えつつあると指摘しました。オンラインデータベースやAI(人工知能)など、デジタル技術によって若い世代がより広く、より深く、より便利に知識と情報へアクセスできるようになっているという見方です。
その結果、若手科学者は先人たちの蓄積にスピーディーにアクセスし、「巨人の肩の上」に立ちながら飛躍的な成果を生み出せる環境が整いつつあると強調しました。これは、研究のスピードと質の両方を高める動きとして注目されます。
国連大学学長が語る「若手科学者の役割」
国連事務次長で国連大学学長のツヒリジ・マルワラ氏は、若手科学者が果たす役割の広がりに言及しました。発言によると、若手科学者は次のような分野で重要な存在だと位置づけられています。
- フロンティア科学(最先端の科学分野)の推進
- 地域のイノベーション・エコシステム(地域で新しい技術やビジネスが連鎖的に生まれる仕組み)の構築
- 国境を越えた国際協力の強化
特に、気候変動、健康問題、そして格差の拡大といった地球規模の課題に向き合ううえで、若い研究者の柔軟な発想や分野横断的な連携力が重要だと強調しました。これらのテーマは、日本を含む多くの国や地域に共通する課題でもあり、国際ニュースとしても継続的にフォローすべき論点です。
SDGsに挑む4人の若手研究者を表彰
今回のWYSSでは、米国、英国、フランス、中国の4人の若手科学者が、第2回「Young Scientist Sustainable Development Goals Award(若手科学者SDGs賞)」を受賞しました。この賞は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献する研究に光を当てるものです。
具体的な研究内容は公表されていませんが、受賞対象は気候変動対策、健康、格差是正など、国連が掲げるSDGsに関連する分野とされています。若い研究者の挑戦を国際的な場で評価することで、次世代の研究と国際協力を後押しする狙いがあります。
100カ国超・200以上の機関をつなぐ科学技術ハブ
WYSSは、2019年の開始以来、科学者にとっての「開かれた交流プラットフォーム」として機能してきました。参加してきた科学者は100を超える国と地域に及び、分野や国境を越えた議論が積み重ねられています。
また、サミットを通じて200以上の国際的な科学技術団体や大学と協力関係が築かれてきました。こうしたネットワークは、共同研究プロジェクトの立ち上げや人材育成プログラムの設計など、具体的な連携の基盤となります。
日本の読者にとっての意味合い
今回の世界青年科学者サミットには、世界各地から多様なバックグラウンドを持つ若手研究者が集まりました。日本が直面する気候変動、健康・医療、社会の分断や格差といった課題も、まさに国際的な科学対話が求められるテーマです。
日本の学生や若手研究者、あるいは科学技術政策に関心を持つビジネスパーソンにとって、次のような点は参考になりそうです。
- デジタル化・インテリジェンスが研究の前提をどう変えているか
- 科学技術の議論が、気候変動や健康、格差といった社会課題とどう結びついているか
- 国際会議やネットワークを通じて、若手がどのように連携し得るのか
科学技術は、ともすると専門家の世界の話に見えがちです。しかし、エネルギー価格、災害リスク、感染症対策など、私たちの生活の土台には科学的な知見が深く関わっています。今回のような国際サミットは、研究の場で起きている変化を通じて、社会全体の進む方向を静かに映し出していると言えます。
国際ニュースとしてのWYSSを追いかけることは、単に「どこの国でどんな会議があったか」を知るだけでなく、「科学技術と社会をどうつなぐか」という問いを自分ごととして考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








