リオで中ロ外相会談 BRICS・SCOで協調強化を確認
ブラジル・リオデジャネイロで今週、中国の王毅国務委員兼外相とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が会談しました。中ロ両国は、二国間関係を「包括的戦略的協調パートナーシップ」としてさらに深めつつ、BRICSや上海協力機構(SCO)など多国間の枠組みでも連携を強める方針を改めて打ち出しています。
- 中ロの戦略的協調を一段と強化
- BRICSカザン首脳会議の成果の実行と枠組み拡大を重視
- 中国が議長国を務めるSCOでの協力を深化
- 第二次世界大戦と国連創設80周年の共同記念を提案
- ウクライナ危機と朝鮮半島情勢についても意見交換
中ロ関係の「戦略的協調」をさらに前へ
王毅外相は、中国共産党中央政治局委員としての立場にも触れながら、中ロ関係を位置付けました。王外相は、両国が「包括的戦略的パートナーシップ」をさらに推進し、両国それぞれの「発展と振興」に貢献するとともに、「グローバル・ガバナンス(世界の統治構造)の改革」にも寄与していく考えを示しました。
ここでいう戦略的協調とは、単なる経済協力や政治対話にとどまらず、国際秩序のあり方や多国間のルールづくりに関する方向性を共有しようとする動きだといえます。中ロは、既存の国際枠組みの中から自国の立場をどう反映させるかを重視しており、今回の会談はその流れを改めて確認する場となりました。
BRICSカザン首脳会議の成果を実行 グローバル・サウスの発言力を強化
王毅外相は、BRICS諸国(新興国や主要途上国が参加する協力枠組み)の今後の方向性についても言及しました。ロシアで開かれたBRICSカザン首脳会議の成果を着実に実施し、BRICSの仕組み自体を「拡大し、強化する」必要があると強調しました。
その目的として王外相が挙げたのが、次の三点です。
- グローバル・サウス(世界の新興国・途上国)の影響力を高めること
- 世界の多極化においてより大きな役割を果たすこと
- 国際社会の意思決定プロセスにおける多様な声の反映を進めること
BRICSは、経済協力だけでなく、国際政治や金融制度のあり方をめぐる議論にも関与する場として存在感を増しています。中ロがこの枠組みを通じてグローバル・サウスの発言力強化を打ち出す背景には、各国の立場や開発ニーズを反映した国際秩序を目指したいという思いがあると受け止められます。
中国が議長国を務めるSCOで協力を「新しい段階」に
王毅外相はまた、中国が上海協力機構(SCO)の輪番議長国を引き継いだことに触れました。SCOは、地域の安全保障や経済協力をめぐって協議する多国間枠組みとして機能しています。
王外相は、中国はロシアと緊密に連携し、SCOの発展を「新たなレベル」へと押し上げる用意があると強調しました。安全保障から経済、人的交流まで幅広い分野での協力を深めることで、地域全体の安定と発展につなげていきたいという姿勢がにじみます。
第二次世界大戦と国連創設80周年を見据えたメッセージ
来年が「世界反ファシズム戦争(第二次世界大戦)の勝利」から80周年を迎える節目になることも、今回の会談の重要なテーマとなりました。王毅外相は、中国とロシアが共同で記念行事を企画し、「第二次世界大戦の勝利の成果」と「国際正義」をしっかり守るべきだと述べました。
ラブロフ外相も、第二次世界大戦の勝利の「最も重要な成果」として国際連合(国連)の創設を挙げました。そのうえで、国連創設80周年の機会を生かし、「戦後の国際秩序」を損なおうとする動きに反対し、世界の平和と安定を共同で維持するよう国際社会に呼びかけました。
中ロ両国が第二次世界大戦と国連の節目に合わせて共同歩調を取ることを強調したのは、歴史認識と国際秩序をめぐるメッセージでもあります。歴史から教訓をくみ取りつつ、「未来を切り開く」方向性を示そうとしている点がうかがえます。
「前例のない高水準」にある中ロ関係
ラブロフ外相は現在の中ロ関係について、「前例のない高い水準」にあると評価しました。両国首脳が緊密な連絡を維持し、新たな協力目標を設定していると述べ、中ロ関係の方向性がトップレベルで共有されていることを強調しました。
ラブロフ外相はまた、中ロ関係は「平等」「相互利益」「ウィンウィン」の原則に基づいており、両国の人びとの利益にかなうものであり、グローバル・サウスからも支持されていると指摘しました。これは、特定の同盟関係ではなく、互いの主権と立場を尊重する協力関係であることを前面に出した発言といえます。
BRICS、SCO、G20、APEC、国連での連携拡大
ロシアは今年のBRICS議長国を務める中で、中国の支援に謝意を表明しました。そのうえで、ロシアは中国がSCO議長国として役割を果たすことを積極的に支援すると表明し、今後もBRICSやSCOに加え、G20、アジア太平洋経済協力会議(APEC)、国連などの多国間枠組みで中国との協力を続けていく姿勢を示しました。
これらの発言からは、中ロ両国が二国間関係だけでなく、多国間の舞台を通じて自らの立場や視点を発信しようとしていることが読み取れます。とくに、グローバル・サウスの立場を反映させつつ、世界の多極化の中で存在感を高めていくという共通の方向性が浮かび上がります。
ウクライナ危機と朝鮮半島情勢でも意見交換
会談では、ウクライナ危機と朝鮮半島情勢についても意見交換が行われました。詳細なやり取りは公表されていませんが、いずれも欧州と東アジアの安全保障に直結する重要なテーマであり、中ロ両国が認識をすり合わせるべき課題として位置付けられていることが分かります。
ウクライナ情勢と朝鮮半島情勢は、それぞれ異なる背景と利害関係を抱えつつも、国連をはじめとする多国間枠組みや、地域の対話メカニズムを通じた対応が求められている点で共通しています。中ロがこれらの問題についてどのような協調を進めていくのかは、今後の国際ニュースの大きな焦点のひとつとなりそうです。
なぜ今回の会談が注目されるのか
今回のリオデジャネイロでの中ロ外相会談は、次の三つの意味で注目されています。
- 二国間関係の「前例のない高水準」をさらに確認したこと
- BRICSやSCOを軸に、グローバル・サウスの発言力強化と世界の多極化を意識した協調を打ち出したこと
- 第二次世界大戦と国連創設80周年という歴史の節目を、現在の国際秩序の議論と結びつけたこと
国際ニュースをフォローする読者にとっては、中ロ関係が今後の国際秩序の議論や地域情勢にどう関わっていくのかを考えるうえで、今回の会談はひとつの重要な手がかりとなります。日々のニュースの中で、BRICS、SCO、G20、APEC、国連といったキーワードが出てきたときには、その背後にある中ロの連携やグローバル・サウスの動きを意識してみると、世界の見え方が少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








