G20リオで習近平氏、開放的な世界経済と停戦を呼びかけ
ブラジル・リオデジャネイロで開かれている第19回G20サミットで、中国の習近平国家主席が、開放的でイノベーション主導の世界経済づくりや、ガザとウクライナでの停戦を呼びかけました。
開放的でイノベーション主導の世界経済を提唱
今回のG20サミット第2セッションで習近平氏は、グローバルなデジタルガバナンス(デジタル分野の国際的なルールづくり)と貿易ガバナンスの改善を呼びかけ、世界経済をより開かれた、イノベーションに支えられた姿へと導く必要があると強調しました。
とくに、世界貿易機関(WTO)の改革と紛争解決メカニズムの正常な機能回復を急ぐべきだと指摘し、一国主義や保護主義に反対する姿勢を示しました。WTOの紛争解決は、各国の貿易摩擦を法的枠組みの中で処理する仕組みであり、その停滞は世界貿易の不確実性を高める要因となってきました。
習近平氏は、人類は「運命共同体」であり、G20メンバーは互いの発展を脅威ではなく機会として捉え、ライバルではなくパートナーとして向き合うべきだと述べました。国際ニュースとしても、主要国がどのような価値観で世界経済をとらえるのかは、日本を含む各国の経済戦略に直結するテーマです。
グリーン・低炭素への移行と「新を立てて旧を廃する」
エネルギー分野では、世界経済のグリーン化と低炭素への移行を加速するよう呼びかけました。同時に、エネルギー転換とエネルギー安全保障は大きな課題であり、「新しいエネルギーをしっかり整えてから、従来のエネルギーを段階的に減らしていく」という考え方を示し、安定した移行の重要性を強調しました。
さらに、経済問題の政治化や、世界市場の分断、グリーン・低炭素を名目とした保護主義的な措置を避けるべきだと述べました。再生可能エネルギーや電気自動車などの分野では、環境政策が貿易摩擦と結びつく場面も増えていますが、そうした動きに対する警戒感をにじませた発言といえます。
ガザとパレスチナ問題:即時停戦と二国家解決を強調
安全保障面では、パレスチナ・イスラエル紛争、とくにガザ地区での戦闘について、「すべての当事者が直ちに戦闘を止め、戦争を終わらせる」必要があると述べ、人道危機の緩和と戦後復興への支援の重要性を訴えました。
また、パレスチナ問題の根本的な解決には、「二国家解決」の実現が不可欠だと指摘しました。これは、パレスチナの正当な民族的権利を回復し、独立したパレスチナ国家を樹立することで、長年続いてきた紛争の悪循環から抜け出すべきだという立場です。
ウクライナ危機の「三つの原則」
ウクライナ危機についても、習近平氏は政治的解決を模索する必要性をあらためて強調しました。その際の原則として、戦線の拡大を避けること、敵対行為のエスカレーションを防ぐこと、そして火に油を注ぐような行為を行わないことという三点を挙げました。
G20という場で、ガザとウクライナという二つの紛争を並べて語ったことは、世界経済と安全保障が切り離せない時代になっていることを示しています。紛争が長期化すれば、エネルギー価格やサプライチェーン(供給網)を通じて、日本経済にも影響が及びます。
今回の発言から見える論点:日本の読者への視点
今回の国際ニュースは、中国の外交メッセージという側面だけでなく、G20に参加する各国が今後どのような議論を深めていくのかを考えるうえでも重要です。日本の読者にとっての主な論点を整理すると、次のようになります。
- 世界貿易機関(WTO)改革と紛争解決メカニズムの行方:多国間ルールに基づく貿易体制をどこまで立て直せるか。
- グリーン・低炭素政策と貿易摩擦:環境と産業競争力をどう両立させるのか、各国のアプローチの違い。
- ガザとウクライナをめぐる停戦・和平外交:主要国がどのような原則と枠組みで政治解決を支えようとするのか。
G20サミットは、必ずしもすべての課題で合意に至る場ではありませんが、各国のビジョンが最も凝縮された形で示される舞台でもあります。今回の習近平氏の発言は、開放的な世界経済のルールづくりと、紛争の政治的解決という二つの軸を同時に打ち出した点で、今後の議論を考える手がかりとなりそうです。
Reference(s):
Xi Jinping calls for building world economy characterized by openness
cgtn.com








