G20リオサミットで習近平主席が示した「世界開発8つの行動」とは
2024年のG20リオデジャネイロ・サミットで、中国の習近平国家主席が「世界開発のための8つの行動」を提示しました。飢餓と貧困の克服からグローバルサウス支援まで、その内容を整理します。
G20リオサミットで示された「世界開発8つの行動」
習近平国家主席が発言したのは、ブラジル・リオデジャネイロで開かれた第19回G20サミットのうち、「飢餓と貧困との闘い」をテーマにした第1セッションです。ここで中国は、今後の世界開発をめぐる8つの具体的な行動を打ち出しました。
1. 高品質な「一帯一路」協力の推進
第一の行動は、高品質な「一帯一路」協力を進めることです。既に設定された7,000億元(約96.7億ドル)の追加融資枠と、シルクロード基金への800億元(約11.1億ドル)の追加拠出を土台として、複数の方向に広がる多次元の「一帯一路」連結ネットワークを構築するとしています。
その際、環境に配慮したグリーン・シルクロードを先導役とし、デジタルインフラを強化するデジタル・シルクロードを後押しすることで、持続可能かつデジタル時代に適応した形での連結性向上を目指すとしました。
2. グローバル開発イニシアチブの実施
第二の行動は、グローバル開発イニシアチブ(Global Development Initiative)の実施です。既に1,100件を超える開発プロジェクトが稼働しており、その基盤の上に、建設中のグローバルサウス研究センターを「目的にかなう」よう整備していくと述べました。
あわせて、200億ドル規模の開発資金を引き続き活用し、貧困削減、食料安全保障、デジタル経済などの分野で、途上国を支援しながら実務的な協力を深めていく方針を示しています。
3. アフリカの発展支援を強化
第三の行動は、アフリカの発展支援です。習主席は、9月に開催された中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)のサミットで、今後3年間にわたりアフリカと共に近代化を進めるための10のパートナーシップ行動を打ち出したことに言及しました。
これに関連して、中国は3,600億元(約49.7億ドル)規模の金融支援を約束しており、インフラや産業、人材などさまざまな領域でアフリカとの協力を進める姿勢を示しています。
4. 貧困削減と食料安全保障での国際協力
第四の行動は、貧困削減と食料安全保障に関する国際協力の支援です。中国は「飢餓と貧困に対するグローバル連盟」への参加を決定し、G20が開発担当大臣会合を継続して開催することを支持しました。
さらに、食品ロスや食品廃棄に関する国際会議のホスト国としての役割を今後も担うと表明し、食料問題への取り組みを国際的な枠組みの中で継続していく姿勢を示しています。
5. オープンサイエンスでの国際協力
第五の行動は、オープンサイエンス(研究成果やデータの開かれた共有)に関する国際協力です。中国はブラジル、南アフリカ、アフリカ連合と共に、「オープンサイエンスにおける国際協力イニシアチブ」を提案しました。
このイニシアチブは、グローバルサウスが世界の科学技術やイノベーションの進展によりよくアクセスできるようにすることを狙いとし、知識や技術の共有を通じて開発格差を縮めていく方向性を打ち出しています。
6. グローバルサウスのための実務協力とクリーンエネルギー
第六の行動は、グローバルサウスの利益のためにG20の枠組みを活用し、実務的な協力を進めることです。具体的には、開発途上国へのクリーンエネルギー投資拡大のロードマップや、バイオエコノミーに関するハイレベル原則といったG20の成果を生かしていくとしています。
また、北京に拠点を置く「G20経済に関する起業研究センター」の活動を支援し、デジタル教育、博物館や古文書のデジタル化といった分野での協力を進める考えが示されました。文化や教育の分野にデジタル技術を取り入れることで、知識へのアクセスを広げる狙いがあります。
7. G20腐敗防止行動計画の実施
第七の行動は、G20腐敗防止行動計画の実施です。中国は、他の開発途上国との協力を強化し、汚職に関与した逃亡者の送還や不正資産の回収、安全な逃亡先の否定、腐敗防止の能力構築などの分野で連携を深めるとしました。
透明性を高め、資金が本来の目的に使われるようにすることは、開発プロジェクトの効果を確保するうえでも重要なポイントです。
8. 後発開発途上国への高水準の開放
第八の行動は、高水準の対外開放と後発開発途上国(LDCs)への市場開放です。中国は、外交関係を持つすべてのLDCsに対し、全関税品目についてゼロ関税(無税)の待遇を与える決定を発表しました。
さらに、今から2030年までの間に、中国の他の開発途上国からの輸入額が8兆ドル規模に達する見通しも示されました。貿易を通じて途上国の成長を後押しする姿勢を打ち出した形です。
なお、この第1セッションの場で、「飢餓と貧困に対するグローバル連盟」が正式に立ち上げられたことも明らかにされています。
グローバルサウスをめぐる開発戦略として読む
習主席が示した「8つの行動」を並べてみると、共通して見えてくるのはグローバルサウス、とりわけアフリカや後発開発途上国への支援を重視する姿勢です。一帯一路、グローバル開発イニシアチブ、アフリカ向けのパートナーシップ行動など、既存の枠組みを土台にしつつ、それをG20という多国間の場につなげている構図が浮かびます。
- インフラ投資や基金拠出など、資金面のコミットメントが明示されていること
- グローバルサウス研究センターやオープンサイエンスなど、「知識・研究」分野にも踏み込んでいること
- クリーンエネルギー、バイオエコノミー、デジタル教育といった将来の成長分野が重視されていること
こうした点から、「8つの行動」はインフラや資金だけでなく、知識、技術、制度面を含めた広い意味での開発協力の方向性を示すものだと整理できます。2030年までを視野に入れた長期的な見取り図が提示されているとも言えます。
日本の読者が押さえておきたいポイント
2025年の今も、飢餓や貧困、気候変動といった課題は続いており、G20を含む国際社会がどのような解決策を模索しているのかは重要な論点です。今回の「8つの行動」を日本から眺めると、次のようなポイントが見えてきます。
- G20リオサミットという多国間の場で、どのような開発アジェンダが提示されたのかを把握できる
- 一帯一路やグローバル開発イニシアチブ、グローバルサウス支援など、中国の開発協力のキーワードが整理できる
- 2030年までの国際開発や、食料・エネルギー・気候をめぐる議論を読む際の一つの参照枠になる
今後も、G20や国連などの場で各国がどのようなビジョンと具体策を示していくのかを継続的に追うことが、世界の変化を読み解くヒントになりそうです。
Reference(s):
Xi outlines China's eight actions for global development at G20 Summit
cgtn.com








