中国鉄路がEV電池の鉄道輸送を初試験 海運・トラックに次ぐ新ルート
電気自動車(EV)向けリチウム電池の輸送に、新しい選択肢が生まれつつあります。中国鉄路が、鉄道を使った大規模輸送の試験運行を開始し、中国製EV電池の輸出と物流のあり方に変化が出てきそうです。
EV電池を列車で運ぶ初の大規模試験
China Railway(中国鉄路)は、電気自動車向けのリチウム電池について、初めて大規模な鉄道輸送の試験を実施しました。
火曜日には、中国南西部に位置する重慶市、四川省、貴州省から、リチウム電池を積んだ3本の貨物列車が相次いで出発しました。いずれも中国南西部にある地域で、このエリアからの鉄道輸送ルートの開拓が図られています。
危険物リチウム電池、なぜ鉄道輸送が難しいのか
リチウム電池は、輸送中に強い衝撃などを受けると、発火や爆発を起こすおそれがある危険物です。そのため、これまでは主に海上輸送やトラック輸送によって運ばれてきました。
世界最大のリチウム電池生産国とされる中国にとって、危険物である車載用電池を鉄道で安全に運べるかどうかは、産業全体にかかわる重要なテーマです。今回の試験輸送は、そのハードルを越えようとする一歩といえます。
専用コンテナとセンサーでリスクを管理
China Railway 成都集団有限公司の副総経理であるJia Ping氏は、今回の試験輸送について、リチウム電池輸送専用に設計された新型コンテナを使用していると説明しています。
このコンテナは、不燃性の材料で作られているほか、内部には煙探知器と温度探知器、そしてガスを逃がすための排気装置が備えられています。異常な発熱や煙を早期に検知し、内部の圧力を適切に逃がすことで、万が一の事態に対応できるように設計されているとされています。
海運より速く、トラックより大量に運べる鉄道輸送
Jia氏は、鉄道輸送はトラック輸送よりも一度に運べる量が多く、海上輸送よりも速いという特長があると指摘します。鉄道を活用した新しいルートが整備されれば、中国産リチウム電池の輸出を後押しすることが期待されます。
鉄道輸送が本格化すれば、海上輸送と比べてリードタイムを短縮しつつ、トラック輸送より多くの電池を一度に運べるようになります。企業にとっては、納期とコストの両面で新たな選択肢が生まれることになります。
CATL「国内電池の安全性能が認められた」
中国の電池大手CATLも、今回の試験を歓迎しています。同社でサプライチェーンと物流を担当するLiu Jie氏は、「今回の鉄道輸送の試験は、国内で生産されるリチウム電池の安全性能が改めて認められたことを意味する」と述べています。
Liu氏はさらに、鉄道輸送の開始によって、リチウム電池の輸送がより効率的になると強調します。鉄道を新たな輸送ルートとして活用することで、物流コストの削減と物流効率の向上が見込まれ、それが電池の輸出拡大につながるとの見方を示しました。
EV電池の国際物流はどう変わるか
EV市場の拡大にともない、電池の大量輸送は今後ますます重要になります。中国鉄路による今回の試験は、危険物であるリチウム電池をいかに安全かつ効率的に運ぶかという課題に対する、一つの実験といえます。
今後の焦点となりそうなのは、次のような点です。
- 今回の試験輸送が順調に進み、定期的な鉄道輸送として定着するかどうか
- 専用コンテナやセンサーを活用した安全基準が、どこまで標準的な手法として広がるか
- 海運やトラック輸送との役割分担がどのように変化していくか
- EV電池の国際物流において、鉄道がどの程度重要な選択肢となるか
EVの普及が進むなか、電池をどのような手段で世界各地へ届けるのかは、各国共通の課題です。中国鉄路によるリチウム電池輸送の試験が成功すれば、危険物輸送の新たなモデルケースとして、今後の国際物流の議論にも影響を与えていきそうです。
Reference(s):
China Railway launches rail transport trial for EV batteries
cgtn.com








