心筋梗塞を防ぐ生活習慣 専門家が語るシンプルな心臓ケア
心筋梗塞などの心血管疾患は、世界で毎年約1,700万人の命を奪い、その半数以上が急性心筋梗塞によるものとされています。寒さが一段と増すこの時期、心臓を守るには何を意識すればよいのでしょうか。
中国からの最新の専門家コメントをもとに、心筋梗塞を予防するための生活習慣のポイントを整理しました。
世界で広がる負担 中国では年100万件超の心筋梗塞
心筋梗塞をはじめとする心血管疾患は、いまや世界共通の大きな健康課題です。心臓の血管が急につまる急性心筋梗塞は、発症から治療までの時間が生死を分ける重い病気です。
National Health Commission of Chinaによると、中国だけでも毎年100万件以上の新たな心筋梗塞症例が発生しているとされています。こうした状況を受けて、中国では2014年から毎年11月20日を「心筋梗塞治療の日」と定め、急性心筋梗塞の危険性や重篤さへの理解を広げる取り組みが続いています。
特に気温が下がる冬の時期は、急性の心血管疾患のリスクが高まるとされ、日常の過ごし方がいっそう重要になります。
若い世代にも広がる冠動脈疾患 背景に「現代型ライフスタイル」
Jiangsu Provincial People's Hospitalの心血管内科主任医師であるワン・リアンション(Wang Liansheng)氏は、現代の生活スタイルが若い世代の心臓に影響を及ぼしていると指摘します。
不健康な食事、睡眠時間や就寝時刻がバラバラな生活、そして長時間の座りっぱなし。こうした要因が、心臓の血管が細くなったり詰まったりする冠動脈疾患と、その重い合併症のリスクを押し上げています。
スマホと座りっぱなし 心臓への「見えない負担」
ワン氏は、長時間座ったままでいることの危険性を強調します。座りっぱなしの状態が続くと、消費エネルギーが減り、体の中で血糖を処理する働き(インスリン感受性)が低下します。その結果、糖尿病や高コレステロール血症のリスクが高まり、これらが心臓病と深く関わってきます。
また、就寝前のスマートフォン使用も見過ごせません。画面を長時間見続けることで睡眠リズムが乱れ、体内時計にも影響が出ます。さらに、画面から出るブルーライトは、眠気をうながすホルモンの分泌を妨げ、睡眠の質を下げる一因となります。こうした慢性的な睡眠の乱れも、長期的には心臓の健康に悪影響を与える可能性があります。
専門家がすすめる「地中海式」食事スタイル
心血管疾患の一次予防、つまり発症前から守るために、ワン氏が特に重視するのが日々の食事です。氏は、心臓にやさしい食事パターンとして、いわゆる地中海式の食事スタイルをすすめています。
地中海式の食事では、次のような食品を中心にとります。
- 果物や野菜をたっぷりとる
- 低脂肪の乳製品
- 鶏肉などの家禽類や魚
- 豆類やナッツ類
- 精製度の低い全粒穀物(全粒のパンや穀物など)
一方で、塩分(ナトリウム)や砂糖、砂糖入り飲料、赤身肉は控えめにすることがすすめられています。調理に使う油は、オリーブオイルをはじめとした熱帯産以外の植物油を主に使うことが推奨されています。
週150分の運動と「1時間に1回立ち上がる」習慣
食事と並んで重要なのが運動です。心臓の健康のためには、週150分以上の中強度の運動を目安にするとよいとされています。たとえば、少し息が弾む程度の速歩きや水泳などがこれにあたります。
加えて、筋力トレーニングを取り入れることで、全身の代謝や血行が改善し、心血管の健康をさらに高める効果が期待できます。
デスクワーク中心の人にとっては「運動時間をまとめて確保する」のは簡単ではありませんが、ワン氏は、仕事中でも1時間に一度は席を立ち、軽く体を動かすことをすすめています。短い立ち歩きやストレッチでも、長時間座りっぱなしの状態を断ち切ることができます。
こうした活動的な生活スタイルは、体重管理や血圧のコントロール、コレステロール値の改善につながり、結果として心臓病や関連する健康問題のリスクを大きく下げるとされています。
冬の今こそ、生活習慣を見直すチャンス
世界的に心筋梗塞が増えるなか、特別な医療機器やサプリメントがなくても、私たち一人ひとりができる対策があります。
- 座りっぱなしの時間を減らし、こまめに立ち上がる
- 就寝前のスマホ時間を短くし、睡眠リズムを整える
- 果物・野菜・魚・豆類中心の食事に少しずつ切り替える
- 週トータルで150分程度の運動を意識する
どれも小さな一歩ですが、積み重ねることで心筋梗塞のリスクを確実に下げることにつながります。寒さが厳しくなる今こそ、自分の生活習慣を静かに振り返り、できるところから変えていくタイミングと言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com







