北京が世界トップ科学都市に Nature Indexが示す中国研究都市の台頭
2024年に発表されたNature Indexの最新「科学都市」ランキングで、中国の首都・北京が世界トップの座を維持し、上海がニューヨークを抜いて2位に浮上しました。急速に伸びる中国の研究力が、都市レベルの勢力図をどう塗り替えているのかを整理します。
北京が世界トップ、上海がニューヨークを逆転
Nature Indexは、自然科学や生命・健康科学の分野で高品質とされる学術誌に掲載された論文への貢献度を集計し、国や機関、都市ごとの研究力を可視化する指標です。この2024年の「科学都市」ランキングで、北京は世界トップの地位を維持しました。
そのすぐ後ろには上海が続き、今回のランキングでニューヨークを追い抜いて2位になりました。長年、ヨーロッパや北米の大都市が当然のように占めてきた上位の顔ぶれが、ここにきて大きく変わりつつあることを示しています。
上位20都市の半分が中国の都市に
Nature Indexのデータによると、2024年のトップ20のうち半分が中国の都市でした。かつて欧米ではほとんど名前が知られていなかった省都クラスの都市が、いまやヨーロッパや北米の老舗研究都市と肩を並べる存在になりつつあります。
これらの都市では、大学や研究機関に加えて、企業の研究開発拠点も集積し、都市そのものが「巨大な研究キャンパス」のような役割を担い始めています。中国の研究成果が2024年も急速な伸びを続けたことが、そのまま都市ランキングの上昇として表れた形です。
背景にある科学・経済・政策の組み合わせ
Nature Indexの編集長サイモン・ベイカー氏は、こうした都市の台頭は、科学そのものの進歩に加え、経済政策や政治的な戦略が組み合わさった結果だとコメントしています。
特に、急成長している多くの都市が、電気自動車や太陽光発電といった重要な技術分野に特化している点が指摘されています。各都市のローカルな目標が、中国全体の経済的な自立性を高める国家戦略と強く連動しているというのです。その象徴が、高度な製造業や知識集約型のハイテク産業への転換を掲げる産業政策「Made in China 2025」です。
都市ごとの産業クラスターと国家レベルの長期戦略がかみ合うことで、研究投資が集中し、短期間で国際的な存在感を持つ科学都市を生み出していると考えられます。
日本やアジアにとっての意味
中国の研究都市が急速に存在感を増すことは、日本やアジアの研究者・企業にとっても無関係ではありません。アジア域内での共同研究や人材の往来、サプライチェーンの構造などに、次のような変化が起きる可能性があります。
- 研究パートナーや留学先として、これまであまり注目されてこなかった省都クラスの都市が選択肢に入ってくる
- 電気自動車や再生可能エネルギー分野で、中国の研究都市が技術やノウハウの供給源としてより重要になる
- 欧米中心だった科学ネットワークの中で、アジア発の視点や課題設定がより強く反映される
2025年の今、このランキングは、アジアの研究地図が多極化している現実を示す材料として読み解くことができます。日本の研究機関や企業にとっても、「どの都市と組めば、どの分野でシナジーが生まれるのか」を具体的に考える必要性が高まっていると言えるでしょう。
ランキングを見るときの3つの視点
とはいえ、どのランキングも万能ではありません。Nature Indexの結果を読み解くときは、次のようなポイントをあわせて意識しておくと、ニュースを自分ごととして整理しやすくなります。
- 論文数だけでなく、研究の質や社会への影響にも目を向ける
- 各都市がどの研究分野を得意としているのかを見て、自分の関心分野やビジネスと重ねて考える
- 国や地域を超えたネットワークの広がりに注目し、「どの都市とどの都市がつながっているのか」を意識する
北京や上海だけでなく、省都クラスの都市が世界の科学地図にくっきりと描き込まれつつある今、アジアの一員として私たちはどのようなパートナーシップを築いていくのか。次のNature Indexの発表を待ちながら、足元の研究・教育環境を見直すきっかけにもできそうです。
Reference(s):
Beijing leads, provincial capitals rise in global science cities index
cgtn.com








