中国第41次南極観測へ 貨物船「永盛」が秦嶺基地資材を搬送
中国の第41次南極観測で、新たに建設される秦嶺(チンリン)基地を支える大量の資材を積んだ貨物船「永盛(Yong Sheng)」が、中国東部の江蘇省から南極に向けて出航しました。気候変動の影響調査や国際協力も含む長期ミッションが、本格的な実行段階に入っています。
貨物船「永盛」が江蘇省から出航
中国の秦嶺基地向けの資材を載せた貨物船「永盛」は、水曜日に中国東部・江蘇省から、第41次南極観測の一環として出航しました。運航するのは、中国の海運企業であるCOSCO Shipping Specialized Carriers Co., Ltd.です。
永盛は、南極の厳しい海域にも対応できる氷級(氷海対応)の多目的貨物船で、およそ1万6,000立方メートルにおよぶ建設資材を運んでいます。これは、秦嶺基地のインフラ整備を支える中核となる荷となります。
「永盛」の主なスペック
- 全長:約155.95メートル
- 幅:約23.7メートル
- 総トン数:2万トン級の氷級多目的船
- 死荷重トン数:約1万9,000トン
- 輸送する建設資材:約1万6,000立方メートル
こうした大型船が加わることで、南極基地建設に必要な資材を一度に大量輸送でき、限られた夏季の作業期間を最大限に活用できる体制が整いつつあります。
第41次南極観測、約7か月の長期ミッション
中国の第41次南極観測隊は、11月1日に出航し、およそ7か月にわたる長期ミッションに取り組む予定です。今回の観測は、調査船2隻と貨物船1隻の合計3隻体制で行われます。
3隻で進める観測・輸送体制
- 砕氷調査船「雪竜(Xuelong)」
- 新型砕氷調査船「雪竜2号(Xuelong-2)」
- 貨物船「永盛(Yong Sheng)」
雪竜と雪竜2号が観測や航路開削(海氷を割って船の通り道をつくる作業)を担い、永盛が秦嶺基地の建設や補給を支える、という役割分担が想定されています。これにより、科学調査とロジスティクス(物資・人員輸送)の両面を同時に進める体制が整えられています。
新たな拠点・秦嶺基地のインフラ整備
今回のミッションの柱のひとつが、南極の秦嶺基地を支えるインフラ整備です。永盛が運ぶ建設資材は、基地の運用を支える基盤づくりに用いられます。
秦嶺基地の「土台」をつくる資材輸送
輸送されるのは、居住や観測活動を支える建物の構造材や、電力・通信などのインフラを支えるとみられる設備類など、多岐にわたる建設関連資材です。これらを南極の限られた作業期間中に効率よく運び込み、組み上げていくことが求められます。
南極のような過酷な環境では、基地そのものの信頼性が、安全な観測活動と長期滞在を支える前提条件になります。その意味で、今回の大型資材輸送は、今後数十年単位で続く可能性がある南極観測の「インフラ投資」とも言えます。
気候変動と南極エコシステムを調査
第41次南極観測では、気候変動が南極のエコシステム(生態系)に与える影響を調べることも重要な目的とされています。海氷や大気、海洋生物など、南極は地球全体の気候システムと密接に結びついています。
観測隊が取り組む主なテーマ
- 気候変動が南極の生態系に与える影響の調査
- 環境変化の長期的なデータ収集
- 観測データを共有する国際研究協力
こうしたデータは、海面上昇や異常気象など、世界各地で起きている環境変化を理解するうえでも重要な手がかりとなります。日本を含む各国・各地域の南極観測とも連携しながら、地球規模での知見が積み上げられていくことが期待されます。
国際協力とロジスティクス協力も進展へ
今回の南極観測では、研究面だけでなく、物資輸送を含む国際的な協力も進められる見通しです。極地での活動は、気象条件や海氷の状況によって大きな制約を受けるため、各国・各地域の基地や船舶が連携することで、安全性と効率性を高める動きが広がっています。
第41次南極観測隊は、国際的な研究・ロジスティクス協力に参加しながら、観測データや運用の経験を共有していくとされています。こうした協力は、地球規模課題である気候変動への理解を深めるうえでも重要なステップです。
日本の読者にとっての意味
南極観測は、中国だけでなく、日本を含む多くの国と地域が参加する長期的な科学プロジェクトです。南極で得られる知見は、天気予報や海洋環境の予測、気候変動への適応策など、私たちの日常生活にも間接的に影響します。
今回の貨物船「永盛」の出航は、南極での新たな基地建設と、長期観測体制の強化が進んでいることを象徴する出来事と言えます。今後、秦嶺基地がどのような研究拠点として機能し、気候変動や環境問題の理解にどのように貢献していくのか。国際ニュースとして、継続的にフォローしたいテーマです。
Reference(s):
Cargo vessel sets sail for China's 41st Antarctic expedition
cgtn.com








