中国、第二次大戦中のソ連航空戦没者236人の名簿を公開 南京の記念館が呼びかけ
中国東部の江蘇省南京市にある南京抗日航空烈士記念館が、第二次世界大戦期に中国人民の抗日戦争で命を落としたソ連の航空戦没者236人の名簿を公開しました。今年、同記念館は中国や米国などの航空戦没者名簿も相次いで公表しており、国境を越えて平和と正義の価値を共有しようとする動きが続いています。
ソ連航空戦没者236人の名簿を公開 先週金曜日に発表
記念館によりますと、この名簿は先週金曜日、中国東部の江蘇省南京市にある中山陵園管理局の公式サイトで公開されました。対象となるのは、中国人民の抗日戦争のさなか、中国の空で日本軍と戦い、戦死したソ連の航空将兵236人です。
名簿には、各戦没者の氏名、軍での役職、生年月日と没年月日が記されています。これらの名前はすでに記念館の碑に刻まれており、名簿自体は1995年に作成・確認されたものです。しかし、当時の歴史資料が限られていたこともあり、多くの人物について詳しい情報が残されていません。
1937年以降の共同戦いをどう記憶するか
1937年、日本による中国への全面的な侵攻が始まると、ソ連は空の戦場でいち早く中国を支援しました。ソ連のパイロットや整備兵は、中国側とともに日本軍と戦い、戦闘を通じて相互の支え合いと友情を育んだとされています。
その過程で、200人を超えるソ連の戦闘機搭乗員らが中国の地で命を落としました。今回公開された236人の名簿は、そうした犠牲の一部を具体的な人物として浮かび上がらせる試みでもあります。
不正確さを正し、家族につなぐための世界的な呼びかけ
南京抗日航空烈士記念館の職員である竇若琪氏は、名簿公開の狙いについて次のように述べています。
研究が進むなかで、これまでの記録の中に不正確な点が見つかってきたといいます。そのため、名簿を公開することで、世界から情報提供を募り、ソ連戦没者に関するデータを修正し、誤りを正し、家族を探し出し、名簿から漏れている可能性のある人物を見つけ出したいとしています。
記念館が目指しているのは、次のような取り組みです。
- 表記ゆれや誤記の修正など、基礎データの精度向上
- ソ連戦没者の家族や関係者の発見とつながりの回復
- 当時の部隊、任務、経歴など、背景情報の掘り起こし
- 名簿に載っていない戦没者の追加と顕彰
インターネットを通じて名簿を公開し、世界の研究者や市民の協力を仰ぐというスタイルは、戦争の記憶を「開かれた形」で継承しようとする試みとも言えます。
中国・米国・ソ連の航空戦没者へ 今年3度の名簿公開
南京抗日航空烈士記念館は、今年に入ってから航空戦没者に関する大規模な名簿公開を立て続けに行っています。
- 今年4月には、中国の航空戦没者1468人の情報を公表。その後の検証と照合を通じて、18人分の情報が修正されました。
- 今年9月には、戦時中の米国の航空戦没者2590人の名簿を発表し、中国で亡くなった米国人パイロット1人の名前と情報を記念館の碑に新たに追加しました。
- そして今回、ソ連の航空戦没者236人の名簿を公開しました。
竇若琪氏は、今年の一連の公表について、戦争期の中国および各国の航空英雄たちの名前を三度にわけて公開したことで、平和と正義という普遍的な価値を際立たせ、国際的な関心を集めることができたと説明しています。その結果、数十人分の航空戦没者に関する新たな情報が寄せられたといいます。
南京抗日航空烈士記念館とは
南京抗日航空烈士記念館は、中国で初めて、戦時中の国際的な航空戦没者を主題とした記念館です。第二次世界大戦期、中国、ソ連、米国などの空軍が日本軍の侵攻に共同で抵抗した歴史を伝える豊富な資料を収集・展示しています。
記念館にある碑には、これまでに刻まれた名前が今回のソ連戦没者を含め、約4300人に達しているとされています。各国の名前が並ぶ碑は、国を超えた犠牲と協力の歴史を象徴する存在となっています。
日本の読者にとっての意味 戦争の記憶をどうアップデートするか
今回のニュースは、日本の読者にとっても他人事ではありません。紹介されているのは、中国人民の抗日戦争という視点から見た歴史ですが、その背景には日本の侵攻と戦争があり、そこに中国、ソ連、米国など多くの国と地域が関わっていました。
インターネットを通じて名簿を公開し、世界から情報を集めながら記録を更新していく姿勢は、戦争の歴史を固定されたものとしてではなく、検証と対話を通じてアップデートしていく営みとして捉えるヒントになります。
戦争と記憶に関するニュースは、ともすると重く感じられますが、今回の取り組みが投げかけている問いは、次のようなごくシンプルなものかもしれません。
- 名も知られなかった人々の犠牲を、どうやって具体的な顔と物語を持つ記憶に変えていくのか
- 対立ではなく、協力や支え合いの歴史をどうすれば見えるようにできるのか
- 国や立場の違いを越えて、平和と正義という共通の価値をどのように共有できるのか
南京の記念館で進む名簿の公開と修正のプロセスは、こうした問いに対して、一つの具体的な試行錯誤の形を示していると言えるでしょう。
ニュースとして事実を知るだけでなく、自分自身の戦争観や歴史観を少しだけ見直してみる。そのきっかけとして、この名簿公開の動きを捉えてみる価値がありそうです。
Reference(s):
China unveils list of 236 Soviet Union aviation martyrs during WWII
cgtn.com








