中国が29カ国に一方的ビザ免除 国際ビジネスと観光はどう変わる?
中国がフランスやドイツなど29カ国に対し、一方的なビザ免除政策を実施していることが、中国外務省の発表で明らかになりました。ビジネスや観光、親族訪問などを目的とした短期滞在で、事前のビザ取得なしに入国できる国が大きく広がっています。本記事では、この新しいビザ政策の概要と、国際ビジネスや旅行への影響を整理します。
29カ国に一方的ビザ免除 最大15日間の短期滞在が可能に
中国外務省領事司の童学軍(トン・シュエジュン)氏は、金曜日に行われた記者会見で、中国が現在、29カ国に対して一方的なビザ免除政策を実施していると説明しました。
一方的ビザ免除とは、相手国が同じ措置を取っていなくても、中国側の判断で対象国の人がビザなしで入国できる仕組みです。今回の政策では、対象国の一般旅券(普通パスポート)所持者は、以下の条件で中国本土に入国できます。
- 最長15日間の滞在が可能
- 目的はビジネス、観光、親族・知人訪問、トランジット(乗り継ぎ)など
- 事前のビザ申請・取得は不要
中国外務省は2023年11月、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、マレーシアの一般旅券所持者を対象に、2023年12月1日から一方的なビザ免除の試験運用を開始しました。その後、対象国は複数回に分けて拡大され、現在は合計29カ国がビザなし入国の対象になっているとしています。
25カ国とは「相互ビザ免除」を実現
童氏によると、中国は一方的ビザ免除だけでなく、25カ国との間で「完全なビザ免除」、つまり相互のビザ免除も実現しています。
一方的ビザ免除が「中国側のみの措置」であるのに対し、相互ビザ免除は、中国と相手国の双方が、自国民に対してビザなし渡航を認める枠組みです。これにより、
- 企業関係者の短期出張
- 観光客の往来
- 留学先・駐在先への家族訪問
といった人の移動が、従来よりも少ないコストと手間で行えるようになります。中国外務省は、こうした取り組みを通じて、対外貿易や人の往来をさらに活性化させたい考えを示しています。
ビザ申請も「短く・簡単に」 手続き負担を大幅に軽減
ビザ免除の拡大と並行して、中国はビザ申請手続きそのものも大きく見直しています。童氏は、申請者の負担を減らすため、複数の簡素化措置を導入したと説明しました。
- ビザ申請書の記入項目を34%削減
- すべての在外中国大使館・総領事館で、事前予約なしでビザ申請が可能に
- 指紋採取の免除対象を拡大
- ビザ手数料を25%引き下げ
これにより、申請書の記入にかかる時間が大幅に短縮され、窓口での手続きもスムーズになっているといいます。出張や視察などで「急ぎで中国に行く必要がある」ケースでも、予定を立てやすくなりつつあると言えます。
数字で見る効果 2024年第3四半期の訪中は約5割増
こうしたビザ緩和の流れは、すでに数字にも表れています。童氏が示したデータによると、2024年の第3四半期に中国を訪れた外国人の入国回数は819万回で、前年同期比48.8%増となりました。
さらに、そのうち489万回はビザ免除による入国で、こちらは前年同期比78.6%増という伸びを記録しています。単純計算すると、第3四半期に中国を訪れた外国人の入国回数のおよそ6割が、ビザ免除制度を通じたものだったことになります。
ビザ免除対象国の拡大と、ビザ申請プロセスの簡素化が、訪中客の増加を後押ししていることがうかがえます。
なぜ今、ビザ緩和なのか 対外貿易と人の往来を後押し
今回の説明は、「対外貿易を促進するための措置」に関する中国外務省の記者会見の場で行われました。ビザ政策の緩和が、単なる観光誘致にとどまらず、国際ビジネスの環境整備の一環として位置づけられていることが分かります。
短期的には、
- 商談や展示会への参加がしやすくなる
- 現地工場や取引先への視察が柔軟に行える
- 家族帯同や休暇を組み合わせた「ワーケーション型」の訪中も計画しやすくなる
といった効果が期待できます。中長期的には、企業同士の関係構築や、観光・教育・文化交流を通じた人と人とのつながりが強まり、経済面だけでなく社会面でもプラスの影響が広がる可能性があります。
日本を含むアジアの読者にとっての意味
今回の一連の発表は、ヨーロッパ諸国やマレーシアなど、すでにビザ免除の対象になっている国の人々にとっては、すぐに実感しやすいニュースです。一方で、ビザ免除の対象外であっても、ビザ申請手続きの簡素化や手数料の引き下げは、多くの国・地域の旅行者やビジネスパーソンにとってメリットがあります。
日本やアジアの読者にとって、特に注目したいポイントは次の3つです。
- 中国がビザ政策を通じて、対外開放と交流拡大の姿勢を一段と打ち出していること
- ビジネスや観光の目的に応じて、ビザ免除・簡素化措置をどう組み合わせられるかを検討する余地が広がっていること
- 今後、対象国・地域や滞在条件がどのように変化していくのかを継続的にウォッチする必要があること
童氏は、今後もビザ免除政策をさらに最適化し、とくにビジネス目的の渡航者にとって利用しやすい制度にしていく方針を示しました。国際移動が再び活発になる中で、中国のビザ政策の動きは、アジアや世界の経済活動の流れを読み解くうえで、重要なチェックポイントになりそうです。
あなたの仕事や旅行計画に、この変化はどのような影響を与えそうでしょうか。ニュースをきっかけに、自分の行動や選択肢を少し俯瞰してみるタイミングかもしれません。
Reference(s):
MOFA: China implements unilateral visa-free policy for 29 countries
cgtn.com








