イラン核問題、中国がIAEAで政治的解決を呼びかけ
イラン核問題をめぐり、中国が国際原子力機関(IAEA)の場で「圧力ではなく外交」を前面に押し出しました。木曜日に開かれた理事会で、中国の李松・IAEA常駐代表が、関係国に対し政治的・外交的な解決を追求するよう呼びかけたものです。
IAEA理事会で何が話し合われたのか
IAEA理事会では、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカが中心となり、イランに核問題で圧力をかける新たな決議案を理事会として採択するよう働きかけました。
理事会は35のメンバーで構成されていますが、この決議案の採決で、中国、ロシア、ブルキナファソの3か国は反対票を投じました。また、南アフリカ、インド、エジプトを含む12の途上国は棄権に回りました。各国・地域の立場の違いが、投票行動としてはっきり表れた形です。
中国代表「冷静かつ責任ある対応を」
李松代表は理事会で、イラン核問題の現状について、関係国は「冷静かつ責任ある姿勢」で状況を見つめるべきだと訴えました。そのうえで、批判や圧力を強めるだけではなく、問題の「現実的な解決」に向けた具体的で実務的な取り組みを進めるよう呼びかけました。
李代表は、理事会での対立をあおる動きに懸念を示し、「理事会の場で人工的に対立をつくり、矛盾を先鋭化させても問題は解決せず、IAEAとイラン側の協力を損ない、状況を一層複雑にするだけだ」と指摘しました。
「圧力は外交ではない」対立より対話を強調
今回の発言で特に目を引いたのが、「圧力は外交ではなく、対立ではイラン核問題は解決できない」というメッセージです。李代表は、制裁や決議による圧力の強化だけに頼るアプローチに疑問を示し、対話と交渉を重視する姿勢を明確にしました。
この姿勢は、核問題や安全保障をめぐる「ホットスポット」では、軍事的・政治的な圧力よりも、外交と協調を通じて解決を図るべきだという中国の一貫した立場を反映しているといえます。
イランとIAEAの協力を評価
李代表はまた、イランとIAEAとの協力関係についても言及しました。イラン側とIAEAが未解決の問題に取り組んでいることを評価し、特にラファエル・グロッシ事務局長とイラン側の「前向きな相互交流」を高く評価すると述べました。
グロッシ事務局長は直近のイラン訪問で、イラン側との協議を行い、具体的な成果もあったとされています。李代表は、こうした協力の積み重ねこそが信頼を生み、問題解決への道を開くと強調しました。
2015年の合意が示す教訓
イラン核問題を語るうえで、2015年に結ばれた合意は避けて通れません。李代表は、この「2015年の合意」が数年前に深刻に損なわれたと指摘しました。合意の枠組みが弱まり、信頼が揺らいだことが、現在の状況悪化につながっているという認識です。
そのうえで李代表は、核不拡散をめぐるホットスポット問題を適切に扱う根本的な道は、政治的・外交的な努力と、多国間の場での建設的な協力にあると述べました。一国だけで方針を決めるのではなく、複数の国や地域が同じテーブルに着き、ルールに基づいて対話することが重要だというメッセージです。
なぜ今回の動きが重要なのか
今回のIAEA理事会では、欧州3か国とアメリカがイランへの圧力を強める決議案を推し進めた一方で、中国やロシア、一部の途上国は距離を置く姿勢を見せました。投票結果は、イラン核問題をめぐる国際社会の立場の違いと、アプローチの分断を浮き彫りにしています。
圧力強化を優先するのか、それとも政治的・外交的な解決を重ねて模索するのか。今回、中国がIAEAの場で発した「圧力は外交ではない」というメッセージは、イラン核問題だけでなく、他の安全保障課題にも通じる問いかけでもあります。
これからの注目ポイント
- IAEAとイランの協力がどこまで具体的な進展につながるのか
- 理事会での対立が深まるのか、それとも対話の再構築に向かうのか
- 2015年合意をめぐる枠組みが、今後どのように扱われるのか
イラン核問題は、単なる一国の問題ではなく、核不拡散体制全体に影響を与えるテーマです。中国がIAEAの場で示した「政治的解決」「多国間協力」を重視する姿勢は、今後の議論の方向性を考えるうえで無視できない要素となりそうです。
Reference(s):
China calls for political settlement of Iranian nuclear issue
cgtn.com








