習近平氏のAPEC・G20出席とペルー・ブラジル訪問、中国外相が「成功」と総括
中国の習近平国家主席が、ペルーとブラジルへの国賓訪問に加え、第31回APEC Economic Leaders’ Meetingと第19回G20サミットへの出席を終え、土曜日の朝までに北京へ戻りました。中国外交部(外務省)の王毅外相は、この11日間の外遊を「連帯を強める旅」であり、「協力を広げる旅」だったと評価しています。
11日間で約40の行事、60超の協力文書
王毅外相によると、習主席は今回の外遊中に、二国間・多国間を合わせて約40の行事に出席し、60件を超える協力文書に合意しました。訪問先はペルーの首都リマとブラジルのリオデジャネイロで、APECとG20という二つの重要な国際会議に連続して参加しつつ、中南米の主要国との関係も深めた形です。
王毅外相は、習主席が「人類歴史の岐路」に立つ今、改めて多国間主義(複数の国が協力して国際課題に取り組む考え方)を堅持する姿勢を示し、中国の知恵でグローバル・ガバナンス(国際的なルール作りや課題解決)に貢献したと強調しました。
APECで示した「開かれたアジア太平洋」とグリーン成長
真の多国間主義と「つながるアジア太平洋」
リマで開かれたAPEC Economic Leaders’ Meetingでは、習主席がCEOサミット向けに書面演説を寄せました。王毅外相によると、その中で習主席は次のような方向性を提示しました。
- アジア太平洋地域は「真の多国間主義」を揺るがず守るべきだ
- アジア太平洋協力は、より「開かれ、相互につながる」枠組みを構築する必要がある
- グリーン・イノベーション(環境負荷を減らす技術革新)を地域成長の触媒とする
- 誰一人取り残さない、包摂的で共に利益を得る発展ビジョンを大切にする
アジア太平洋をめぐる地政学的な緊張が取り沙汰されるなか、「開放」と「包摂」を強調したメッセージは、地域の安定と協力を重視する姿勢を改めて示したものと言えます。
G20で語った「より公正な世界開発」の構想
包摂的で強靱な世界経済へ
リオデジャネイロでのG20サミットでは、習主席が中国のグローバル・ガバナンスに関する考え方を包括的かつ体系的に説明しました。王毅外相によれば、習主席は次の点を強調しました。
- 世界の開発を、より包摂的で、すべての人に利益をもたらし、衝撃に強いものにする必要がある
- 協力・安定・開放・イノベーション・環境配慮を備えた世界経済を構築すべきだ
また、中国として「グローバル発展」に貢献する8つの行動を打ち出し、その一つとして「飢餓と貧困に対するグローバル連合」への参加を表明しました。王毅外相は、こうした取り組みが、「平等と変革」を求めるグローバル・サウス(新興国・途上国を中心とする南側諸国)の強い意志に応えるものであり、世界のルール作りの進むべき方向を示したと評価しています。
ペルー:チャンカイ港が象徴する新たな海陸回廊
ペルー訪問のハイライトとして王毅外相が挙げたのが、習主席とペルーのディナ・ボルアルテ大統領が、ビデオリンク形式でチャンカイ港の開業式典にそろって出席したことです。
王毅外相によると、チャンカイ港は南米で初めての「スマート港(高度なデジタル管理を導入)」かつ「グリーン港(環境配慮型港湾)」となる計画で、完成すればペルーにも大きな経済効果をもたらすと見込まれています。
さらに、この港を起点としてアジアとラテンアメリカを結ぶ新たな海陸回廊が形成される可能性があり、物流や投資、人の往来が一層スムーズになるとの期待が示されました。
ブラジル:中国・ブラジル関係は「これまでで最も良い段階」
ブラジルでは、習主席とルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領が、戦略的なテーマについて率直で友好的な意見交換を行いました。王毅外相は、両国が「中国・ブラジル関係は歴史上、最も良い段階にある」との認識で一致したと明らかにしています。
両国は、関係を「より公正な世界と、より持続可能な地球を目指す、運命共同体」へと格上げすることで合意しました。また、「一帯一路」構想とブラジルの開発戦略の連携を進める方針を打ち出し、今回の訪問が中国・ブラジル関係の歴史における重要な節目になったと位置づけています。
米国・欧州との対話:大国間の安定を模索
バイデン米大統領との会談
多国間会議の合間を縫い、習主席は10件を超える二国間会談も行いました。その中でも注目されたのが、米国のジョー・バイデン大統領との会談です。
王毅外相によると、両首脳は中米関係の重要性を改めて確認し、「安定した中米関係は、両国国民の利益に資するだけでなく、人類全体の未来と運命にとっても極めて重要だ」との認識で一致しました。
習主席は、台湾問題を含む主要な懸案について中国の原則的立場を説明し、大国としての責任を共有しながら、互いに適切な関係のあり方を模索し、世界により大きな確実性とプラスのエネルギーをもたらすべきだと呼びかけたとされています。
欧州主要国首脳との会談
習主席はまた、フランス、ドイツ、英国など欧州の主要国の首脳ともそれぞれ会談しました。ここでも習主席は、中国と欧州は互いを長期的かつ戦略的な視点から捉えるべきだと強調。パートナーシップを堅持し、意見の違いは対話と協議を通じて適切に処理し、相互に利益をもたらす協力の物語を書き続けていくべきだとの考えを示しました。
「高品質な発展」と「ハイレベル開放」を通じた共通の近代化
王毅外相は、今回の外遊を通じて習主席が、中国の「高品質な発展」と「ハイレベルの対外開放」に向けた具体的な措置を、首脳会談や講演、書面演説、署名入り論評などを通じて詳しく紹介したと説明しました。
習主席は、各国が中国経済の成長から機会を共有し、平和的な発展、互恵協力、共同繁栄を特徴とする各国の近代化をともに進めていくことを歓迎すると表明したとされています。
今回の外遊が示す3つのポイント
newstomo.comの読者にとって、今回の動きはどのように理解できるでしょうか。王毅外相の説明を整理すると、次の3点が浮かび上がります。
- 多国間主義の再確認:APECとG20を舞台に、協調と開放を重視するメッセージを発信し、グローバル・サウスの声を反映した開発の方向性を訴えた。
- 中南米とのパートナーシップ強化:チャンカイ港や「一帯一路」とブラジルの戦略連携など、インフラと長期的な協力枠組みを通じて、アジアとラテンアメリカを結ぶ新たな回廊づくりを進めている。
- 大国間関係の安定追求:米国や欧州主要国との首脳外交を通じて、対立よりも対話とリスク管理を重視する姿勢を打ち出した。
国際秩序の変化が加速するなか、中南米を含むグローバル・サウスの存在感は増しています。今回の習主席の外遊は、その流れの中で、中国がどのようなパートナーシップと発展モデルを提示しようとしているのかを示す一つの事例と言えそうです。
Reference(s):
Xi's APEC, G20 attendance, state visits to Peru, Brazil a success: FM
cgtn.com








