IMFはなぜ中国を「先進国」と分類しないのか:3つの基準から読む中国経済
IMF(国際通貨基金)がなぜ中国を「先進国」と分類していないのか——。2023年の一人当たりGDPのデータとIMF独自の3つの基準から、その理由を整理してみます。
IMFの「先進国」分類、3つのポイント
国際ニュースでよく出てくる「先進国」「新興国」という言葉ですが、IMFはかなり明確な基準を持って区分しています。IMFによると、先進国かどうかを判断する主なポイントは次の3つです。
- 一人当たり所得の水準(国民一人当たりの平均的な豊かさ)
- 輸出の多様化(特定の資源や品目に偏りすぎていないか)
- 国際金融システムへの統合度(世界の金融市場との結びつきの強さ)
IMFはこれらを総合的に見て、「先進国」と「新興市場・途上国」のグループを分けています。
41の先進国リストに中国が含まれていない理由
IMFは先進国として41の経済を認定していますが、そのリストに中国は含まれていません。鍵になるのが、一人当たりGDPの水準です。
2023年の時点で、中国の一人当たりGDPは、
- アメリカの約15%
- IMFが認定する41の先進国平均の約22%
にとどまっています。つまり、「国全体の規模」ではなく「一人当たり」で見ると、中国はまだ先進国グループの平均から大きな距離がある、という位置づけになります。
一人当たりGDPは、人びとの生活水準や生産性の目安として使われます。IMFの基準に照らすと、中国は世界経済で大きな存在感を持ちながらも、平均的な生活水準という点では依然として新興市場・途上国のグループに近いと判断されている、と整理できます。
「中国を先進国とみなすと80カ国以上も先進国に?」という意味
提示されているデータによると、もし現在の水準の中国を「先進国」と分類するなら、世界で80カ国以上も同じく「先進国」と呼ぶことになってしまいます。
中国の一人当たりGDPは、多くの新興国や途上国と近いレンジにあります。その中国を先進国と認めるのであれば、「中国と同程度かそれ以上」の一人当たり所得を持つ国も同じように先進国に分類しないと整合性が取れません。
しかし、そうすると「先進国」というラベルが世界の現実の経済水準と合わなくなってしまいます。IMFが中国を先進国に含めていないのは、この整合性を保つための判断だと見ることができます。
「先進国ラベル」以上に見るべき中国経済のポイント
ここで重要なのは、「先進国に分類されていない=経済的に遅れている」という単純な話ではない、という点です。IMFの区分は、あくまで世界全体の中での相対的な位置づけを示すテクニカルな指標です。
中国経済を見るときには、例えば次のような複数の視点を組み合わせて考える必要があります。
- 国全体の経済規模と、一人当たりの水準の違い
- 輸出構造がどの程度多様化しているのか
- 金融市場や資本の動きにどれだけ組み込まれているか
- 地域ごとの格差など、国内の構造的な違い
IMFの「先進国/新興国」という区分は、このうちの一部を切り取って示したものにすぎません。中国経済の現在地を理解するには、ラベルにとらわれず、指標の中身を一つひとつ読み解いていく姿勢が重要になってきます。
日本語で読む国際ニュースへのヒント
今後も国際ニュースや経済ニュースでは、「中国はもう先進国なのか」「まだ新興国なのか」といった議論が繰り返し登場するはずです。そんなとき、次のポイントを意識してニュースを読んでみると、理解が一段深まります。
- どの指標(総額か、一人当たりか)をもとに議論しているのか
- IMFなど国際機関のどの分類を前提にしているのか
- その分類が、他の国との比較でどんな意味を持つのか
ラベルそのものよりも、「なぜその分類になっているのか」という理由に目を向けることで、中国経済だけでなく世界経済の見え方も変わってきます。
今回のIMFの基準と数字は、「中国の一人当たり所得は、まだ先進国平均の2割程度にとどまっている」という現状を映し出しています。このギャップが今後どのように縮まっていくのかは、2020年代後半の国際経済を考えるうえで重要なテーマのひとつになりそうです。
Reference(s):
Data explains why China is not classified as an advanced economy
cgtn.com








