中国の「信頼できるデータ行列」計画とは?2028年までに100超を整備へ
中国本土(中国)が2028年までに100を超える「信頼できるデータ行列」を整備するとする行動計画を公表しました。データの安全な流通と共有を前提にした新しいデータインフラ構想で、全国統合データ市場づくりの土台と位置付けられています。
2028年までに100超の「信頼できるデータ行列」構築へ
中国の国家データ局(National Data Administration=NDA)が発表した「信頼できるデータ行列発展行動計画(2024〜2028)」によると、2028年までに100以上の信頼できるデータ行列を構築し、一連のソリューションとベストプラクティス(優良事例)を形成することが掲げられています。
この行動計画は、信頼できるデータ行列についての国家レベルでの初の体系的なレイアウトとされており、中国のデータ政策の中でも中長期的な重要テーマになっていくとみられます。
「信頼できるデータ行列」とは何か
信頼できるデータ行列は、大量のデータを安全かつ効率的に流通・共有するために設計された新しいタイプのデータインフラと説明されています。
今回示された役割は、主に次のようなものです。
- データ資源を大規模に流通させるための基盤となること
- 異なる組織・地域・分野の間で、データを共有・共同利用しやすくすること
- 全国的な統合データ市場の構築を支える「土台」となること
従来のデータセンターやクラウド基盤が「データを保存・処理する場所」だとすれば、信頼できるデータ行列は「データを信頼できる形でやり取りし、活用するためのルールと仕組み」を含むインフラだと位置付けられます。
行動計画(2024〜2028)のねらい
行動計画の期間は2024年から2028年までの5年間です。この間に、信頼できるデータ行列に関する仕組みづくりと実証、普及を段階的に進めていくことが想定されます。
公表された情報から読み取れるポイントを整理すると、次のようになります。
- 複数の分野・地域で信頼できるデータ行列を構築し、100件超の事例を蓄積する
- 実際の運用を通じて、標準的なモデルやベストプラクティスをまとめる
- 全国統合データ市場の基盤として活用できるよう、制度面や技術面の枠組みを整える
単に数を増やすだけでなく、「標準化された解決策」を確立することが重視されている点が特徴的です。
全国統合データ市場づくりの「土台」に
今回の行動計画は、全国レベルで統合されたデータ市場を築くための重要な基盤と位置付けられています。
背景には、次のような課題意識があると考えられます。
- 地域や部門ごとにデータが分断され、十分に活用されていない状態を改善したい
- データの価値を経済成長や社会課題の解決につなげるため、より広い範囲での共有・共同利用が必要になっている
- データの安全性や信頼性を確保しながら、利活用のスピードも落とさない仕組みを整える必要がある
信頼できるデータ行列を全国に広げることで、データの「安全」と「活用」の両立を図り、デジタル経済の発展を後押しする構想といえます。
なぜ今「信頼性」が重要なのか
データ活用が進むほど、情報漏えいへの懸念やプライバシー保護の重要性も高まります。その一方で、産業や行政、研究など多様な領域で、組織をまたいだデータ連携への期待が大きくなっています。
このジレンマを解くカギとして注目されているのが、「信頼できる」データ流通の仕組みです。
- データの扱い方に透明性を持たせ、関係者が安心して共有できるようにする
- データの出どころや変更履歴などを追跡できるようにし、信頼性を担保する
- ルールに基づくアクセス制御で、必要な人だけが必要なデータにアクセスできるようにする
信頼できるデータ行列は、こうした仕組みを包括的に実現するためのインフラとして構想されています。
日本と世界にとっての意味合い
中国本土の大規模なデータインフラ戦略は、日本を含む周辺国や国際社会にとっても無関係ではありません。国境を越えたデータのやり取りが増える中で、各国・各地域がどのような原則や技術体系で「信頼性」を確保していくのかが、今後の重要テーマになっていきます。
日本や他の国・地域の立場からは、次のような視点が考えられます。
- 中国本土発のデータインフラや標準が、アジア地域のデータ連携の一つのモデルになる可能性
- 企業や研究機関が、データの取り扱いルールや技術面での互換性をどのように確保していくかという課題
- 国際的なデータガバナンス(データの管理・ルールづくり)をめぐる対話が、今後さらに重要になること
信頼できるデータ行列の構築が進めば、データを巡る国際協力や標準化の議論にも影響を与える可能性があります。
2028年までに何を見ておくべきか
2025年時点では、行動計画はまだ進行中です。2028年までの数年間で、次のような点に注目していくと、データ政策の全体像が見えやすくなります。
- どの分野や地域で信頼できるデータ行列が先行的に整備されるのか
- どのようなベストプラクティスが公表され、標準モデルとして共有されていくのか
- 企業・行政・研究機関など、多様な主体がどのようにこのインフラを活用していくのか
2028年までに100を超える事例が積み上がれば、データインフラの新しい姿がより具体的な形で見えてくるはずです。日本の読者にとっても、アジアのデジタル政策と国際ニュースを読み解くうえで、追いかけておく価値のあるテーマといえるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








