CISCEでGlobal Supply Chain Promotion Report 2024発表 世界の供給網に何が起きているのか
国際ニュースとして注目されるサプライチェーン分野で、新たな包括報告書「Global Supply Chain Promotion Report 2024」が、中国国際サプライチェーン博覧会(CISCE)で火曜日に発表されました。世界の供給網の最新トレンドやリスクを一望できる内容で、各国政府や企業にとって重要な示唆を与える報告書となっています。
国際サプライチェーンを俯瞰する旗艦報告書
この報告書は、CISCEを主催するChina Council for the Promotion of International Trade(CCPIT)が発表したもので、今回の博覧会を代表する旗艦出版物と位置付けられています。グローバルなサプライチェーンの動向を、多角的かつデータに基づいて分析している点が特徴です。
CCPITのRen Hongbin会長は、「これほど包括的なグローバル・サプライチェーン報告書が公表されるのは初めてだ」と強調し、サプライチェーンのつながりや分断リスクに関する疑問に答えるものだと述べています。政府関係者だけでなく、グローバルにビジネスを展開する企業にとっても関心が高いテーマと言えます。
11産業の「サプライチェーン地図」を可視化
報告書の中核となるのが、11の主要産業に関するグローバル・サプライチェーンの「地図」です。対象となっているのは、次のような産業です。
- ヒューマノイドロボット
- スマートカー(高度な電子制御を備えた自動車)
- 集積回路(半導体)
- 風力発電関連
- コーヒー
- 綿花
- そのほか合計11産業
これらのサプライチェーン地図では、原材料などの上流、製造・加工の中流、販売・サービスの下流といった各段階ごとに、どの国や企業が主要な役割を担っているのかが示されています。読者は、特定の産業で「どこが強いのか」「どの段階がボトルネックになりやすいのか」を視覚的に把握できる構成になっているとされています。
キーワードは地域化・多様化・デジタル化・持続可能性
報告書は、グローバル・サプライチェーンの最新トレンドとして、次のような流れを指摘しています。
- 新技術の統合
- 地域化(リージョナライゼーション)
- 多様化
- デジタル化
- 持続可能性(サステナビリティ)
新技術の統合とデジタル化
まず、サプライチェーンの現場では、新しい技術の導入とデジタル化が急速に進んでいると報告書は指摘します。ヒューマノイドロボットやスマートカー、集積回路などの先端産業では、ITと製造業が一体となり、データを活用した高度な管理が求められています。
デジタル化は、生産や物流の効率化だけでなく、トレーサビリティ(追跡可能性)やリスク管理の高度化にもつながります。どこで何が起きているかをリアルタイムで把握し、異常があれば早期に対応するための基盤として重要になっています。
地域化・多様化・持続可能性へのシフト
次に、世界の供給網は「一極集中」から「地域化・多様化」へと重心を移しつつあるとされています。特定の地域やルートに過度に依存するのではなく、地域ごとに生産や調達の拠点を分散させる動きが強まっています。
同時に、環境負荷の低減や人権・労働などへの配慮といった持続可能性の観点も、サプライチェーン設計の重要な条件になっています。報告書は、こうした動きがサプライチェーンの構造を組み替え、新たなビジネスモデルや貿易ルールの形成を促していると分析しています。
高まる「レジリエンス」志向:リスクに強い供給網へ
報告書が強調しているもう一つのポイントが、サプライチェーンの「レジリエンス(回復力・しなやかさ)」です。各国と企業は、重要な製品やサービスの流れが止まらないようにするため、次のような取り組みを強化しているとされています。
- 重要分野での国内生産の拡大
- リスク監視体制の高度化と常時モニタリング
「どこか一か所で問題が起きても、全体が止まらない仕組み」をどう作るかが大きな課題となる中、レジリエンスを重視する潮流は今後も続くと見られます。報告書は、その具体的な動きや設計の方向性を整理しています。
政府と企業が知りたい「つながり」と「分断リスク」
Ren Hongbin会長は、この報告書が「グローバル・サプライチェーンのつながりと分断リスク」に関する重要な問いに答えていると述べました。背景には、世界中の政府とビジネスコミュニティが、次のような疑問を抱いていることがあります。
- 自国・自社のサプライチェーンは、世界のどの部分とどのようにつながっているのか
- どの産業や拠点が、地政学的・環境的なリスクにさらされやすいのか
- リスクを抑えつつ、効率性とコストのバランスをどう取るか
今回の報告書は、11産業の具体的な地図とデータ分析を通じて、こうした問いに一つの「共通の基盤」を提供しようとしていると言えます。国際ニュースとしてサプライチェーンを追いかける読者にとっても、世界経済の構造変化を考える手がかりになります。
私たちは何を読み取るべきか
Global Supply Chain Promotion Report 2024が示しているのは、「グローバル化の終わり」ではなく、「形を変えた新しいグローバルなつながり」です。地域化や多様化が進んでも、国際的な供給網そのものがなくなるわけではありません。
むしろ、
- よりデータドリブンなサプライチェーン運営
- レジリエンスと持続可能性を前提にした設計
- 地域ブロック間のバランスを取りながらの連結
といった新しいルールの下で、グローバルな取引が再編されていく段階に入っていることを、報告書は示唆しています。
国際ニュースや世界経済の動きを日本語で追う私たちにとっても、この報告書で示されたキーワードは、自分の仕事や生活がどのように世界のサプライチェーンとつながっているのかを考えるヒントになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








