米中の麻薬対策協力、中国が継続を要請 トランプ次期大統領の関税発言受け
トランプ次期米大統領が中国からの全輸入品に一律10%の追加関税を課す可能性に言及するなか、中国外交部の報道官は火曜日、米国に対し「中国の善意を大切にし、麻薬対策をめぐる米中協力の成果を守るべきだ」と呼びかけました。米中関係が揺れるなかで、なぜ麻薬対策協力が強調されたのでしょうか。
関税発言の陰で浮かぶ「協力維持」のメッセージ
今回の発言は、トランプ氏が中国からの輸入品すべてに10%の追加関税を課す考えを示したことを受けて行われました。報道官は、米中の麻薬対策協力について「苦労して築いてきた前向きな状況」と表現し、その維持を米側に求めています。
通商問題をめぐる緊張が高まり得る局面で、あえて麻薬対策という安全保障や公共の安全に直結する分野を取り上げ、「ここだけは揺るがせにすべきではない」というメッセージを送ったかたちです。
中国が強調する「世界で最も厳しい国の一つ」という麻薬対策
報道官は、中国が「政策、そしてその実施の両面で、世界でも最も厳しい麻薬対策をとる国の一つだ」と強調しました。国内での規制だけでなく、その運用にも力を入れているという立場です。
麻薬対策は、単に国内の規制強化にとどまらず、国境を越えた流通への対応や他国との情報共有など、多層的な取り組みが求められます。中国側は、自国の厳格な姿勢を示すことで、国際協力における信頼性をアピールしているとも言えます。
フェンタニル問題と「人道的精神」による支援
報道官は、米国にとって合成オピオイドの一種であるフェンタニルが大きな課題になっている点にも言及しました。そのうえで、中国は「人道的精神」に基づき、米国の対応を支援してきたと説明しています。
具体的には、2019年にはフェンタニル関連物質をすべて規制対象に指定したとし、中国が世界で初めてこの範囲まで踏み込んだ国だとしています。さらに、米国との間で「広範かつ深い麻薬対策協力」を行ってきており、「高い成果を上げている」と振り返りました。
ここで示されているポイントは次の通りです。
- フェンタニル問題は米国側の大きな関心事であること
- 中国は2019年にフェンタニル関連物質を包括的に規制対象としたこと
- 米中間の麻薬対策協力は、これまで「生産的」と評価されていること
中国側は、こうした実績をあらためて示すことで、協力の「積み上げ」がある以上、それを政治的な対立で後退させるべきではない、というメッセージを発しているとも読み取れます。
今後の協力条件は「平等・互恵・相互尊重」
報道官は最後に、中国は今後も米国との麻薬対策協力を続ける用意があると述べました。ただし、その前提として掲げたのは「平等」「互恵」「相互尊重」という3つのキーワードです。
これは、麻薬対策のような実務協力であっても、一方的な非難や圧力ではなく、お互いに利益があり、相手を尊重する形で進めるべきだという立場を示したものです。通商問題など他の分野で対立があっても、人命や公共の安全に関わる分野では、一定のルールと信頼関係を維持しようとする姿勢がにじみます。
考えてみたいポイント:政治と実務協力をどう切り分けるか
今回の発言は、米中関係が揺れ動く局面でも、麻薬対策のような実務的で人命に関わる協力は「守るべき土台」として位置づけられていることを示しています。
読者として考えてみたいのは次の点です。
- 通商摩擦や関税措置といった対立と、人の命や健康に関わる分野の協力をどこまで切り分けるべきか
- 国際社会が直面する麻薬問題に対し、大国同士の協力が途切れた場合、誰がその空白を埋めるのか
- 「平等・互恵・相互尊重」というキーワードは、麻薬対策以外の分野にもどのように適用できるのか
麻薬対策協力をめぐる今回のメッセージは、一見すると専門的なテーマに見えますが、実は国際関係のあり方や、大国間競争のなかで何を優先すべきかを考えるきっかけにもなります。通商や安全保障のニュースとあわせてフォローすることで、米中関係の立体的な姿が見えてきそうです。
Reference(s):
cgtn.com








