HuaweiがMate 70を発表 Android非対応OS「HarmonyOS Next」でスマホ市場に挑戦
HuaweiがAndroidに対抗する独自OS「HarmonyOS Next」を搭載した新フラッグシップスマートフォン「Mate 70」シリーズを発表しました。Androidアプリ非対応という大胆な一歩は、2025年のスマホ市場にどんな変化をもたらすのでしょうか。
HuaweiがMate 70シリーズを発表 価格と概要
火曜日、中国南部の深圳市で行われた発表会で、Huaweiは最新のフラッグシップスマートフォン「Mate 70」シリーズを公開しました。会場では、同社コンシューマ事業トップの余承東(Yu Chengdong)氏が登壇し、「Mateを超えられるのは新しいMateだけだ」と強調しました。
Mate 70シリーズの主なポイントは次のとおりです。
- OS:Huawei独自の「HarmonyOS Next」を標準搭載
- Androidアプリ:非互換(Androidアプリはそのままでは動作しない設計)
- 価格:5,499元(約760ドル)から
- 予約状況:Huaweiのオンラインストアだけで300万件以上の予約を獲得
スマホの心臓部となるシステム・オン・チップ(SoC)については、今回も詳細は明らかにされませんでした。これは過去数回の発表会と同様の対応で、スペック競争よりも体験やエコシステムを前面に出す戦略が続いているとも言えます。
Android非互換の「HarmonyOS Next」とは
今回のMate 70で最も注目されているのが、Androidアプリとの互換性を切り離した「HarmonyOS Next」です。長年、多くのAndroid端末はGoogleのAndroidをベースとし、Android向けアプリの資産を活用することで普及してきました。
HarmonyOS Nextは、この前提からあえて距離をとり、Huawei独自のソフトウェア基盤とアプリエコシステムを構築する方向に舵を切っています。
新たな「囲い込み型」エコシステムのチャレンジ
Androidアプリ非対応という決断は、いわゆる「囲い込み型」のエコシステムづくりにつながります。ユーザーも開発者も、HuaweiのOSとアプリストア、サービス群に深く紐づくことになるからです。
このモデルには、次のような特徴があります。
- 一体感のある体験:OSからアプリ、サービスまで自社で設計することで、動作の安定性やセキュリティ、端末間連携を高いレベルで最適化しやすくなります。
- 差別化のしやすさ:Android共通の仕様に縛られず、UI(画面設計)や機能を独自に進化させやすくなります。
- 乗り換えコストの上昇:一方で、ユーザーは他OSへの乗り換えがしづらくなり、アプリ開発者は別途HarmonyOS向けに開発・最適化する必要が出てきます。
2025年現在、スマホOS市場は事実上、AndroidとiOSの二強体制が続いています。その中で、HarmonyOS Nextがどこまで第三の選択肢として存在感を高められるかが、大きな焦点になりそうです。
Mate 70に搭載されたAI機能
今回の発表でHuaweiが特に強調したのが、Mate 70に搭載されたAI(人工知能)の機能です。SoCの詳細に触れなかった一方で、ユーザー体験を変える要素としてAIを前面に押し出しました。
公開された主なAI機能は次の通りです。
- 写真・動画の高度な補正:撮影した写真や動画をAIが自動で解析し、ノイズ低減や色味調整、被写体の強調などを行う機能。暗所撮影や逆光シーンでの見え方向上が期待されます。
- 「のぞき見」検知:画面を見ている本人以外の視線をAIが検知し、第三者が覗き込んでいると判断した場合に通知したり、内容の一部を隠したりするプライバシー保護機能。
- 通話のリアルタイム翻訳:通話中の音声をAIが即時に翻訳し、異なる言語を使う相手とのコミュニケーションをサポートする機能。グローバル志向のユーザーには関心の高いポイントになりそうです。
これらのAI機能は、スペック表に載る数字よりも「毎日の使い勝手」を重視するユーザーにとって、端末を選ぶ際の新たな判断材料になっていきそうです。
なぜこの発表が2025年のスマホ市場で重要なのか
今回のMate 70とHarmonyOS Nextの発表は、一社の新製品を超えた意味を持つと見ることもできます。ポイントは次の3つです。
1. OSレベルでの「脱Android」の本格化
多くのスマートフォンメーカーは、ハードウェアや独自アプリで差別化を図りつつも、土台となるOSはAndroidに依存してきました。HarmonyOS Nextは、Androidアプリ非互換という明確な線引きをしたことで、「OSそのものを自社で育てる」という路線をはっきり打ち出しています。
これは、スマホが単なる端末ではなく、クラウドサービスやアプリストア、決済、AIアシスタントなどを含めた「総合プラットフォーム」であるという発想に基づいた動きといえます。
2. アプリ開発者コミュニティへの影響
OSが広がるかどうかは、アプリの充実度に大きく左右されます。HarmonyOS Next向けにどれだけ多くの開発者がアプリを提供するか、あるいは既存アプリをどれだけスムーズに移植できるかが、中長期的な普及のカギになっていきます。
開発者にとっては、新しい市場機会が生まれる一方で、追加の開発コストや学習コストが発生します。このバランスをHuaweiがどのように支援していくのかも注目点です。
3. 価格と予約数が示すユーザーの関心
Mate 70シリーズは5,499元からと、フラッグシップクラスらしい価格帯に位置づけられています。それにもかかわらず、オンラインストアだけで300万件を超える予約を集めたことは、ブランドへの信頼と新OSへの期待が一定程度あることを示しています。
新しいOSに乗り換えることは、多くのユーザーにとって小さくない決断です。そのハードルを、どれだけ魅力的な機能やエコシステムで上回れるかが、今後の販売動向を左右しそうです。
ユーザーと開発者が押さえておきたいポイント
今回のニュースを受けて、ユーザーや開発者がチェックしておきたい点を整理します。
ユーザー向けのチェックポイント
- アプリ対応:日常的に使っているサービスがHarmonyOS Nextに対応するかどうかを確認する必要があります。
- AI機能の実用性:写真・動画の補正、プライバシー保護、通話翻訳など、どのAI機能が自分のライフスタイルにフィットするかを見極めることが大切です。
- 長期的なエコシステム:数年単位で使う前提で、今後のアップデートや対応アプリの拡大が期待できるかどうかも判断材料になります。
開発者・ビジネス側のポイント
- 新市場としてのポテンシャル:HarmonyOS Next向けアプリをいち早く提供することで、新しいユーザー層にリーチできる可能性があります。
- 開発コストとリターン:既存のAndroidアプリからどこまで再利用できるのか、どの程度の追加開発が必要かを見極めることが重要です。
- クロスプラットフォーム戦略:Android、iOSに加えHarmonyOS Nextをどう位置づけるか、長期的なプラットフォーム戦略が問われます。
これからの焦点:HarmonyOS Nextはどこまで広がるか
Mate 70シリーズは、Huaweiの最新ハードウェアであると同時に、HarmonyOS Nextという新しいソフトウェア時代の試金石でもあります。2025年のスマホ市場を振り返るとき、「Android非互換のOSを掲げたMate 70の登場」は、一つの転換点として語られる可能性があります。
今後注目されるのは、次のような点です。
- 実際の発売後、ユーザー体験がどの程度評価されるか
- 主要アプリやサービスの対応状況がどれだけ早く整うか
- 他のメーカーや地域で、HarmonyOS Nextをめぐる動きが広がるかどうか
スマートフォンは、私たちの日常のニュース、仕事、学び、エンタメの入口になっています。新しいOSが生まれることは、単に「もう一台のスマホが増えた」という話ではなく、私たちのデジタルな日常の前提が少しずつ変わっていく可能性を意味します。Mate 70とHarmonyOS Nextの行方は、今後もしばらく追いかけておきたいテーマです。
Reference(s):
Huawei launches Mate 70 phone series with Android rival HarmonyOS Next
cgtn.com








