CBA新疆フライングタイガース、第2フェーズへ 「ラオダオ」が支えるクラブ文化 video poster
2024-25シーズンの中国バスケットボール協会(CBA)レギュラーシーズン第2フェーズで、新疆フライングタイガースが深圳レパーズの本拠地を訪れます。本記事では、この対戦の背景にあるクラブ文化と地域アイデンティティに注目します。
第1フェーズ2位、新疆が深圳に乗り込む
新疆フライングタイガースは、レギュラーシーズン第1フェーズをリーグ2位の成績で終えました。けがなどで離脱していた主力選手も徐々に戦列に戻り、第2フェーズ開幕を前にチームはさらなるステップアップを狙っています。
対戦相手となる深圳レパーズは、スピードとアウトサイドシュートを武器にするクラブです。アウェーでの一戦は、新疆にとっても現在地を測る重要な試金石となります。
「西北5省・自治区」を背負う唯一のクラブ
新疆フライングタイガースは、中国西北部5つの省・自治区を代表する唯一のCBAクラブとされています。広大なエリアを背負うチームとして、その存在は単なるプロクラブの枠を超えた意味を持っています。
キャプテンであり、現在のリーグMVPでもあるアブドゥサラム・アブドゥレシティ選手は、インタビューで次のように語っています。
「クラブ文化こそが鍵だと思います。私たちは独特の地理的条件とチーム構成を持っています。西北5省・自治区を代表する唯一のクラブであり、リーグで最も多くの少数民族出身選手が所属していることが、特別なアイデンティティにつながっています」
ユースからトップチームに至るまで、少数民族出身の選手が占める割合は、ピーク時には40%に達し、現在でも約30%とされています。多様なバックグラウンドを持つ選手たちが一つのチームでプレーする姿は、地域の縮図とも言えるかもしれません。
キーワードは「ラオダオ」 地域の精神を体現
クラブの郭建(グオ・ジエン)会長が強調するのが、「ラオダオ」と呼ばれる地元方言の言葉です。新疆では特別な意味を持つこの言葉が、クラブ文化の中核をなしています。
「ラオダオ」が示す4つの価値
郭会長によると、「ラオダオ」は次のような価値を象徴する言葉だといいます。
- 勇気
- 決意
- 前向きさ
- 粘り強さ
郭会長は「『ラオダオ』は新疆の人々の精神を表しており、それがクラブのコアバリューになっている」と述べています。優勝という最終目標を掲げつつも、同時に「恐れず戦い抜く、タフで粘り強いチーム」をつくることに重きを置いているといいます。
つまり、結果だけでなくプロセスも重視する姿勢です。勝敗だけに一喜一憂するのではなく、「どう戦うか」をクラブとして共有することで、地域の人々とともに歩むチームであり続けようとしているのです。
2017年優勝からの世代交代と、変わらない核
新疆フライングタイガースは、2017年にCBA制覇を果たした実績を持ちます。ただ、その優勝メンバーの多くは時間の経過とともにチームを離れました。
一方で、キャプテンのアブドゥサラム選手のように、当時からクラブに残り続けている存在もいます。選手の顔ぶれが変わっても、「ラオダオ」の精神とクラブ文化を受け継ぎ、新しい世代へ伝えていく役割を担っていると言えるでしょう。
世代交代を経ても、チームが持つ地域への誇りや、多様性を尊重する姿勢が揺らいでいないことは、新疆のバスケットボールが単なる成績以上の意味を持っていることを示しています。
日本のバスケファンにとっての「新疆」のおもしろさ
CBAはアジア有数のプロバスケットボールリーグであり、その動向は日本のバスケットボール関係者やファンにとっても無関係ではありません。新疆フライングタイガースの取り組みは、日本のクラブチームにとっても示唆を与えてくれます。
クラブ文化から見える3つのポイント
- 地域性:広いエリアを背負い、地域の誇りをチームのエネルギーに変えている
- 多様性:少数民族出身選手が多く在籍し、多文化環境を前提にチームづくりを行っている
- 価値観の共有:「ラオダオ」のような合言葉を通じて、プレーのスタイルとメンタリティを一体化している
日本のBリーグでも、地域密着やクラブアイデンティティの重要性が語られるようになっています。新疆フライングタイガースの事例は、「強さ」と「地域性」「多様性」をどう両立させるかを考えるうえで、一つの参考になりそうです。
「ラオダオ」の旅路は続く
控えめなスタートからCBAの強豪クラブへと成長してきた新疆フライングタイガースは、これまでに何度も困難を乗り越えてきました。その背景には、「ラオダオ」の精神と、それを共有するクラブ文化があります。
2024-25シーズン第2フェーズでの深圳レパーズ戦は、その物語の一章に過ぎません。結果がどうであれ、「勇気」「決意」「前向きさ」「粘り強さ」というキーワードを掲げて戦い続ける限り、チームはこれからも新疆の人々とともに、新しいページを書き加えていくはずです。
スポーツを通じて地域の物語が紡がれていくプロセスに目を向けると、国やリーグを超えて、バスケットボールの見え方が少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com







