中国とメキシコ、トランプ次期大統領のフェンタニル関税案に反論
米国のトランプ次期大統領が、フェンタニル問題を理由に中国とメキシコなどへの高関税を示唆したことに対し、中国とメキシコの両政府がそろって反論しました。麻薬対策を巡る国際協力と、関税をてこにした圧力外交の是非が改めて問われています。
トランプ氏の関税案:カナダ・メキシコに25%、中国に追加10%
トランプ氏は就任初日に、カナダとメキシコから米国に入る全ての輸入品に25%の関税をかけると表明し、不法移民や麻薬が国境を越えて流入する問題が解決するまで続けるとしています。また、中国からの多くの輸入品についても、既存や今後の関税に上乗せする形で追加10%の関税を課すと述べ、中国が違法薬物の流入を十分に抑制していないと主張しました。
中国「事実と異なる」と強調、協力の成果をアピール
在米中国大使館の劉鵬宇報道官は声明で、両国首脳の合意を受けて中国側は麻薬対策を強化してきたと説明しました。米国に関連する麻薬取締りの捜査や摘発の進展についても、米側に随時通知してきたとし、中国がフェンタニル関連物質の流入を意図的に容認しているという見方は、事実と現実に完全に反すると強く否定しました。
中国外交部の報道官も、米国は中国の善意を大切にし、麻薬対策で築かれてきた中国・米国の協力の前向きな流れを守るべきだと述べました。中国は政策と執行の両面で世界でも最も厳格な麻薬対策を実施していると強調しています。
2019年にフェンタニル関連物質を一括指定
報道官によると、中国は2019年に世界で初めて、フェンタニル関連物質を包括的に規制対象として指定しました。その後も米国との間で幅広く、かつ踏み込んだ麻薬対策協力を展開してきており、高い成果を上げてきたとしています。中国側は、対等・相互利益・相互尊重の原則に基づき、今後も米国との麻薬対策協力を続ける用意があると表明しました。
メキシコのシェインバウム大統領も反発
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は記者会見で、トランプ氏宛てに送るという書簡を読み上げ、米国側の脅しや関税では、移民の流れや米国内の麻薬消費という問題は解決しないと指摘しました。そのうえで、必要なのは協力と相互理解であり、一方的な強硬策ではないと訴えました。
さらにシェインバウム大統領は、もしトランプ氏が関税を実際に導入すれば、メキシコも米国からの輸入品に報復関税を課すと警告しました。そうなれば、両国企業の共同事業が危険にさらされるとし、経済全体への悪影響に懸念を示しました。
専門家「関税ではフェンタニルの流れは変わらない」
米国のシンクタンク、ブルッキングス研究所の薬物政策専門家であるバンダ・フェルバブ=ブラウン氏は、米紙の取材に対し、関税を課してもフェンタニルの流れには何の影響も及ぼさないだろうと述べました。むしろ、ここ2年以上協力が途絶えていた後に、2024年に再開された中国・米国の麻薬対策協力を損ないかねないと懸念を示しています。
麻薬対策と貿易摩擦が絡み合う時代
今回のやり取りは、麻薬対策や移民問題といった安全保障・社会問題が、関税や通商政策とどのように結びついてしまうのかを映し出しています。需要と供給の両面、そして複数の国や地域にまたがるネットワークに目を向ける必要がある麻薬問題を、単純な関税の引き上げだけで解決するのは難しいという見方も根強くあります。
今回のニュースから見える3つのポイント
- 麻薬対策は、一国だけで完結せず、中国やメキシコを含む複数の国・地域による継続的な協力が欠かせないこと
- 中国とメキシコはいずれも、対立や圧力ではなく、協力と相互理解を通じた解決を強調していること
- 関税は国内向けの強硬姿勢を示す手段として使われやすい一方で、企業活動や既存の国際協力を揺るがすリスクも抱えていること
トランプ氏の関税方針が実際にどう実行されるかは不透明ですが、今回の応酬は、国際ニュースとしても、また私たちの日々の経済活動や安全保障を考えるうえでも無視できないテーマです。関税か協力か──各国がどのようなバランスを模索していくのか、今後の動きに注目が集まりそうです。
Reference(s):
China, Mexico refute Trump's fentanyl-related tariff threats
cgtn.com








