中国が2024年研究ホットスポットを分析 AI・気候変動など125のフロンティア
2024年、中国で世界の研究ホットスポットと新興フロンティアを整理した報告書が発表されました。AI、次世代通信、気候変動対策など、今後の科学技術の方向性を読み解くうえで注目の国際ニュースです。
中国の研究フロンティア報告書とは
今回公表されたのは、2024年の研究ホットスポットと新興フロンティアに関する2本の報告書です。いずれも、中国科学院傘下の発展研究院と国家科学図書館、そしてクラリベイトが共同で作成しました。
報告書の目的は、世界の科学技術動向を体系的に把握し、今後起こりうる重要な科学的ブレークスルーを予測し、国家レベルのイノベーション戦略を支えることにあります。
このうち「2024 Research Fronts」報告書は、Essential Science Indicators(ESI)データベースに収録された13,318の研究フロンティアを基に分析されています。
11分野・125の研究フロンティア
報告書では、活動が活発または急速に発展しているホットな研究フロンティア110件と、新興フロンティア15件、合計125件が特定されています。対象となったのは、次の11の高度に統合された学際的分野です。
- 農業科学/植物・動物学
- 生態学・環境科学
- 地球科学
- 臨床医学
- 生命科学
- 化学・材料科学
- 物理学
- 天文学・天体物理学
- 数学
- 情報科学
- 経済学・心理学
農業や環境から、宇宙、デジタル技術、人間の行動まで、現代の社会課題と強く結びつく領域が幅広くカバーされていることが分かります。
どの国・地域がリードしているのか
もう一つの報告書「2024 Research Fronts: Active Fields, Leading Countries/Regions」では、中国、米国、英国、ドイツ、フランス、日本など、主要な国や地域ごとに、どの研究フロンティアでリードしているかが評価されています。
125の研究フロンティアのうち、首位に立っている数は次のように示されています。
- 米国:71フロンティア(全体の56.8%)
- 中国:39フロンティア(全体の31.2%)
- 英国:4フロンティア
- ドイツ:1フロンティア
- フランス:1フロンティア
米国が依然として最多のフロンティアで首位となる一方で、中国も全体の約3割を占めており、世界の研究地図の中で存在感を高めていることがうかがえます。
AI、次世代通信、エネルギーが鍵に
報告書をまとめた中国科学院発展研究院の院長であるPan Jiaofeng氏は、AI(人工知能)を活用した科学研究、次世代の高性能通信、将来のエネルギー、気候変動への対応、人類の健康と福祉の向上が、現在の科学探究の主要な領域になっていると述べています。
AIは「研究そのものを支える道具」として広がりつつあり、データ解析やシミュレーション、実験設計など、研究プロセスのあらゆる段階に入り込んでいます。また、次世代通信やエネルギー、気候変動、健康といったテーマは、産業界と政策、学術研究が密接に結びつく分野でもあります。
日本とアジアの読者が押さえたいポイント
今回の報告書は、研究者だけでなく、テック業界や政策、ビジネスに関心のある読者にとっても、世界の科学技術トレンドを俯瞰するうえで参考になる内容です。とくに次のような視点が読み取れます。
- AIを「研究の道具」としてどう使うかが、各国の研究力を左右しつつある
- 次世代通信やエネルギー、気候変動は、国境を越えた協力が不可欠なテーマである
- どの国・地域がどのフロンティアで強いかを知ることは、留学先や共同研究先を考える材料になりうる
2024年のデータを振り返ることは、2025年以降の国際競争と協力の方向性を考える手がかりにもなります。日本やアジアからどのような研究フロンティアを打ち出していくのか、今後の動きに注目が集まりそうです。
Reference(s):
China issues reports on 2024 research hotspots and emerging frontiers
cgtn.com








