中国の商業宇宙が加速 力箭1号Y6ロケットが最終試験を完了
中国の商業宇宙産業の主力ロケットとされる「力箭1号」シリーズで、新たな機体Y6が広州で最終総組立試験と工場審査を完了しました。11基の衛星を搭載し、2024年12月下旬の打ち上げを目指していたこの計画は、中国の商業宇宙が本格的な量産・定常運用フェーズに入ろうとしていることを象徴しています。
力箭1号Y6、広州で最終総組立試験を完了
中国・広東省広州市で、商業宇宙企業CAS Spaceが開発するロケット「力箭1号」Y6機の最終総組立試験が予定通り実施され、完了しました。同社によると、工場出荷前のレビューも通過しており、11基の衛星を搭載して2024年12月下旬の打ち上げが計画されていました。
3.35メートル径のフェアリングも完成
最終組立では、ロケット先端部で衛星を覆う直径3.35メートルのフェアリングが、リベット接合やクローズ、塗装といった工程を経て機体に取り付けられ、引き渡されています。フェアリングとは、打ち上げ時に衛星を外部環境から守る覆いのことで、多数の衛星を同時に搭載するうえで重要な部品です。
自社開発の点火装置でコストと生産期間を圧縮
今回の試験では、CAS Spaceが自社開発した点火装置が初めて使用されました。また、運用コストを効果的に下げ、生産サイクルを短縮できる新たな製品も導入されています。これらの製品によって、ロケットの量産や打ち上げサービスの定常運用に適した構成になっているとされています。
- 運用コストを抑える設計
- 製造から打ち上げ準備までの期間を短縮
- 量産・高頻度打ち上げを見据えた仕様
商業宇宙の主力となる力箭1号シリーズ
力箭1号シリーズは、中国の商業宇宙産業で主力として用いられているロケットです。高い成功率と信頼性、そしてコストパフォーマンスの良さを特徴としており、これまでに5回の打ち上げミッションで計57基の衛星を打ち上げています。
このロケットを開発するCAS Spaceは、中国科学院力学研究所が設立した商業宇宙企業です。研究機関の知見を背景に、商業向けの打ち上げサービスを提供しています。
数字で見る、中国の商業宇宙の伸び
中国の商業宇宙セクターは、ここ数年で急速に存在感を高めています。2023年には中国で67回のロケット打ち上げが行われ、そのうち13回は民間企業による商業ロケットミッションでした。この13回のうち12回は、ロケットが軌道投入に成功しています。
戦略的新興産業として位置づけられる商業宇宙
政策面でも、商業宇宙産業の位置づけは明確になりつつあります。2023年12月の中央経済工作会議では、商業宇宙産業が「戦略的新興産業」として挙げられました。さらに、2024年の政府活動報告(毎年の両会で発表される報告)でも、同じ表現が用いられています。
こうした国家レベルでの位置づけは、民間企業によるロケット開発や打ち上げサービスへの投資と人材流入を後押しします。量産とコスト削減を志向する力箭1号Y6のようなロケットは、その政策的な追い風を背景に生まれてきた存在だと言えます。
日本の読者が注目したいポイント
日本からこのニュースを見ると、いくつかのポイントが浮かび上がります。
- ロケットの量産とコスト削減が進めば、小型衛星を活用したビジネスや研究のハードルが下がる可能性があること
- 商業宇宙が国家戦略に組み込まれることで、長期的かつ安定的な投資や技術開発が進みやすくなること
- アジア発の商業宇宙プレーヤーが増えることで、打ち上げサービスの選択肢や国際協力の形が多様化していくこと
中国の商業宇宙は、単発の打ち上げニュースにとどまらず、政策・産業・技術が連動して動き始めたフェーズに入りつつあります。力箭1号Y6の動きは、その流れを象徴する事例の一つです。今後、どのようなペースで打ち上げが定常化し、アジアや世界の宇宙ビジネスにどのような影響を与えていくのかが、引き続き注目されます。
Reference(s):
China's Lijian-1 Y6 carrier rocket completes final assembly test
cgtn.com








