中国本土が香港・マカオ往来を緩和 深圳・珠海住民に複数回ビザ
中国本土の広東省で、香港・マカオとの往来を大きく広げる新しい出入境制度が2024年末から2025年にかけて導入されました。深圳や珠海などの住民が、より頻繁かつ柔軟に香港・マカオを訪問できるようになるこの動きは、広東・香港・マカオ大湾区の一体化をさらに進める取り組みとして注目されています。
新制度の概要:誰がどこへ、どれくらい行ける?
今回の措置では、広東省深圳市、珠海市、そして横琴の広東・マカオ深度協力区の住民や居住許可保持者を対象に、香港とマカオへの複数回訪問を認める新たな許可制度が導入されています。いずれも1回の滞在は最長7日とされ、タイプによって年間を通じての訪問回数や頻度が異なります。
- 深圳 → 香港:マルチエントリー許可
2024年12月1日から、深圳の常住者と同市の居住許可を持つ人は、香港向けの複数回訪問許可を申請できるようになりました。有効期間1年のあいだ、訪問回数に上限はなく、1回の滞在は最大7日です。 - 珠海 → マカオ:週1回の訪問許可
2025年1月1日から、珠海市の常住者はマカオ向けの週1回訪問許可を取得可能になりました。暦週ごとに1回マカオを訪問でき、1回の滞在は最長7日とされています。 - 横琴(広東・マカオ深度協力区) → マカオ:マルチエントリー許可
同じく2025年1月1日から、広東・マカオ深度協力区(横琴)の常住者と居住許可保持者は、マカオへの複数回訪問許可を申請できます。有効期間1年のあいだ回数制限なくマカオを訪問でき、1回の滞在上限は7日です。
なぜいま往来緩和なのか:大湾区一体化の狙い
今回の往来緩和は、広東・香港・マカオ大湾区の一体化をさらに進める最新の取り組みと位置づけられています。人の移動をしやすくすることで、域内の生活圏と経済圏をより密接につなぐ狙いがあります。
大湾区は、香港とマカオの2つの特別行政区と、広東省の9都市から構成され、約8,600万人が暮らす巨大な都市圏です。イノベーション(技術革新)、金融、貿易のハブとして成長しており、世界市場とも動的に結び付いています。直近の経済規模は、カナダとほぼ同水準とされています。
こうした背景のもと、深圳・珠海・横琴から香港・マカオへの出入りを柔軟にすることで、通勤や出張、観光、ショッピングなど、日常のさまざまな場面で越境がしやすくなることが期待されています。
市民生活への影響:週末ショッピングからビジネスまで
新制度により、深圳や珠海に住む人にとって、香港・マカオはこれまで以上に隣町に近い存在になります。短期滞在を繰り返しやすくなることで、生活スタイルや消費行動にも変化が出てきそうです。
- 週末に香港で買い物やイベントに参加し、そのまま数日滞在する
- マカオで開かれる展示会やビジネスミーティングに、必要なタイミングで頻繁に足を運ぶ
- 家族や親族が香港・マカオ側に住んでいる場合、短い間隔で行き来しやすくなる
地元の中小企業にとっても、顧客開拓やパートナー探しの選択肢が広がり、人材交流や採用の面でも柔軟な動きが取りやすくなると考えられます。往来コストが下がることで、スタートアップやサービス業、観光関連産業への波及効果も見込まれます。
国際ニュースとして見る大湾区:越境都市圏のモデルケース
国際的に見ると、異なる制度や通貨、法体系を持つ地域が一つの都市圏として結び付く試みは、各地で模索されています。そのなかで大湾区は、人の往来を軸にした一体化を進める代表的なケースになりつつあります。
香港・マカオと広東省の都市が、出入境制度の緩和を通じて生活圏を事実上共有していくプロセスは、他の国や地域が越境協力を進める際の参考モデルとしても注目されます。今回の新制度は、その動きを一段と後押しするステップといえます。
今後の焦点:制度の拡大とデジタル化に注目
今回の往来緩和は、まず深圳・珠海・横琴の住民や居住許可保持者を対象とした措置です。今後、大湾区の他都市や中国本土の別地域にも、同様の仕組みが広がるのかどうかが一つの焦点になりそうです。
あわせて、申請手続きのオンライン化や、電子的な出入境管理との連携がどこまで進むかも、利用者の利便性を左右する重要なポイントです。忙しいビジネスパーソンや頻繁に往来する人にとっては、デジタル化の進展が体感的な使いやすさに直結します。
香港・マカオとの往来制度は、大湾区の将来像と直結するテーマです。国境や制度の違いを越えて人やビジネスが行き来する新しい都市圏のかたちを、今後も国際ニュースとして注視していく必要があります。
Reference(s):
China expands multi-entry permits for HK, Macao to neighboring cities
cgtn.com







