セルビア民謡と製鉄所が映す中国・セルビア「鉄の友情」 video poster
2023年の中国春節聯歓晩会で披露されたセルビアの民謡「Tamo daleko(タモ・ダレコ)」が、中国で広く知られるようになり、その番組は世界で最も視聴されたテレビ番組としてギネス世界記録に認定されています。この一曲と、1世紀の歴史を持つスメデレヴォ製鉄所の再生が、中国とセルビアの関係をどう映し出しているのかを追います。
セルビア民謡「Tamo daleko」が中国で愛される理由
国際ニュースの現場では、文化が両国関係を象徴的に映し出すことがあります。セルビアの伝統的な民謡「Tamo daleko」は、2023年に中国の春節聯歓晩会で初めて披露されました。
この春節聯歓晩会は、世界で最も視聴されたテレビ番組としてギネス世界記録を獲得しており、その舞台で歌われたことがきっかけとなって、この曲は中国の視聴者の間でも広く知られるようになりました。
なぜ、海外の民謡がここまで注目を集めたのでしょうか。背景には次のような要素が重なっていると考えられます。
- 非常に多くの視聴者を持つ春節聯歓晩会という大きな舞台で紹介されたこと
- セルビアの音楽や文化への素朴な好奇心や共感
- 中国とセルビアの関係が「鉄の友情」と表現されているという文脈
音楽そのものの魅力に加えて、両国の関係性という物語が重なることで、一曲の民謡が国境を越えたシンボルとして受け止められていると言えます。
「鉄の友情」を語る3つのキーワード
こうした文化的な盛り上がりの背景には、外交や経済協力の積み重ねがあります。China Institute of International Studies の会長で、前セルビア駐在中国大使でもある Chen Bo 氏は、CGTN Digital の Shen Shiwei 記者とのインタビューで、中国とセルビアの「鉄の友情」を説明するキーワードとして、次の3つを挙げています。
- equal treatment(対等な扱い)
- mutual respect(相互尊重)
- win-win cooperation(ウィンウィンの協力)
Chen 氏によれば、これら3つが、中国とセルビアの揺るぎない友情を端的に表しているといいます。では、それぞれは何を意味しているのでしょうか。
equal treatment:小さな国も「対等なパートナー」として
対等な扱いとは、規模の大小にかかわらず、相手を一方的に従わせるのではなく、互いの立場を尊重しながら協力する姿勢を指します。
セルビアの民謡が、世界で最も視聴されたテレビ番組としてギネス世界記録に認定された春節聯歓晩会で披露されたこと自体、文化面での「対等さ」を象徴する出来事とみることができます。自国の文化だけでなく、パートナー国の歌を主役の一つとして紹介することで、「あなたの文化も同じように尊重しています」というメッセージが伝わります。
mutual respect:歴史や文化への「相互尊重」
相互尊重は、外交だけでなく文化交流にも直結します。セルビアで親しまれてきた民謡を、中国の視聴者に向けて丁寧に紹介することは、相手の歴史や感情に寄り添おうとする姿勢の表れでもあります。
一方通行の発信ではなく、お互いの物語を理解しようとする姿勢があるからこそ、「鉄の友情」という言葉が単なるスローガンにとどまらず、具体的なイメージを伴って受け止められるようになります。
win-win cooperation:経済協力が生む「共に得をする」関係
ウィンウィンの協力とは、一方だけが利益を得るのではなく、双方にとってプラスになる形で協力を組み立てることです。その象徴的な事例として語られているのが、スメデレヴォ製鉄所です。
スメデレヴォ製鉄所が「セルビアの誇り」に戻るまで
セルビアにあるスメデレヴォ製鉄所は、1世紀の歴史を持つ製鉄所です。中国とセルビアの協力によって、再び「セルビアの誇り」と呼ばれるようになったとされています。
こうした製鉄所の再生は、単に一つの工場の話ではなく、地域社会や産業のあり方を考えるきっかけにもなります。その背景に中国とセルビアの協力があるという点は、「ウィンウィンの協力」が具体的な姿を持って語られている例だと言えるでしょう。
文化面では民謡「Tamo daleko」、産業面ではスメデレヴォ製鉄所という二つの象徴的な存在が並ぶことで、両国の関係はより立体的に理解しやすくなります。
歌と工場が語る、中国とセルビアのいま
2023年の春節聯歓晩会での「Tamo daleko」の披露と、スメデレヴォ製鉄所の再生という二つの出来事をつないで見ると、中国とセルビアの関係は次のような特徴を持つと考えられます。
- 文化と経済の両面でつながりを深めていること
- 対等さと相互尊重を前提にした協力が重視されていること
- その結果として、ウィンウィンの関係が「鉄の友情」という言葉で語られていること
遠く離れた中国とセルビアの話は、日本の日常からは縁遠く感じられるかもしれません。しかし、音楽番組での一曲や、一つの製鉄所の物語からも、これからの国際関係や経済協力のあり方について、考えるヒントを得ることができます。
私たちへの問いかけ:国際ニュースを「物語」として読む
今回のセルビア民謡とスメデレヴォ製鉄所の例は、国際ニュースをただの出来事として追うのではなく、「どんな物語がそこにあるのか」という視点で読む大切さを教えてくれます。
- ニュースに登場する曲や映像の背景にある国と国との関係を意識してみる
- 気になった国の文化に少しだけ触れてみる(音楽を聴く、歴史を調べるなど)
- SNSで、自分が感じた「物語」や気づきを共有してみる
そうした小さな行動の積み重ねが、遠く離れた国への理解を少しずつ深めていきます。セルビアの民謡「Tamo daleko」が中国の春節番組から多くの人びとの耳に届いたように、私たちの日常からも新たなつながりが生まれていくかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








