中国民族大会で注目「一本竹漂流」レースとは video poster
中国・海南省三亜市で開催中の第12回全国少数民族伝統体育運動会で、一本の竹の上に立って水面を駆け抜ける「一本竹漂流」レースが大きな話題になっています。中国ニュースとしても注目されるこの民族スポーツは、伝統文化と現代スポーツが出会う象徴的な競技になりつつあります。
水面を駆ける「一本竹漂流」とは?
一本竹漂流は、もともと中国南西部の貴州省北部で生まれた移動手段でした。川の多い地域で、人びとは長く太い竹に乗って水面を移動し、物資を運んだり、村と村を行き来したりしてきたとされています。
現在の競技では、選手が一本の竹に立ち、バランスを取りながら前へ進み、決められた距離をどれだけ速く漕ぎ切るかを競います。水面に細い竹だけが浮かび、その上で人が全力で漕いでいく姿は、初めて見る人に強い印象を残します。
かつての「足」から競技スポーツへ
一本竹漂流は、かつては生活のための実用的な技でしたが、長い時間をかけて技が磨かれ、地域の伝統芸として受け継がれてきました。2021年には、この活動が中国の国家級無形文化遺産に登録され、文化的価値が正式に認められました。
無形文化遺産とは、形として残る建物や工芸品ではなく、技術や芸能、習俗など「人が受け継ぐ技と知恵」を守ろうとする仕組みです。その一つとして一本竹漂流が位置づけられたことで、「生活の知恵」が「守るべき文化」へと意味づけられたと言えます。
民族伝統スポーツとしての「進化」
そうした伝統の技が、今は全国大会の正式種目として、スピードと技術を競うスポーツになっています。今回の第12回全国少数民族伝統体育運動会でも、一見シンプルでありながら高度なバランス感覚を要する競技として、多くの観客の視線を集めています。
武侠小説の世界のような光景
細い竹の上に立った選手たちが、水しぶきを上げて一気にスタートを切る姿は、中国のカンフー映画や武侠小説のワンシーンのようだと感じる人も少なくありません。それでも、これは特別な「超人的な技」ではなく、練習を積めば身につけることができる技だといいます。
観客にとっては「本当にあの上に立てるのか」という驚きと、「自分もいつか挑戦してみたい」という好奇心の両方をかき立てる競技です。
広西の選手が男女60メートルを制覇
今回の大会では、中国南部・広西チワン族自治区から出場した選手たちが、一本竹漂流の60メートルレースで男女ともに優勝を果たしました。短距離の一本竹漂流は、スタートの速さと、わずかなバランスの乱れを即座に立て直す反応速度が勝負を分けます。
同じ種目で男女ともに広西の選手が頂点に立ったことは、この地域で一本竹漂流の技術がしっかりと受け継がれ、鍛えられていることを示していると言えるでしょう。
なぜ今、「伝統×スポーツ」が注目されるのか
今回の一本竹漂流のように、伝統的な技や暮らしの知恵がスポーツとして再発見される動きは、中国国内だけでなく、アジア各地でも見られます。国際ニュースの観点からも、「文化の継承」と「スポーツの発展」が重なり合うトレンドとして注目できます。
視覚的なインパクトと分かりやすさ
一本竹漂流が関心を集める理由の一つは、スマートフォンの小さな画面でも伝わる「一目で分かるすごさ」です。
- 一本の竹の上に立つという分かりやすい設定
- 失敗すればすぐ水に落ちてしまうという緊張感
- 短距離レースならではのスピード感
ルールがシンプルであるほど、SNSなどで動画が拡散しやすく、「これは何の競技?」と世界中の視聴者が関心を持つきっかけになります。
若い世代へのアピールという側面
2021年に無形文化遺産に登録された時点では、「守るべき伝統」としての色合いが強かった一本竹漂流ですが、スポーツとして大会で取り上げられることで、若い世代にとっても「かっこいい」「やってみたい」と思える存在になりつつあります。
文化を残すうえで重要なのは、「記録すること」だけでなく、「実際にやってみる人」を増やすことです。競技化は、その入口を広げる役割を果たしているとも見ることができます。
観光と地域の物語づくり
一本竹漂流のような民族伝統スポーツは、地域の物語を分かりやすく伝える材料にもなります。「なぜこの地域でこの技が生まれたのか」「どんな川で、どんな暮らしの中で使われてきたのか」といった背景に目を向けると、単なる「珍しい競技」を超えた理解が生まれます。
大会での活躍をきっかけに、その土地の歴史や文化に興味を持つ人が増えれば、地域にとっても新しいチャンスとなるでしょう。
「読みやすい国際ニュース」から考える小さな問い
一本竹漂流は、中国の民族スポーツの一つというだけでなく、「伝統をどう現在形にするか」という問いを投げかけるニュースでもあります。
- 生活の知恵としての技を、スポーツとして競うことの意味は何か
- 競技化することで失われるものと、新たに生まれる価値は何か
- 自分の身近な地域にも、スポーツになりそうな「昔ながらの技」はないか
今日の中国ニュースとして伝えられる一本竹漂流は、同時に、私たち自身の足元にある文化を見直すヒントにもなり得ます。スマートフォンで短い動画を見る感覚で、このような国際ニュースに触れながら、自分なりの答えを考えてみるのも良さそうです。
もし、日本の川や海辺で、似たような「伝統×スポーツ」の新しい競技が生まれたとしたら、あなたは参加してみたいと思うでしょうか。それとも、観客としてカメラを構える側に回るでしょうか。一本竹漂流のレースは、そんな想像を静かに刺激してくれます。
Reference(s):
cgtn.com








