中国が農村道路の白書発表 460万キロが支える「新時代」の地方
中国国務院新聞弁公室は、農村道路の発展状況と今後のビジョンをまとめた白書「新時代の中国農村道路」を公表しました。2023年末時点で農村道路の総延長は460万キロメートルに達し、農村振興や雇用創出を支えるインフラとして注目されています。
白書「新時代の中国農村道路」が示すもの
今回公表された白書の英語タイトルは China’s Rural Roads in the New Era で、日本語にすると「新時代の中国農村道路」といった意味になります。白書は、農村道路整備の成果と今後の構想を紹介し、その経験を共有することを目的としています。
白書によると、中国は農村の道路整備を「豊かさへの道」と位置づけ、とくにこれまで取り残されがちだった貧困地域で、集中的かつ加速的に交通インフラを整備してきたとしています。
総延長460万キロ、赤道115周分の農村道路網
白書によれば、2023年末時点で中国の農村道路の総延長は460万キロメートルに達し、2013年末と比べて21.7%増えました。これは地球の赤道を115周できる長さに相当するとされています。
こうした農村道路網は、
- 県道が都市と農村を結び、
- 郷や鎮の道路が地域内を縦横に走り、
- 村道が住居と農地を細かく結ぶ
という構造になっていると白書は説明しています。日々の買い物や通学、農産物の出荷など、農村の生活や生産活動を支える基盤になっていることがうかがえます。
貧困地域で140万キロ超を整備、「ボトルネック」を解消
白書は、とくに貧困地域での道路整備に「並外れた措置」と「大きな努力」を注いだと強調しています。2014年以降、これまで貧困地域とされてきた場所で、新設や改良を合わせて140万キロメートル以上の農村道路が整備されました。
また、段階的な整備の節目として、次のような達成状況が示されています。
- 2019年までに:条件の整ったすべての郷鎮・行政村が舗装道路で結ばれた
- 2020年までに:同じく条件の整ったすべての行政村がバス路線で結ばれた
これにより、長年にわたり地域の経済・社会発展を妨げてきた交通面の「ボトルネック」が解消され、農村の人々が「あらゆる面での小康(ほどよく豊かな生活)」を実現するための土台が築かれたとしています。
農村道路が生む雇用と所得
農村交通インフラの整備は、道路そのものだけでなく雇用と所得の面でも影響を広げていると白書は指摘します。
- 農村道路の建設プロジェクトでは、支援を必要とする約8万人が就労の機会を得ており、一人あたりの年間平均所得が約8,500元(約1,182.57米ドル)増加している
- 農村道路の管理・維持分野では、約85万人の雇用が生まれ、一人あたり年間およそ1万3,000元の収入が得られている
白書によると、農村の交通施設が安定的に整備されることで、農村に資本やプロジェクト、人材が引きつけられ、仕事の選択肢が広がり、収入源も多様化しているといいます。
農村振興、観光、公共サービス…道路がつなぐ多様な効果
中国政府は、幅広い意味での「農村振興」を進める中で、農村道路を農村経済全体の発展戦略に組み込んでいると白書は説明します。具体的には、
- 農業や農産物加工など農村産業の近代化を支える
- 観光資源を生かした農村観光の促進に役立てる
- 地域ごとの特色ある資源を効率的に活用するための物流やアクセスを整える
といった方向性が示されています。
さらに農村道路の整備は、教育や医療などの基本的な公共サービスを農村部まで行き届かせ、都市と農村の交流や一体化を加速させる役割も担っていると白書は指摘します。「美しく調和のとれた農村」を実現するための重要な基盤インフラとして位置づけられているのです。
インフラから読む中国農村のいま
今回の白書は、中国の農村道路整備が単なる「道づくり」を超え、貧困削減や農村振興、雇用創出など、多方面の政策と結びついていることを示しています。
国際ニュースとして見れば、農村と都市の格差や、地方の人口減少に悩む国や地域にとっても、インフラを通じてどのように地域の活力を引き出すかという点で、一つの参考事例になりそうです。数字の裏側にある現場の変化を想像しながら、自国の地域政策と重ねて考えてみる余地もありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








