中国初の商業宇宙港から長征12号が初飛行 海南で試験衛星打ち上げ成功 video poster
リード:なぜこのニュースが重要か
中国の新型ロケット長征12号が、海南商業宇宙発射場から試験衛星を打ち上げました。中国初の本格的な商業宇宙港のデビューは、2025年の国際宇宙ビジネスの勢力図にも影響を与えそうです。
海南商業宇宙発射場で初の打ち上げ成功
現地時間の土曜夜、中国の新しい長征12号ロケットが海南商業宇宙発射場から打ち上げられ、試験衛星を軌道に投入することに成功しました。これが同発射場からの初飛行であり、中国の商業宇宙開発にとって節目となる一歩です。
海南商業宇宙発射場は、建設開始からわずか878日で稼働段階に入りました。今回の初ミッションは、
- 新しい発射台
- 新しいロケット
- 新しい運用手順
- 新しいチーム
という「すべてが初めて」の条件が重なり、高い難度の挑戦だったといえます。
遠隔発射管制で効率化
今回の初打ち上げでは、遠隔発射管制システムが採用されました。地上の管制設備は管制棟に集約され、発射指令は発射場内の第二管制ホールから送られます。
このように機能を集中させることで、運用要員を減らしつつ、安全性と即応性を高める狙いがあるとみられます。商業打ち上げでは、コストとスピードの両立が重要であり、その土台づくりが進んでいるといえるでしょう。
最大20種類のロケットに対応する汎用発射台
初打ち上げを担ったのは、海南商業宇宙発射場の第二発射台です。この発射台は、中国で初めての汎用型中型液体ロケット用発射台として設計されており、直径3.35メートルから5メートルまで、ほぼ20種類のロケットに対応可能とされています。
一つの発射台で複数タイプのロケットに対応できることは、商業宇宙港としての競争力を高めます。利用したいロケットに合わせて柔軟に発射スケジュールを組めるため、衛星事業者にとっても選択肢が広がります。
「三つのフラット」で高速ターンアラウンド
第二発射台では、three-flat(スリー・フラット)と呼ばれる高速処理のアプローチが採用されています。具体的には、
- 機体を横向きに組み立てる水平組立
- 同じく横向きの状態で行う試験
- 水平のまま発射地点へ運ぶ輸送
という三つの工程を効率的に行うことで、打ち上げ準備にかかる時間を短縮しています。ロケットを立てた状態で作業する従来方式に比べ、地上設備の簡素化や安全性向上にもつながりやすい方式です。
わずか数日で次の打ち上げ準備へ
海南商業宇宙発射場のロケット移動用パッドは、高い回転率も特徴です。次の打ち上げに向けた準備は、最短で3日程度で整えられ、打ち上げ後も約7日で発射前の状態に復帰できるとされています。
このスピード感は、衛星コンステレーション(多数の衛星をネットワークとして運用する仕組み)や頻繁な補給ミッションなど、打ち上げ需要が増える商業市場を見据えたものと考えられます。
長征12号ロケットの性能と特徴
今回の主役となった長征12号ロケットは、中国で初めて直径4メートルの液体燃料ロケットとして開発された機体です。構成は2段式で、全長はおよそ62メートル、打ち上げ時の質量は約430トンとされています。
衛星をどれだけ運べるかを示すペイロード能力は、
- 低軌道(地表に比較的近い軌道)で12トン以上
- 高度700キロメートルの太陽同期軌道で6トン以上
とされており、中国のロケットの中では最も強力な2段式単一コアの機体となります。
また、衛星を覆うフェアリング(保護カバー)の直径は5.2メートルと4.2メートルのバリエーションに対応し、単独衛星だけでなく、複数衛星の同時打ち上げや、さまざまな軌道への投入にも柔軟に対応できる設計です。
中国の商業宇宙戦略にとっての意味
海南商業宇宙発射場の本格稼働と長征12号の初飛行は、中国の宇宙活動が国家プロジェクト中心から商業利用へと広がりつつあることを象徴しているように見えます。
高いペイロード能力と短い準備期間を組み合わせることで、
- 通信や地球観測衛星の大量打ち上げ
- 企業や大学などによる小型衛星プロジェクト
- 将来の宇宙インターネット構想などのインフラ整備
といった用途に対応しやすくなります。2025年以降の商業宇宙市場では、コストだけでなく「どれだけ早く・柔軟に打ち上げられるか」が重要な指標となっていく可能性があります。
日本・アジアの読者にとっての視点
日本やアジアの読者にとって、このニュースは単なるロケットの打ち上げ成功にとどまりません。商業宇宙港をめぐる競争が、今後の通信インフラや地球観測データの入手、さらに新しい宇宙ビジネスの機会に直結していくからです。
中国の動きだけでなく、日本や他のアジア各地でも商業宇宙への投資や発射場整備が進んでいます。海南商業宇宙発射場と長征12号の組み合わせが、どのように国際的な打ち上げ市場に影響していくのか。今後の打ち上げ実績や、新たに計画されるミッションに注目していく必要がありそうです。
Reference(s):
China's first commercial launch site debut with maiden flight of LM 12
cgtn.com








