中国の砂漠化対策、UNCCD COP16で世界と共有へ
中国が、サウジアラビアのリヤドで開催中の国連砂漠化対処条約(UNCCD)第16回締約国会議(COP16)で、自国の砂漠化対策と土地回復の経験を国際社会と共有しようとしています。砂漠化は食料安全保障や気候変動にも直結する課題であり、その対策は日本を含む世界にとって重要な意味を持ちます。
2025年は、中国がUNCCDに署名してから30年の節目の年です。このタイミングで開かれているCOP16のテーマは「Our Land(私たちの土地)」で、中国代表団は長年の取り組みをもとに、土地劣化をどう止め、回復させてきたかを示す方針です。
UNCCD COP16とは何か
UNCCDは、砂漠化や土地劣化に対処するための国連条約で、締約国会議(COP)は各国が進捗を報告し、新たな目標や協力の枠組みを話し合う場です。リヤドで行われているCOP16では、気候変動への適応や生物多様性の保全とも結びついた「土地の回復」が大きなテーマになっています。
中国代表団が示す砂漠化対策の成果
中国外交部の毛寧報道官によると、中国は「整備可能な砂地」のうち53%で効果的な対策をすでに実施しているとしています。中国は砂漠化の影響を強く受けてきた国の一つですが、近年は大規模な植林や砂防対策を通じて、土地の回復を進めてきました。
今回のCOP16で共有されるとみられる主なポイントには、次のようなものがあります。
- 整備対象となる砂地の53%で有効な対策を実施
- 長期プロジェクト「三北防護林」の進展
- タクラマカン砂漠を囲む「緑の防護ベルト」の整備状況
1978年から続く「三北防護林」プロジェクト
中国の砂漠化対策を語る上で欠かせないのが、「三北防護林(Three-North Shelterbelt Forest Program)」です。1978年に始まり、2050年まで続く超長期の植林・防風林整備プロジェクトで、中国北部・東北部・西北部を広くカバーしています。
毛報道官によれば、このプロジェクトによってこれまでに約3,200万ヘクタールの造林面積が拡大しました。計画が完了する2050年には、中国の13省・自治区など、約400万平方キロメートルをカバーする見通しで、これは中国の国土面積の42.4%に相当するとされています。
数十年単位で続くこうした事業は、短期的な成果だけでなく、世代を超えた土地利用のあり方を問う取り組みでもあります。COP16では、この長期プロジェクトから得られた教訓が共有されることになりそうです。
「死の海」タクラマカン砂漠を取り囲む緑の帯
中国は、世界で2番目に大きい流動砂漠とされるタクラマカン砂漠も抱えています。その面積は約33万7,600平方キロメートル、周囲は3,046キロメートルに及び、「死の海」とも呼ばれてきました。
中国北西部の新疆ウイグル自治区の当局によると、このタクラマカン砂漠は現在、全周にわたって砂の移動を抑える「緑の防護ベルト」に囲まれているといいます。砂漠の外側を取り囲む形で植林や防砂林が整備され、砂嵐の発生や周辺地域への砂の流入を抑える役割を果たしています。
かつて「入れば戻れない」と恐れられた砂漠の周縁が、徐々に緑に変わっていくプロセスは、COP16でも象徴的な事例として紹介される可能性があります。
砂漠化はなぜ国際ニュースになるのか
砂漠化は、一見すると特定の地域だけの問題に見えますが、実際には食料生産、水資源、都市への人口移動など、世界全体に波及する課題です。土地がやせ、耕作できなくなると、農村から都市への移住が進み、社会・経済の不安定さにもつながります。
また、劣化した土地を回復させることは、二酸化炭素を吸収する森林や草地を増やすことにもつながり、気候変動対策としても重要です。UNCCDでの議論は、気候変動、生物多様性、持続可能な開発目標(SDGs)といった他の国際アジェンダとも密接に関係しています。
日本とアジアの読者にとっての意味
日本には大規模な砂漠はありませんが、豪雨や干ばつ、山林の荒廃など、土地の劣化という意味では無縁ではありません。アジアの多くの国や地域でも、乾燥化や砂漠化のリスクが指摘されており、中国を含む周辺地域の取り組みは参考になる部分が多いといえます。
特に、次のような視点は日本の政策議論やビジネスにもつながりやすいテーマです。
- 数十年単位で続く長期プロジェクトを、どのように政治・予算の変化を超えて継続するか
- 砂漠化対策と再生可能エネルギー、農業、インフラ整備などをどう組み合わせるか
- 地域社会の雇用創出や生活向上と、環境保全を両立させる仕組みづくり
今回のCOP16は、中国を含む各国がそれぞれの経験を持ち寄り、「土地をどう守り、どう再生していくのか」という共通課題を議論する場です。日本の読者にとっても、単なる環境ニュースとしてではなく、これからの社会や経済のあり方を考えるヒントとして注目する価値がありそうです。
会期は12月2日から13日まで。会議の行方とともに、中国が共有する砂漠化対策の具体的なノウハウや国際協力の提案に、世界の視線が集まっています。
Reference(s):
cgtn.com








