世界初の商業用液化CO2運搬船が中国で引き渡し 脱炭素の新たな一歩 video poster
世界初となる商業用液化二酸化炭素 CO2 運搬船が、中国東北部の大連市で海外顧客に引き渡されました。脱炭素社会に向けた二酸化炭素輸送のインフラが、2025年現在、具体的な形になり始めています。
世界初の商業用液化CO2運搬船 Northern Pioneer
今回引き渡された液化CO2運搬船の名称は Northern Pioneer です。中国の大連船舶重工集団が、同国の国有造船グループである中国船舶集団の一員として独自設計・建造し、海外の顧客に納入しました。
船は中国東北部 遼寧省の大連市で金曜日に引き渡されました。場所は、同地域の造船拠点の一つとして知られる大連の造船所です。
全長約130メートル 7500立方メートルのCO2を輸送
Northern Pioneer は、全長約130メートル、幅21.2メートルという中型クラスの船体に、7500立方メートルの液化CO2を一度に積載できる専用タンクを備えています。これは、発電所や工場などで回収されたCO2を、貯留地や再利用先へまとめて輸送することを想定した規模です。
貨物タンクには新たに開発された鋼材が採用され、液化されたCO2を長時間、安全かつ安定した温度と圧力で保つことができるよう設計されています。プロジェクトマネージャーの蓋勇 氏は、中国メディアの取材に対し、この鋼材の実用化とタンク設計が世界で初めての試みであると強調しています。
LNG二元燃料で高い省エネ性能 環境負荷の低減も
この船は、液化天然ガス LNG と従来燃料の二元燃料エンジンで動く仕組みになっており、世界で最も厳しい水準のエネルギー効率設計指標に適合しているとされています。LNGは、従来の重油に比べて二酸化炭素や大気汚染物質の排出量を抑えられる燃料です。
蓋氏によると、船体全体に複数の省エネと環境配慮の設計が組み込まれており、それが建造の難易度を大幅に高めた一方で、CO2輸送産業に新しい地平を開いたといいます。安全性と効率性、環境性能の三つを高いレベルで両立させた点が、国際的にも最先端の特徴とされています。
なぜ液化CO2運搬船が重要なのか
国際的に、二酸化炭素の排出削減だけでなく、回収したCO2をどのように運び、どこに貯留し、どう活用するかが大きなテーマになっています。この一連の仕組みは、二酸化炭素回収・貯留や再利用 CCS などと呼ばれ、ネットゼロ排出を目指す戦略の一部です。
陸上設備から離れた海底貯留地や、他地域の産業拠点へCO2を運ぶには、専用の輸送インフラが不可欠です。液化CO2運搬船は、その中核となる存在であり、今回の Northern Pioneer のような商業用船の登場は、技術とビジネスの両面で大きな節目といえます。
中国造船業とグローバルな脱炭素ビジネスへの影響
中国本土の造船企業が世界初の商業用液化CO2運搬船を独自設計で完成させたことは、同国の造船技術と環境関連ビジネスの競争力を示す事例でもあります。海外顧客向けの引き渡しという点からも、グローバル市場を意識したプロジェクトであることがうかがえます。
今後、CO2輸送の需要が各国で拡大すれば、類似の船舶や関連インフラの開発が進み、国際協力や標準化の議論も本格化していく可能性があります。今回の Northern Pioneer は、その前哨戦となる象徴的な一隻と見ることができそうです。
これから私たちが注目したいポイント
- 液化CO2運搬船が今後どの程度商業的に普及するのか
- CO2回収・貯留 CCS プロジェクトとの連携の進み方
- エネルギー効率や環境性能をめぐる国際的な基準作り
- 中国本土を含むアジアの造船業が、脱炭素分野でどのような役割を担うのか
通勤中のスマホでニュースを追う人にとっては、やや専門的に見えるテーマかもしれません。しかし、CO2をどう運び、どこにしまい、どう使うのかという議論は、電気料金や産業の競争力にもつながる、私たちの日常と無縁ではない話題です。今後の国際ニュースの中で、液化CO2運搬船というキーワードを見かけたら、その背景にある技術とビジネスの動きを思い出してみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
World's 1st commercial liquefied CO2 carrier delivered in China
cgtn.com








