中国・少数民族伝統競技大会 竹やココナツ木登りが彩った9日間
中国の海南省・三亜市で開かれていた第12回中国全国少数民族伝統競技大会(National Traditional Games of Ethnic Minorities of China)が、11月22日からの9日間の日程を終えて土曜日に閉幕しました。約7000人が参加したこの伝統スポーツの祭典は、中国各地の少数民族文化とスポーツが一堂に会する国際ニュースとしても注目されています。
約7000人・35代表団が参加した伝統スポーツの祭典
今回の大会は、中国各地から35の代表団が集まり、ほぼ4年ごとに開かれてきた全国少数民族伝統競技大会の第12回として開催されました。会場は南部の海南省三亜市で、期間中は伝統スポーツを通じて多様な民族文化が披露されました。
競技は大きく三つのカテゴリーに分かれています。
- 競技性の高い種目(コンペティティブ)
- 技を競う種目(スキル系)
- 複合的な要素を持つ総合種目
これらのカテゴリーのもとで、18の正式競技と160を超える公開・デモンストレーション種目が行われ、伝統スポーツを「する人」も「見る人」も楽しめる構成になっていました。
馬術は7月に先行開催 新疆ウイグル自治区で実施
全体としては11月22日からの9日間で行われた大会ですが、馬術競技だけは別会場・別日程で実施されました。すべての馬術種目は、7月に中国北西部の新疆ウイグル自治区・昭蘇で先行して行われ、既に終了しています。
広い国土と多様な地域文化を持つ中国では、競技の特性や会場環境に合わせて、こうした分散開催のかたちがとられています。馬とともに生きてきた地域の歴史や文化を背景に、馬術競技が現地で行われたことも象徴的です。
人気を集めた多彩な伝統競技
今回の少数民族伝統競技大会では、名前を聞くだけでもイメージが広がるようなユニークな種目が人気を集めました。代表的なものとして、次のような競技が挙げられています。
- 竹馬のような道具を使う竹馬レース(stilt racing)
- 一本の竹を使うシングルバンブードリフティング(single bamboo drifting)
- 板状の履物で走るボードシュー・レース(board-shoe racing)
- 西蔵(Xizang)の伝統競技として知られるヤジア(Yajia)(チベット式綱引きとも呼ばれる種目)
- 身体のバランスと度胸が試されるブランコ競技(swing competitions)
いずれの種目も、単なる勝ち負けだけでなく、地域ごとの暮らしや風土、価値観を反映した競技として受け継がれてきたものです。大会は、その豊かな文化的背景を持つ種目を、現代のスポーツイベントとして再確認する場にもなりました。
海南ならではの「ココナツ木登り」が正式種目に
今回ならではのトピックとして注目されたのが、「ココナツ木登り」が正式競技として初めて採用されたことです。この種目は、海南の少数民族文化に根ざした伝統的なスポーツであり、開催地ならではのローカル色を大会全体に加えました。
地元の生活や自然環境から生まれたココナツ木登りが正式種目として認められたことで、「開催地の文化をどう生かすか」という視点が、今後の大会づくりにおいても一つの方向性になる可能性があります。
1953年から続く「参加型スポーツ」の伝統
全国少数民族伝統競技大会は、1953年に始まって以来、ほぼ4年ごとに開かれてきました。特徴的なのは、トップアスリートだけが集う大会というよりも、「多くの人が伝統スポーツに参加すること」を重視している点です。
大会の主眼は、少数民族の伝統競技を守り、広め、次世代につないでいくことにあります。
- 地域に根ざした遊びや技能を「スポーツ」として位置づけ直す
- 異なる民族どうしが交流する場をつくる
- 若い世代が自らの文化に誇りを持つきっかけにする
こうした狙いのもとで、「観るスポーツ」というより「一緒に楽しみ、参加するスポーツ」として、大会が育まれてきたことがうかがえます。
多民族国家の「見える化」としての国際ニュース
今回の少数民族伝統競技大会は、国際ニュースとして見てもいくつかの示唆があります。まず、約7000人、35代表団、18競技、160超の公開種目という規模からもわかるように、多民族国家としての中国が、自国の内部の多様性をスポーツを通じて「見える化」しようとしている姿が読み取れます。
また、シンプルな道具や身近な動きで行う種目が多いことから、伝統スポーツが「特別な施設がなくてもできる文化」であることも示されています。デジタル化が進む今、身体を使った遊びや競技を通じて、人と人が直接向き合う時間をどうつくるかという問いにもつながります。
これからの少数民族スポーツと私たちにとっての意味
今回の大会は、中国国内のイベントでありながら、日本を含む海外の読者にとっても、いくつかの考えるヒントを与えてくれます。
- 自分たちの地域やコミュニティに、どんな「伝統スポーツ」や「昔遊び」が残っているか
- それを次世代にどうつないでいくか
- 競技の強さだけでなく、「文化としてのスポーツ」をどう評価するか
三亜での9日間と新疆ウイグル自治区での馬術競技をあわせた今回の大会は、スポーツを通じて多様性と文化の継承を考えるきっかけとなりました。SNSで競技の映像や写真が広がれば、少数民族スポーツはさらに身近な話題として共有されていくかもしれません。
国や地域を超えて、「読みやすいのに考えさせられる」国際ニュースとして、こうした伝統スポーツの動きに今後も注目していきたいところです。
Reference(s):
Traditional sports at the national games of ethnic minorities
cgtn.com








