グローバルサウスメディアが結集 泉州で発信力強化を議論 video poster
グローバルサウスのメディア同士が連携を深め、自らの視点を世界に伝えるには何が必要なのか。中国南東部の福建省泉州市で開幕した第12回グローバル・ビデオ・メディア・フォーラムで、その問いに向き合う議論が本格化しています。
中国福建省・泉州で第12回グローバル・ビデオ・メディア・フォーラム開幕
第12回グローバル・ビデオ・メディア・フォーラムが、福建省泉州市で開催されました。会場には、ラテンアメリカ、アフリカ、アジア太平洋、欧州を含むグローバルサウスのメディア関係者が集まり、メディア協力の強化と課題について意見交換を行いました。
中国の国際ニュースチャンネルであるCGTNのマルチメディア記者、李菁菁(Li Jingjing)氏は、複数の参加者にインタビューを行い、グローバルサウスのメディアが直面する共通の課題と、その乗り越え方について話を聞きました。
グローバルサウス各地域から多彩な顔ぶれ
今回、インタビューに応じたメディア関係者は次の通りです。
- Juan Carlos Isaza Montejo 氏(Alliance of Latin American Information(AIL)ディレクター)
- Gregoire Ndjaka 氏(African Union of Broadcasting 最高経営責任者)
- Ahmed Nadeem 氏(Asia-Pacific Broadcasting Union 事務総長)
- Neville Choi 氏(パプアニューギニア・メディア評議会 会長)
- João Francisco Pinto 氏(Teledifusão de Macao, S.A.(TDM)ポルトガル語ニュース・番組 コンサルタント)
- Mariann Őry 氏(ブダペスト拠点の雑誌 Eurasia 編集長)
- Miklós Martin-Kovács 氏(CentrumTV 副編集長)
それぞれが異なる地域とメディア文化を背景に持ちながらも、共通していたのは「グローバルサウスの視点を、より直接的でバランスの取れた形で世界に届けたい」という思いでした。
共有された三つの大きな課題
インタビューでは、グローバルサウスのメディアが直面する課題として、おおまかに次の三点が浮かび上がりました。
- 情報発信の偏りをどう是正するか
- デジタル技術と人材のギャップをどう埋めるか
- フェイクニュース時代に信頼性をどう守るか
1. 情報発信の偏りをどう乗り越えるか
多くの国際ニュースは、欧米など限られた地域の大手メディアが発信する情報に依存しがちです。その中で、グローバルサウスの出来事や社会の変化が、十分に、あるいは当事者の視点から伝わっていないという問題意識が共有されました。
参加者たちは、自ら制作した映像コンテンツやニュースを相互に交換し、共同で発信することで、現地の声をより立体的に伝えられると指摘しました。単なるニュース配信にとどまらず、ドキュメンタリーや解説番組など、背景を掘り下げるコンテンツの重要性も強調されています。
2. デジタル技術と人材のギャップ
動画配信プラットフォームやソーシャルメディアの影響力が高まる中、最新の撮影機材や編集技術、データ分析を駆使したデジタル戦略を持つかどうかが、情報発信力を左右しています。しかし、予算規模やインフラ、人材育成の面で、地域やメディアによって大きな差があることも課題として挙がりました。
こうしたギャップを埋めるために、研修や技術共有、若手記者の交流プログラムなどを通じて、長期的にスキルと経験を積み上げていく必要性が語られました。
3. フェイクニュースと信頼性の確保
オンライン上で誤情報や偽情報が拡散しやすい時代に、公共性を持つメディアとして、どのように信頼を守るのかも大きなテーマです。政治や選挙、国際紛争、経済危機といったセンシティブなニュースほど、正確さと検証プロセスが問われます。
参加者たちは、ファクトチェックの体制づくりや編集基準の共有、そして視聴者に対して制作プロセスを分かりやすく伝える「透明性」の重要性を指摘しました。グローバルサウスのメディア同士が協力し合い、情報を相互に確認するネットワークを築くことも一つの方向性として示されています。
協力を深めるための具体的なアプローチ
フォーラムでは、課題の共有にとどまらず、メディア協力を前に進めるための具体的なアイデアも交わされました。
コンテンツの共同制作とニュース交換
例えば、ラテンアメリカとアフリカ、アジア太平洋を結ぶ共同ドキュメンタリー企画や、日常生活や文化に焦点を当てた短編動画シリーズなど、複数の地域が参加する共同制作の可能性が議論されました。
ニュース映像やレポートを相互に提供し合うことで、限られた予算でも多様な国際ニュースを届けられるという実務面でのメリットもあります。こうした「相互乗り入れ」の仕組みは、視聴者にとっても、これまで触れる機会の少なかった地域のニュースに出会うきっかけとなります。
人材交流とトレーニング
若手記者やプロデューサーを対象にした短期・中期の研修プログラムや、各国の放送局やメディア団体間での人材交流も、協力を深める手段として挙がりました。現場で一緒に働き、制作や編集のプロセスを体感することで、単なる技術の習得にとどまらず、互いの社会や文化に対する理解も深まります。
デジタル時代のルールづくり
グローバルサウスの視点を尊重しつつ、国際的に通用するニュースの基準や倫理をどのように共有するかも重要です。フォーラムのような場は、そのルールを一方的に押し付けるのではなく、対話を通じて共通の土台を探るプロセスとして機能しています。
日本語で国際ニュースを読む私たちにとって
日本語で国際ニュースを追いかけている読者にとっても、今回のフォーラムは他人事ではありません。ニュースの多くは翻訳や二次配信を通じて届くため、その元となる情報源が多様であればあるほど、私たちの視野も広がります。
グローバルサウスのメディア同士が連携を強め、自らの言葉と映像で社会や人々の姿を伝えることは、日本の視聴者や読者が「世界をどう見るか」にも静かな影響を与えていきます。一つの出来事を、複数の地域の目線から見比べる習慣を持つことは、国際ニュースを読み解く力を高めることにもつながります。
これからの情報環境と「つながるメディア」
2025年12月現在、世界の情報環境は急速に変化しています。技術の進歩とともに、誰もが発信者になれる一方で、信頼できる情報をどう見分けるかという課題も大きくなっています。
泉州で開かれた第12回グローバル・ビデオ・メディア・フォーラムは、グローバルサウスのメディアが、その変化の中でどのように連携し、自らの声を届けていくのかを模索する場となっています。今後、こうした対話と協力が重ねられていくことで、国際ニュースの風景は少しずつ多声的で、立体的なものへと変わっていくかもしれません。
私たちも、ニュースを受け取る側として、多様な情報源に触れ、異なる視点を尊重しながら、自分なりの考えを育てていくことが求められています。
Reference(s):
cgtn.com








