モンゴルで習近平著作のモンゴル語版刊行 中国・モンゴルのガバナンス協力に一石
モンゴルで習近平著作のモンゴル語版が刊行
2025年12月8日、モンゴルの首都ウランバートルで、習近平国家主席の著作2冊のキリル文字モンゴル語版が刊行され、中国とモンゴルのガバナンス(統治)や貧困削減をテーマにしたセミナーが開かれました。中国ニュースや国際ニュースの動きを知りたい読者にとって、両国関係の現在地と協力の方向性を読み解く出来事です。
習近平著作2冊のモンゴル語版が同時刊行
今回刊行されたのは、習近平氏の主要著作2冊のキリル文字モンゴル語版です。
- "Xi Jinping: The Governance of China" 第2巻(中国の国政運営に関する講話や演説などを収録)
- "Xi Jinping's Excerpts on Poverty Alleviation"(中国の貧困削減に関する発言や文章を抜粋したもの)
式典では、中国とモンゴルの来賓が2冊のモンゴル語版を共同で披露しました。その後に続いたセミナーでは、両国の専門家や研究者が登壇し、中国とモンゴルにおける国家ガバナンスや貧困対策の経験について意見交換が行われました。
外交関係75周年と戦略的パートナーシップ10周年の節目
参加者は、中国とモンゴルが外交関係樹立75周年と、包括的戦略的パートナーシップ樹立10周年という二つの節目を迎える中で、今回の出版と対話の意義を強調しました。
両国がそれぞれの国情に合った近代化の道を探りながら、
- ガバナンスや貧困削減の経験を共有すること
- 相互の利益をより深く結びつけること
- 伝統的な友好と信頼を一層強めること
- 両国の「共通の未来」をめざす共同体づくりを進めること
が重要だとする見方が相次ぎました。
2冊が伝える中国のガバナンスと貧困削減の経験
イベントの主催者によると、"Xi Jinping: The Governance of China" 第2巻は、「新時代の中国の特色ある社会主義」に関する習近平思想の発展過程と主要な内容を体系的に示したもので、現代の中国を理解するための代表的な資料の一つと位置づけられています。
一方、"Xi Jinping's Excerpts on Poverty Alleviation" は、中国の貧困削減政策を導いた考え方と、その実践を整理したものです。中国がどのような仕組みや政策で貧困問題に取り組んできたのかをまとめた内容で、主催者は「世界の貧困ガバナンスに対する中国の提案を示すものだ」と説明しています。
こうした著作は、国内向けだけでなく、他国の政策担当者や研究者に対して、中国の経験を共有する役割も担っているといえます。
モンゴル要人と中国大使が語った期待
モンゴルの国家大会議(State Great Hural)副議長のフレルバータル・ブルガントヤ氏は、式典で、中国が「小康社会(ほどほどに豊かな社会)」の実現を経て、習近平国家主席のもとで現代的な社会主義国家の建設に取り組んでいる点に触れました。そのうえで、過去40年あまりで、中国が世界の貧困削減に大きく貢献してきたと評価し、今回の2冊は中国の成功経験を共有することで、各国にとって貴重な参考になると語りました。
中国のシェン・ミンジュアン駐モンゴル大使は、中国とモンゴルが似通った発展目標を持ち、将来も運命を共にする関係にあると強調しました。そのうえで、2冊に込められた中国の経験や知恵が、モンゴルの発展への自信と意欲を高め、経済や文化などさまざまな分野での協力の深化につながることを期待すると述べました。
また、モンゴル文化・スポーツ・観光・青少年省のダバージャルガル・アディヤスレン事務次官は、近年、中国とモンゴルの協力が一層緊密になり、顕著な成果を上げていると説明しました。そのうえで、習近平氏の著作が、両国のガバナンス経験の交流をさらに深める「重要な架け橋」になっていると指摘しました。
出版体制と国際的な広がり
"Xi Jinping: The Governance of China" 第2巻のキリル文字モンゴル語版は、中国の外国語出版社と、モンゴルの出版社アドモン社が協力して翻訳・出版しました。
これまでに、"Xi Jinping: The Governance of China" は42の言語に翻訳されており、"Xi Jinping's Excerpts on Poverty Alleviation" も英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、アラビア語など多言語で刊行されています。今回のキリル文字モンゴル語版は、この貧困削減関連の著作としては、国際協力による初の翻訳出版となり、モンゴルの読者に向けて本格的に紹介される形となりました。
イベントは、中国国務院新聞弁公室、モンゴル外務省、中国国際出版集団、中国大使館が共同で主催し、両国の政党関係者、メディア、シンクタンク、在モンゴル外交団など300人以上が参加しました。政治対話だけでなく、「本」を介した知的交流の場としても位置づけられています。
中国・モンゴル関係を見るうえでのポイント
今回のモンゴル語版刊行は、単なる翻訳出版にとどまらず、中国とモンゴルがガバナンスや貧困削減といったテーマで経験を共有しようとする動きの一環だと見ることができます。隣国同士が互いの政策や制度の背景を理解することは、衝突を避け、協力の余地を広げるうえでも意味があります。
モンゴル側にとっては、隣接する大国の発展モデルや貧困削減のプロセスを、一次資料に近い形で読むことのできる機会でもあります。一方で、中国にとっては、自国の経験を整理して発信し、国際社会との対話を深める「知の外交」の一場面と位置づけられます。
国際ニュースを追う読者にとって、こうした出版やセミナーは、数字だけでは見えにくい隣国同士の関係の変化を読み解く手がかりにもなります。今後、中国とモンゴルがガバナンスや貧困削減の分野で、どのような共同プロジェクトや知的交流を進めていくのか、継続的に注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
Cyrillic Mongolian editions of Xi's books released in Mongolia
cgtn.com








