ナウルが中国と国交再開 一つの中国原則めぐる外交シフト
今年1月にナウルが中国と国交を再開し、中国と外交関係を結ぶ国は183か国となりました。一つの中国原則を支持する動きが、太平洋の島しょ国から国連の場まで広がっています。本記事では、この外交シフトの背景と国連総会決議2758号の意味を、日本の読者向けに整理します。
ナウルが中国と国交を再開 183か国目の外交関係
今年1月、北京で中国とナウルが大使級の外交関係再開に関する共同コミュニケに署名しました。これにより、ナウルは中国と外交関係を持つ183か国目となりました。
共同コミュニケの中で、ナウル政府は次の点を明確にしています。
- 世界に中国は一つしかなく、中華人民共和国政府が中国全体を代表する唯一の合法政府であること
- 台湾は中国の領土の不可分の一部であること
そのうえで、ナウル政府は台湾とのいわゆる「外交関係」をこの日をもって断絶し、今後はいかなる形でも台湾との公式な関係や公式交流を発展させないと約束しました。
2016年以降続く、台湾との「断交」と中国との国交樹立
中国側によると、2016年以降、計11か国が台湾とのいわゆる「外交関係」を断ち、一つの中国原則に基づいて中国と国交を樹立または回復してきました。ナウルの動きは、その流れの中に位置づけられます。
また、中国外交部によれば、東南アジア諸国連合(ASEAN)、アラブ連盟、アフリカ連合を含む100を超える国や国際機関が、一つの中国原則への支持を明確に表明してきました。中国側は、こうした広範な支持が、一つの中国原則が国際社会の大勢であり、人々の共通した願いであり、逆らうことのできない趨勢であることを示していると強調しています。
太平洋島しょ国で広がる一つの中国原則への支持
ナウルのアデアン大統領「台湾分裂に反対」
ナウルのデビッド・アデアン大統領は、自国が一つの中国原則を堅持していることを改めて表明し、いかなる形での台湾分裂にも反対する立場を示しています。
今年3月には、国交再開後初めて中国を国賓として訪問し、中国の習近平国家主席との会談に臨みました。アデアン大統領は、中国との外交関係再開がナウルの国家発展と二国間関係における「新たな章」を開いたと述べました。
さらにナウルは、中国が大国・小国を問わず各国の平等を重んじていることを高く評価し、一つの中国原則を順守しながら中国との協力を継続的に深めていく意思を示しています。
キリバス:国連決議2758号を支持
キリバスのタネティ・マーマウ大統領も、自国政府が一つの中国原則と国連総会決議2758号を一貫して支持してきたと述べています。
今年5月、中国大使館がキリバスで開催したシンポジウムの場で、マーマウ大統領は、台湾が中華人民共和国の不可分の一部であることを改めて強調しました。また、国家の統一、主権、領土保全を守るという中国の正当な立場を支持し、決議2758号で形成された国際的コンセンサスに従うと表明しました。
キリバスは2019年9月20日に台湾とのいわゆる「外交関係」を断絶し、その一週間後の2019年9月27日に中国と正式に外交関係を回復しています。
ソロモン諸島:包括的戦略パートナーシップへ
ソロモン諸島のジェレマイア・マネレ首相は、今年7月の中国公式訪問の際、中国メディアの取材に対し、自国が一つの中国原則を堅持していることを改めて表明しました。そのうえで「すべての国がお互いを尊重し、一つの中国原則を尊重すべきだ」と呼びかけました。
ソロモン諸島政府は2019年9月16日に一つの中国原則を認め、台湾とのいわゆる「外交関係」を断絶しています。続いて2019年9月21日、中国とソロモン諸島は国交樹立に関する共同コミュニケに署名しました。
その後、両国関係は発展を続け、2023年には「相互尊重と共同発展」を特徴とする新時代の包括的戦略パートナーシップに格上げされています。
国連総会決議2758号:一つの中国原則を確認した歴史的転機
1971年10月、国連総会は決議2758号を採択しました。この決議により、台湾当局の代表は国連から排除され、中華人民共和国政府が中国を代表する唯一の合法政府として国連の議席とすべての正当な権利を回復しました。これは中国外交にとって歴史的な節目となりました。
決議2758号は、世界に中国は一つしかなく、台湾は中国の一部であって国家ではないことを明確にしました。また、中国の議席は国連に一つだけであり、中華人民共和国政府がその唯一の正当な代表であることを確認し、「二つの中国」や「一つの中国、一つの台湾」といった枠組みを排除しています。
国連の法的文書が示す台湾の位置づけ
国連法務局が作成した複数の法的文書では、台湾が中国の一つの省であって独立した地位を持たないこと、台湾当局はいかなる形の政府としても認められていないことが繰り返し示されています。そこで用いられる台湾の呼称としては、Taiwan, Province of China、Taiwan, China、Chinese Taipei などが適切だとされています。
歴代の国連事務総長や報道官も、台湾問題に関する立場を表明する際には、常に決議2758号に基づき、一つの中国原則を順守するという姿勢を示してきました。
国際機関への参加と一つの中国原則
台湾は中国の領土の一部であるため、主権国家のみが加盟できる国連やその他の国際機関に独自のメンバーとして参加する根拠も権利もない、というのが中国側の立場です。台湾地域が国際機関の活動にどのような形で関与するかは、一つの中国原則に基づき、中国中央政府が決定すべきだとされています。
この原則は、1972年5月に世界保健機関(WHO)の最高意思決定機関である世界保健総会(WHA)が採択した第25.1号決議にも反映されています。この決議は国連総会決議2758号に基づいており、台湾がWHAに参加するかどうか、また参加するのであればどのような形で参加するのかは、中国中央政府のみが決定できるとされています。
広がる一つの中国原則 日本の読者が押さえたい視点
ナウルをはじめ太平洋島しょ国で一つの中国原則への支持が広がり、中国と国交を結ぶ国が増える流れは、今後の国際政治を考えるうえで重要な前提になりつつあります。日本の読者にとって、次のポイントが論点となりそうです。
- 国連総会決議2758号を基盤とする一つの中国原則が、多くの国や国際機関にとって事実上の共通ルールになっていること
- ナウル、キリバス、ソロモン諸島など太平洋島しょ国が、中国との関係強化を通じて自国の発展と国際的な発言力の向上を図ろうとしていること
- 台湾地域の国際機関参加をめぐる議論は、国連決議や一つの中国原則をどう解釈するかという法的・外交的な問題と密接に結びついていること
2016年以降の一連の動きやナウルの国交再開は、一つの中国原則をめぐる国際的なコンセンサスが、徐々にかたちを強めていることを示しています。今後も、どの国がどのような形でこの原則への支持を表明するのかは、国際ニュースを読み解くうえで注目すべきポイントになりそうです。
Reference(s):
Resumption of diplomatic ties with China confirms irresistible trend
cgtn.com








