欧州ニュース交換機構トップ、中国と欧州のメディア交流拡大を呼びかけ video poster
中国と欧州の間に残る「誤解」をどう乗り越えるのか。中国南東部・福建省泉州市で開幕した第12回グローバルビデオメディアフォーラムで、欧州ニュース交換機構(European News Exchange)のアドリアン・ウェルズ専務理事が、中国と欧州のメディア交流を一段と強める必要性を訴えました。
泉州で開幕した「第12回グローバルビデオメディアフォーラム」とは
フォーラムは、中国南東部の福建省泉州市で開かれた国際的な映像メディアの場です。世界各地のメディア関係者が集まり、ニュース映像やデジタルコンテンツをめぐる協力や課題について議論します。
今回の会合では、とくに中国と欧州の間で、ニュースや映像を通じてどのように相互理解を深めるかが一つの焦点となりました。2025年現在、国際情勢が複雑化するなかで、国際ニュースの伝え方そのものが問われています。
「政治を超えるメディア」の役割
ウェルズ氏は、CGTN Digitalの沈世偉(Shen Shiwei)記者のインタビューに応じ、「欧州と中国の間には多くの誤解がある」と指摘しました。その上で、メディアの役割は政治的な対立をなぞることではなく、「政治を超えて」実際の社会や人々の姿を伝えることにあると強調しました。
メディアが対立の言葉だけに注目すると、視聴者や読者は相手を「遠い存在」として捉えがちになります。ウェルズ氏は、ニュースをきっかけにむしろ交流や協力の可能性を探る視点が必要だと訴えています。
中国の「全体像」を伝える重要性
ウェルズ氏が特に重視したのは、中国の姿を「部分」ではなく「全体」として見せることです。インタビューでは、
- 電動化(エレクトリフィケーション)
- インフラ開発
といった分野を例に挙げ、「中国で実際に何が起きているのかを、できるだけ全体像として伝えることが大切だ」と述べました。
電動化やインフラ整備は、日常生活や産業構造に直結するテーマです。ニュースがこうした長期的な変化を丁寧に追うことで、視聴者は中国社会の動きを、より立体的に理解できるようになります。
欧州の視点も共有し、相互理解へ
同時にウェルズ氏は、「中国の姿を伝えるだけでなく、欧州の視点も共有することが重要だ」とも語りました。つまり、中国に関する情報を一方的に届けるのではなく、
- 中国で起きている変化
- それを欧州の人々がどう見ているのか
という「二方向」のストーリーを描くことが、相互理解を促すという考え方です。
こうした発想は、中国と欧州の関係をめぐる国際ニュースが、対立や摩擦だけに焦点を当てがちな傾向への一つのカウンターでもあります。生活や技術、都市づくりなどの話題を通じて、共通の関心や課題を見出す余地は少なくありません。
日本の読者にとっての意味:第三者だからこそ見えるもの
この議論は、日本で国際ニュースを読む私たちにも無関係ではありません。中国と欧州を結ぶメディア交流が進むことで、アジアと欧州をまたぐ視点がより豊かになり、日本語の国際ニュースにも多様な切り口が入ってくる可能性があります。
ニュースを受け取る側として、私たちが意識できるポイントを挙げると、例えば次のようになります。
- 単一の情報源に頼りすぎない:中国や欧州の出来事を知るとき、複数のメディアや異なる地域の視点に触れる。
- 政治と生活を分けて読んでみる:外交や安全保障のニュースだけでなく、電動化やインフラ整備など生活に近い話題にも目を向ける。
- 「誤解」を前提にしない:相手を知らないことから生まれるギャップがある前提で、背景を確かめながらニュースを読む。
こうした読み方を意識すると、中国と欧州をめぐる国際ニュースは、「誰が正しいか」を判断する材料というより、「世界の多様な変化を知るための窓」として見えてきます。
メディア交流は対立の「緩衝材」になりうるか
2025年の今、世界各地で政治的な対立や分断が語られる場面は少なくありません。その一方で、ウェルズ氏が強調するように、メディアが人や社会の具体的な変化に光を当てれば、国同士の関係をめぐる議論にも厚みが生まれます。
中国と欧州のメディア交流が進むことは、互いの誤解を和らげる「緩衝材」の役割を果たしうるものです。そして、そのやりとりを日本語でフォローし、自分なりの視点を育てていくことは、日本の読者にとっても重要な知的な営みと言えます。
泉州で始まった今回のフォーラムは、その意味で「国際ニュースの作り方」を問い直す場でもあります。電動化やインフラ整備といった具体的なテーマを起点に、中国と欧州、そしてアジアをつなぐ新しい対話がどこまで広がっていくのか、今後の展開が注目されます。
Reference(s):
European News Exchange MD urges more China-Europe media exchanges
cgtn.com








