中国トレードイン政策でグリーン消費拡大 家電とNEVが牽引
中国が進めるトレードイン政策が、家電や自動車の買い替えを通じてグリーン消費を一気に加速させています。環境負荷の低い商品へのシフトが、いま中国経済の新たな成長エンジンとして注目されています。
トレードイン政策で古い製品からグリーン製品へ
中国では、政府主導のトレードイン政策が本格化し、古い家電や自動車などを下取りに出し、省エネ性能の高い製品に買い替える動きが広がっています。今年7月には、国務院が超長期の特別国債として3000億元を割り当て、家電や自動車など消費財のトレードイン支援に充てる方針を示しました。
この資金を背景に、家計の負担を軽減する補助金や割引が用意され、従来より高性能なグリーン製品を手に取りやすくなっています。経済成長と環境保護を同時に進める試みとして、国内外から関心が高まっています。
数字で見るグリーン消費の広がり
新エネルギー車と省エネ家電が主役
政府のデータによると、トレードイン政策を通じて販売された自動車のうち、6割超にあたる約62パーセントが新エネルギー車となっています。また、電気を使う家電製品では、販売された商品の9割以上が、省エネ性能を5段階で示す中国の評価制度で最も効率が高いとされるエネルギー効率グレード1の製品でした。
ガソリン車から新エネルギー車へ、旧式の家電から高効率モデルへと、消費の質そのものが変わりつつあることがうかがえます。これは、二酸化炭素排出の削減だけでなく、電力消費や燃料費の抑制にもつながる可能性があります。
北京の量販店では補助付きで最大半額に
現場ではどのような変化が起きているのでしょうか。北京の家電量販大手スニンでは、工場や銀行と連携して、購入者に対して最大5割以上の割引となる補助を提供しているといいます。
スニン北京地区の消費電子販売責任者である王兆通氏によると、北京ではこれまでに20万人を超える消費者が政府補助を受けており、注文全体の約9割を占めているといいます。さらに、今年10月以降の売上は、前年同月比で95パーセント増と、大幅な伸びを見せました。
補助金と値引きが組み合わさることで、消費者にとっては従来よりも高性能な省エネ家電を選びやすくなり、販売現場にとっても新たな需要の掘り起こしにつながっている様子がうかがえます。
消費者の実感: 燃料費の心配から解放
広州のある消費者、陳さんは、6年間乗り続けた自家用車をトレードイン政策を利用して新エネルギー車に買い替えました。陳さんは地元紙に対し、補助のおかげで価格面でもメリットを感じているうえ、燃料消費を気にする必要がなくなったと語っています。
日々のランニングコストが下がるという実感は、環境意識だけでは動きにくい層にも行動の変化を促す要因となりそうです。
グリーン技術イノベーションを後押し
CATLの高速充電技術でEVの使い勝手向上
トレードイン政策の追い風を受けて、企業側もグリーン技術の開発を加速させています。大手電池メーカーの寧徳時代新能源科技、いわゆるCATLは、電気自動車の充電時間を大幅に短縮できる高速充電バッテリー技術を開発しました。
この技術は、2024年に中国専利保護協会によって重要なグリーン技術イノベーションとして位置づけられています。昨年の技術評価が、今年の新エネルギー車普及とトレードイン需要の高まりを支える土台の一つとなっていると見ることもできます。
グリーの直流エアコンで省エネと空気質を両立
家電メーカー大手のグリーは、新たに直流方式のエアコンを投入し、従来機よりも高いエネルギー効率と室内空気の質の向上を実現したとされています。この製品も、2024年のグリーン技術イノベーションとして評価を受けました。
エアコンは家庭の電力消費の中でも大きな割合を占める機器です。高効率の直流エアコンがトレードインの対象として選ばれれば、電力使用量の削減と快適性の両立が期待されます。
中央経済工作会議に向けて高まる期待
年末にかけては、毎年恒例の中央経済工作会議が控えています。この会議に向けて、中国ではグリーン技術や関連インフラへの投資が一段と強化されるとの見方も出ています。
とくに注目されるのは、次のような点です。
- トレードイン政策の対象分野や規模をどこまで広げるのか
- 新エネルギー車の普及を支える充電設備などインフラ整備の方向性
- 使用済み家電やバッテリーのリサイクル体制の強化
トレードイン政策が短期的な消費刺激策にとどまるのか、それとも長期的なグリーン経済戦略の柱として定着するのかは、今後の政策運営を見ていくうえで重要なポイントになりそうです。
私たちがこの動きをどう見るか
中国で進むトレードイン政策は、政府の資金投入、企業の技術開発、消費者の選好変化が連動することで、グリーン消費を一気に押し上げている事例といえます。
一方で、環境負荷の低い製品をどこまで手の届きやすい価格にできるのか、地方都市や農村部にも同じような恩恵を広げられるのかといった論点もあります。大量の買い替えによって排出される廃棄物をどのように処理し、資源循環につなげるかも、これからの重要なテーマです。
日本を含む他の国や地域にとっても、トレードイン政策は、景気対策と脱炭素を両立させる一つの選択肢として参考になるかもしれません。読者の皆さんは、自分の暮らしの中でどのようなグリーン消費のあり方が現実的だと感じるでしょうか。中国の動きをきっかけに、自国の政策や日々の選択をあらためて考えてみるタイミングかもしれません。
Reference(s):
New innovation drive: China's trade-in policy sparks green consumption
cgtn.com








